我、自閉症に生まれて

Emergence Labeled Autistic

テンプル・グランディン&マーガレットＭ．スカリアノ
カニングハム久子訳　　学習研究社

文責： 樺山八千代

これは、自閉症者である著者が、自閉症について書いた初めての本です。自閉症という特性を持つ著者が、家族の愛情や友人、教師の理解、援助、ときに無理解の中で、どうやって自分に自信を持ち社会人として自立していったかを著者は語っています。

自閉症者特有の思考方法、知覚過敏、こだわり、パニックなどについて自分の経験や感覚にもとづいて書いてあり、自閉症を知らない人には、一見不思議に思える行動が、きちんとした理由があることが納得できます。そこを理解すれば、自閉症を持つ人とのつきあい方が自然にわかってくのでしょう。

著者が言うように、この本は自閉症者本人や家族を勇気づけるものです。自閉症者にかかわる人や教育者にとっては、理解を深め、また経験にもとづく実践的なアドバイスなどもあり、参考になるのではないでしょうか。

また、自閉症という考え方や感じ方があるのを知るのは、自分の世界を広げることでもあると思うのです。

2006年 3月18日　「発達を考える会」勉強会にて紹介