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日本の特殊教育の行方(3)
忘れ去られているサラマンカ宣言
2002年1月,伊地知奈緒美・信二

追加して投稿しました学校教育法施行令の一部を改正する政令案に対する意見をご紹介します.投稿文中にありますように,日本政府は1994年のサラマンカ宣言に政府の代表を送って,宣言自体を承認したと理解しております.今回の学校教育法施行令改正は,このサラマンカ宣言の内容を完全に無視した内容となっています.サラマンカ宣言については,多くの方々がインターネット上に紹介してくださっております.

1.伊地知奈緒美
2−4.省略
5.意見:ノーマライゼーションの理念は,教育に関しては,世界的に統合から包括(インクルーシヴ)教育への大きな流れをつくっています.つまり,ノーマライゼーションの本当の意味は脱特殊学校であり,すべての障害者は地域の普通学校へ通うべきことが,世界の常識となって久しくなります.ご存知のように,国連を主体とした歴史的活動を経て,1981年には国際障害者年で分離教育が明確に否定され,1994年のサラマンカ宣言に至り,障害児の教育的ニーズは普通学校で提供すべきことが明言されました.そしてそのようなインクルーシヴ教育が,結果として健常者にとっても理想的な共に生きる社会をつくるための最も効果的で最も経済的な手段であると宣言されています.サラマンカ宣言は理念の提示にとどまらず,全ての政府に対する勧告として,「普通学校内に全ての子供たちを受け入れるという,インクルーシヴ教育の原則を法律ないし政策として取り上げること」と要求しています.日本政府はこのサラマンカ宣言に代表者を送ったと聞いておりますし,日本の代表者だけが反対意見を表明したという話もないようです.政府の代表者が承認して採択された宣言ですので,日本政府も国として承認したものと一般的には解釈されているものと考えます.

今回の学校教育法施行令の改正は,上記の背景からあまりにもかけ離れたものであり,現行の政令をインクルーシヴ教育の方向へ改定していくものでは全くなく,むしろ分離教育の地固めのような意味合いを持つものであり大変残念です.今からでも遅くありません.是非真の改正になるようにインクルーシヴ教育の方向に日本の教育のシステムを変えていく努力をしてくださいますようお願い申し上げます.


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