2. 我々はMMR接種後0〜5ヶ月に,最初に「この子は他の子と違うんじゃないか?」と気づいたケースが有意に増加していることをアーティファクトと考えたが,Wakefieldはこの点でも我々を非難している.しかし,このような親の訴えはワクチン接種後ちょうど5ヶ月後に集中しており,生物学的なデータとしては不自然である.我々はこの現象はワクチン接種時期からちょうど5ヶ月後の健康記録の実施に関係していると考えている.
3. Wakefieldは,「1998年のMMRワクチンの再啓蒙運動のことが無視されている.彼らのが呈示したデータにおいてこの啓蒙運動の後に最初にワクチン接種を受けたコホートは1986年生まれであり(2歳の時にMMRワクチンのキャンペーンが始まった),この年生まれの自閉症者の数は前のデータの倍に増加し,その後急激に増加している.」と指摘している.しかしこれも正しい指摘ではなく,我々のデータで1987年以前に生まれた自閉症児は36例で,そのうち29例が問題行動の発現時期が親により記録されており,その全てがMMR接種より前なのである.問題行動発現の平均時期(19ヶ月)よりも前(12ヶ月)にワクチンの接種が行われるようになったのは1987年生まれのコホートからである.
文献
1. Wakefield AJ, et al. Ileal-lymphoid-nodular hyperplasia, non-specific colitis, and pervasive developmental disorder in children. Lancet 351: 637-641, 1998.
2. Taylor B, et al. Autism and measles, mumps, and rubella vaccine: no epidemiological evidence for a causal association. Lancet 353: 2026-2029, 1999.
3. Wakefield AJ, et al. MMR vaccination and autism. Lancet 354: 949-950, 1999.
4. Taylor B, et al. Lancet 354: 950, 1999.
5. MCA/CSM. The safety of MMR vaccine. Curr Probl Curr Pharmacovigilance 25: 9-10, 1999.
6. Roberts GT. Lancet 354: 951, 1999.