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日本では自閉症児が多いのか?

Takei N: Childhood autism in Japan. British Journal of Psychiatry 169: 671-672, 1996.
(概訳)本田らは,累積罹患率が500人に一人(一万人に21.1人)という高率の疫学調査結果を横浜市での自閉症の頻度として発表した(文献1).この累積罹患率の推定値の95%信頼区間を計算すると,同じような疫学調査が繰り返された時の結果の変動は,一万人あたり11.6〜30.6人という範囲でぶれることになるが,それでも一万人中10人以上ということになる.この結果の原因としては,データの評価における問題点の他,自閉症が診断されやすい社会的背景が日本にある可能性も考えられる.


(解説)文献1の内容の繰り返しにもなりますが,最近の論文ほど自閉症の罹患率が高い傾向は,診断基準の変遷や自閉症に対する社会的認知の普及の結果であるという見解があります.自閉症との関連が深く重複症例の多い学習障害や注意欠陥/多動性障害(ADHD)と診断される児童も,同じ傾向があります.特にADHDはアメリカでは20人に一人という報告まであり(文献2),文化的な背景がADHD児の数に影響する可能性まで議論されております(文献3).自閉症児がめだちやすい文化的背景というものが日本にあるようにも思いますが,自閉症児や自閉的傾向のある児童を排除してしまいがちな教育現場の現状も,この論文が指摘する自閉症児が診断されやすい社会的背景と関連しているのでしょう.


(文献)
1. Honda H, et al.:Cumulative incidence and prevalence of childhood autism in children in Japan. British Journal of Psychiatry 169: 228-235, 1996.
2. Bonn D: Methylphenidate: US and European views converging? Lancet 348: 255, 1996.
3. Anderson JC: Is childhood hyperactivity the product of western culture? Lancet 348: 73-74, 1996.

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