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みんなの心を一つにして

1997年、長浜小学校6年 下野真衣子

私のクラスに3年生の時,自閉症の男の子が転入してきました.その男の子は,うまく話しができなくて,さわいだり,教室から飛びだしたり,とつ然いなくなったりしました.そのたびに,授業が中だんしてみんなでさがしに行きました.最初,みんな一生けん命さがしていたけど,何度も同じことが続くと,だんだんいやになってきてはらがたつようになってきました. ある時,運動会の紅白リレーについての話し合いがありました.私のチームにその人が入っていました.その人は,百メートルを一緒に走ると八十メートルぐらい差がつくので,私は,心の中ではその人がいるからもうだめだと半分あきらめていました.また,周りの人もそういう気持ちでいました.しかし,先生が, 「今こそみんなで力を合わせてがんばれよ.」 とおっしゃいました.その時私は,あきらめていた自分をとってもはずかしく思いました. 次の日,私たちは作戦を考えました. まず,校庭一周の所を半分近くのキョリにする.次に,私がその分一周半走る.最後に,みんなで大きな声ではげます.という三つの作戦を立てました.さっそく何度か練習をしました.最初は,バトンを受け取らなかったり,投げたりして,と中で練習が中だんしたけど,だんだんバトンを受け取ってくれるようになりました.でも,バトンをもらって歩きだしたり,コースを外れてどこかへ行ってしまったりしてとても大変でした.それでも私たちは,一生けん命に心を一つにしてその人のために練習をがんばりました. いよいよ,運動会の最後の種目全校紅白リレーが,始まりました.一年生の男子が,元気よくスタートを切りました.一年生の男の子は,三位でした.二年生の女の子や四年生の女の子たちがおいこして,一位になりました.そしていよいよ,その男の子の番です.その男の子が,一位でバトンを受け取りました.でもみるみるうちに,後ろとの差がちぢまり,一人ぬかれ,二人ぬかれ,とうとう三位になりました.それでもみんなは,おうえんしました.私も心の中で「早く走って」「私にバトンを」と思いました.やっとのことでバトンを受け取り,私は一生けん命走りました. 結果,私たちのチームは三位でした.さらに,紅組は優勝できませんでした.優勝できなくて残念だったけど,何だかくやしいという気持ちよりもみんなの心を一つにしてリレーをがんばったことの気持ちが大きく秋の空のように晴れ晴れとした気分になりました. 世の中には,体の不自由な人もいます.長浜には,お年寄りもたくさんいます.だから,みんな楽しく暮らして,私も少しでもやくにたてるようにしたいです. その男の子も来年私たちと中学校に行きます. 私たち六年生は,六人しかいませんが,これからもみんなで助け合っていきたいと思います.


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