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障害児教育のパラダイム転換
統合教育への理論研究



堀 正嗣(ほり まさつぐ)、拓殖書房
ISBN4-8068-0331-6

カバーテープの記載:
ノーマライゼーション下の教育改革
障害をもつすべての子どもが,あたりまえに生活し,
あたりまえに教育をうけるために-----.
分離教育から統合教育への大転換を,------

差別からの開放へ----力強い理論的武装(関西大学教授 山下栄一):
「共に生きる社会」を日本において現実のものとしていくために,
確かな思想的基盤がいまほど求められているときはない.-------


(読んで思ったこと)
特殊教育担当の先生方だけでなく,全ての教育者の方には必見の本,否,「この本を読んでいない方あるいはこの本に書かれているようなことを御存知ない方は真の教育者とはいえない」と言いたくなるぐらいの本です.私達は,障害者のご両親と就学問題や理想的な教育環境について語り合うときの“バイブル”のひとつとして使わせてもらっています.

ここでは,たっぷりの内容の中から,日本における教育理念の歴史的変遷の中に,分離教育ではなく統合教育を理想とした動きがあった事実の指摘を御紹介します.

1967年:文部省が「特殊教育総合研究調査協力者会議」を設置.

1969年:同会議が「特殊教育の充実改善のための基本的な考え方」を提示.そこには,心身障害児の能力,適性に応じ,柔軟で弾力的な教育的取り扱いをすることと,普通児と共に教育を受ける機会を保障することの2点が提言され,「普通児とともに生活し教育をうけることによって人間形成,社会適応,学習活動など種々の面において教育効果がさらに高められることにかんがみ,心身障害児の個々の状態に応じて,可能な限り普通児と共に教育を受ける機会を多くし,普通児の教育からことさらに遊離しないようにすることが必要である」と報告.

1993年:厚生省の中央心身障害者対策協議会が,「心身障害児と障害のない児童生徒がともに同一の場所で教育を受けるという統合教育の趣旨は十分尊重されるべきだ」という見解を発表.

1993年:文部省は,「これまでの制度のもっと弾力的な運用を検討する」という見解を示す.

このような,一部の良識者たちのご努力も空しく,皆さんよく御存知のように,相変らず現場まかせの(担任の先生や校長先生しだいの),最悪な場合障害者を排除したり隔離して無視したりすることもあり得るような学校の分離教育体制が続いております.もちろん,逆に理想的な統合教育を実践してくださっている先生方もたくさんおられることも事実です.



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