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早期集中的行動療法の効果

Ryan J. Autism. Lancet 351: 912, 1998.
(概訳)Wingの総説(文献1)はすばらしいが,治療に関する科学的な情報に欠けていた点が残念である.「多くの治療法が,科学的な根拠を伴わずに行われている」と記載しているが,アメリカのLovaas O.I.らの行動解析(behavioural analysis)に関する研究はもっと注目されるべきである.Lovaasらは,短期間のフォローアップでも長期間のフォローアップでも早期集中的行動療法が有効であることを示し,この方法は,アメリカおよびオーストラリアで広く行われている.


(解説)自閉症児の父親であり医者であるRyan氏からのレター論文です.統計学的な証拠がそろっていなくても,自閉症児の社会性や生産性における構造的な行動療法の短期的効果を否定する人はほとんどいないと思います.Lovaasらは,早期の集中的行動療法が長期的にも効果を発揮するとしており,この点に関しては専門家の間で議論が存在するようです(文献2).教室内に作ったお店などの疑似空間での練習が,自閉症児の社会生活にあまり役立たないことや,できることを応用したり一般化することが自閉症児は苦手であることはよく知られており,行動療法を継続して行い,行動療法でできるようになったことを一般化する練習も継続することが理想的と考えられています(文献2).


(文献)
1. Wing L. The autistic spectrum. Lancet 350: 1761, 1997.
2. Bregman JD and Gerdtz J. Behavioral interventions. Chapter 26. In: Handbook of Autism and Pearvasive Developmental Disorders (2nd. Edition). Ed. Cohen DJ and Volkmar FR. John Wiley & Sons, Inc., New York, 1997.
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