セクレチンの効果に関する新しい論文を紹介します．文献１は二重盲検法で初めて有効性を主張しています．その他の論文は否定的です．

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アメリカ，ダラスでのＲＣＴ（文献１）：有効

消化管ホルモンであるセクレチンが，慢性下痢を伴った広汎性発達障害児において，言語や行動に改善効果を持つとする予備的研究が報告された．セクレチンの効果を確認するために，我々は，二重盲検，プラセボコントロール，クロスオーバー（３週）研究を，いろいろな消化管症状を伴う自閉症／広汎性発達障害児において行った．セクレチンはブタセクレチンで投与は静脈注射１回法で行った．慢性の活動型の下痢のある児は，セクレチン治療により異常行動が減少したが，プラセボでは不変であった．胃腸症状のない児においては，セクレチンでもプラセボでも影響はなかった．自閉症／広汎性発達障害と慢性の下痢を呈する児において，セクレチン投与時にみられた改善は，自閉症／広汎性発達障害にセクレチンが有効なサブタイプが存在することを示唆する．

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アメリカ，オハイオ医科大学でのＲＣＴ（文献２）：無効

セクレチンは自閉症スペクトルにおける代替治療のひとつとして提唱されたが，経験的支持は欠落している．二重盲検，プラセボコントロール研究により，異常行動に対するヒトセクレチンの全身投与（一回）の効果を検討した．親と教師によるデータは，異常行動チェックリストにより，８人の男児に関して集められ，臨床的な（親と教師での）再現性のある妥当な変化があるかを解析した．親と教師の報告によると，変化の大半はプラセボ投与か，セクレチン静注に引き続いて起こった再現性のある悪化のどちらかであった．分散結果の反復計測多変数解析も同じ結果であった．結果は他の報告と同じで，セクレチンは効果的な治療オプションではないことが示唆された．

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ノルウェーでの複数回投与ＲＣＴ（文献３）：無効

数多くのケースレポートが，消化管ホルモンであるセクレチンを繰り返し注射した後に自閉症的行動に劇的効果があると報告している．自閉症においては，治癒に導くような効果的治療法がないので，この情報は親にとって新しい希望となった．一回投与を検討したコントロール研究は効果を証明することができないが，多くの子供たちは依然としてセクレチン投与を受け続けている．６人の児に関して，二重盲検，プラセボコントロール，クロスオーバー研究を行った．この方法において，それぞれの児は自分のコントロールとなる．ヒト合成セクレチン（平均3.4臨床単位）とプラセボは無作為に４週間毎に投与され，それぞれ３回投与した．評価方法は視覚的アナログスケール（ＶＡＳ）と異常行動チェックリスト（ＡＢＣ）を使った．６例中３例において，プラセボで統計的有意な変化があり，１例ではセクレチンで有意な変化があった（親によるratingのみ：ＶＡＳスコア）．変化は小さく臨床的意義はなかった．この印象は親や教師やグラフ化検討でも同じであった．結論：今回のプラセボコントロール研究では，セクレチンの複数回投与は有効ではなかった．

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メタ解析（文献４）：無効

我々は自閉性障害を持つ児の行動におけるセクレチンの効果のエビデンスを評価した．MEDLINEから英語論文を1966年１月から2001年12月まで検索した．この件に関する全ての調査や症例報告が含まれた．インターネット上の新聞発表もまた含んで収集した．消化管ホルモンであるセクレチンは自閉症的症候を改善することが示唆され，特に社会的機能とコミュニケーションが改善すると言われている．ブタセクレチンとヒト合成セクレチンの２者がヒトにおいて評価されている．一部の論文と自閉性障害コミュニティーにおける信念はこの薬の効果を支持している．多くのコントロールをおいた臨床トライアルはプラセボに比較してセクレチンでの自閉症症候の改善を示さなかった．これは自閉性障害においてこの薬が役割を持たないことを示唆している．

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