１．本研究の目的は，自閉症者群と自閉症でない群で，小脳のプルキンエ細胞の大きさおよび細胞密度（density）を比較することである．小脳組織のブロックは，年齢，性，死後経過時間をマッチさせた自閉症群および健常コントロール群（それぞれ５例）の脳から剖検時に切り取られた．凍結保存され，固定処理されていないブロックは薄切され，１％cresy violetで染色された．

２．線状，分子，顆粒密度および，プルキンエ細胞の断面領域を，コンピューターを使った画像解析で検討した．プルキンエ細胞の断面領域の平均値は，自閉症者で健常群に比べ24％減少していた．５例の中で２例の自閉症者はプルキンエ細胞のサイズが50％以上減じていた．プルキンエ細胞密度には有意差はなかった．

３．これらのデータはプルキンエ細胞が自閉症者において萎縮していることを示す．