自閉っ子、こういう風に できてます!


ニキ・リンコ 藤家寛子 花風社
ISBN 4-907725-63-9


文責:伊地知奈緒美

この本は、3人の対談(自閉っ子のニキリンコさん、藤家寛子さんと編集者で花風社社長の浅見淳子さん)になっています。浅見さんの紹介欄に、「異文化としての自閉症者の世界観に興味を覚え、交流を楽しんでいる」とあり嬉しくなるし、読み進めると、浅見さんがニキさん、藤家さんの良き理解者、良き助言者であることが実感できます。『ニキさんに自分はアスペルガーだと言われ...アスペルガーのことはよくわかりませんでしたが、ニキさんが個性的なこと、かわいらしい人であること、すぐれた面を持っていることはわかっていたので、なんかこういうニキさんの特徴がそのアスペルガーというものに関係があるのかな、と思いました。―この本が生まれるまで(浅見淳子)』

つまり、2人の自閉症者と良き助言者の対談であり(自閉症理解の輪を広げる最強タッグ!)、そこに時々4コマ漫画「明るい自閉的毎日」が登場し、楽しく読めるし、大切なことがインパクトをもって伝わってくる構成になっています。(自閉症者の世界観、身体感覚など)

また、自閉症者2人と非自閉症者1人なので、マジョリティ(多数派)とマイノリティ(少数派)がひっくり返っているので、常識もひっくり返っていて、面白いのです。『「コタツも(入ると)脚がなくなってこわいですよね。」「こわいですよね。」「コタツを出るときって、やっぱり布団めくります?」「めくって脚の位置を確かめないと立てないですよね。それがふつうですよね。」(ニキさんと藤家さんの会話)』そして、そこから自閉症の認知スタイルを探っています。

専門家といわれる人たちの本から学んでいた人たちには、「目からうろこ」。すでに良き助言者の方は、心地よくうなづけるし、また新たな発見があると思います。


2006年 4月22日 「発達を考える会」勉強会にて紹介