自閉症者の書いた本

 

エイリアンの目を通して

Through the Eyes of Aliens

 ― Jasmine Lee O’Neill―

出版社:Jessica Kingsley publishers

(1)

自閉症はそのままで素晴らしい

 

 

 著者は,言葉をしゃべらない自閉症者です.そして,詩人であり,作家であり,イラストレイターであり,ミュージシャンです.

 彼女は,自閉症はそのままでとっても素晴らしいものであり,ある種の天才であり,無理に変えられてはならないというスタンスでこの本を書いています.

 そして,とても繊細で豊かな自閉症の世界を紹介し,不可解に思われる自閉症者の行動の訳を説明し,どんな風に助けてあげたら,自閉症者が‘混沌とした外の世界’で,不安を軽減でき,心静かに暮らせるようになるかを教えてくれています.

 また,この本には,彼女のイラストや詩も挿入されています.

 彼女の繊細な言語を壊さないように,なるべく直訳で抜粋していきます.

 

自閉症とは


 自閉症―この神秘的で,独特で,美しさを秘めたパーソナリティ―
 私は,自閉症である.私は,ただ単にかなりシビアな自閉症をもって生きていることにより,いろいろな経験をしてきた.
 この本の目的は,自閉症は真に美しい出来事と理解してもらうことである.違うということは,素晴らしいことであり,自閉症は,変えさせられてはならない.他の人たちと同じ様に行動することを強要されてはならない.ありのままの彼らでいいのだ.他の人たちと同じ権利を自閉症者は持つのである.
 私は,私の自閉症を失いたくない.‘自閉症の克服’なんて馬鹿げた言葉は自閉症でない人たちが考えたものであって,そんなことはしたくない.
 新しい道を作っていくことが,教育のゴールだ.自閉症者は,彼らが持っている特別な才能 を使えるよう,指導され得る.多くの場合,自閉症は,外見からはわからない一種の天才とも言える.彼らは,ただそのままの彼らで価値があるのだ.
 自閉症を描写するには,私自身の色彩豊かな自閉症言語を用いるのが一番いい.
自閉症者のいわゆる空ろな瞳の向こうには,実に豊かな世界があるのだ.

 

 

次のこのシリーズは,(2)自閉症の世界 を紹介する予定です.