1 はじめに
2 中毒について
3 アルコール依存症の概念
4 アルコール依存の形成
5 耐性強化と悪循環
6 アルコールの代謝と薬理作用
7 アルコール依存症の症状
身体的症状 | 消化器系症状 | 慢性胃炎,胃潰瘍(腹痛,食欲不振,吐気,嘔吐,吐血) |
大腸障害(下痢) | ||
アルコール性肝炎すなわち脂肪肝(肝肥大,右上腹部痛,全身倦怠感) | ||
肝硬変症(黄疸,腹水) | ||
膵臓炎,騨石(腹痛) | ||
糖尿病 | ||
循環器系(心臓,血管系)症状 | 血管拡張(酒焼け,赤ら顔くも状血管腫) | |
動脈硬化症,高血圧症,循環障害 | ||
アルコール性心筋症(心肥大,不整脈、瀕脈) | ||
アルコール性脚気心 | ||
脂肪心 | ||
神経系症状 | 神経機能低下 | |
脳神経症状(頭痛,めまい,耳嗚) | ||
小脳変性 | ||
振戦(手指,全身) | ||
言語障害 | ||
多発性神経炎(神経痛) | ||
アルコール性弱視(視神経萎縮) | ||
眼筋麻痺 | ||
腱反射減退,消失 | ||
インポテンツ | ||
筋肉系症状 | 筋脱力 | |
筋炎,筋肉痛 | ||
筋強直 けいれん | ||
その他の症状 | 低蛋白血症 | |
貧血 | ||
電解質異常(低カリウム,低マグネシウム) | ||
尿酸増加 | ||
感染症発生増加 | ||
ペラグラ | ||
精神的症状 | 精神不安定状態 | 情動的敏感,焦噪感(イライラ感)衝動性,気分易変,憤怒(おこりっぽさ)抑うつ気分,不眠 |
人格レベル低下 | 倫理道徳感減退,自己中心的,虚言,無責任,無関心,無頓着,感情爆発性,感情失禁,意欲低下,注意力低下,記憶障害,思考力低下,作業能率低下 | |
アルコール精神病 | 1.振戦せん妄 急性に発症する意識混濁,幻視(小動物の群など),幻触(蟻走感など)見当識障害,精神不安,興奮,不眠,全身的振戦,自律神経症状,発熱などを認め,症状は数日間持続する。飲酒量を減量したり断酒した場合の離脱症状(禁断症状)として発症することが多い。 | |
2.アルコール幻覚症 身体症状はほとんどなく,意識清明,見当識は保たれ,幻聴が主である。(侮辱,おどしなどの声)。自傷,自殺などもおこりやすい。症状は数日から数週間持続する。 | ||
3,アルコール パラノイア(妄想型) 妻に対する嫉妬妄想が最も多い。被害妄想,追跡妄想などもある。 | ||
4.アルコールてんかん 脳波上特異的所見はないが,真性てんかんと同じような症状経過を示し,壮年期以後にみられる。離脱症状として発作がおこることが多い。 | ||
5,コルサコフ病 振戦せん妄に続発する脳の器質的症状で最も著明なものは健忘症候群である。記憶障害も著しく,失見当識,作話などがみられる。身体症状として多発性神経炎,感覚異常,筋肉痛などがおこり,断酒によって数カ月ないし数年で症状の―部は軽快する。 | ||
6.ウェルニッケ脳炎(出血性上部灰白質炎) 最も重症のアルコール精神病で,急性のせん妾,健忘症状,傾眠,昏睡に移行して,10日ないし2週間で死亡する例が多い。 | ||
7.アルコール痴呆 大脳の器質的変性が進行し精神衰弱状態,記憶障害,判断力低下,知能低下が徐々に現われる。 | ||
8.他精神病との合併症 精神分裂症や噪うつ病に合併することが多い。 | ||
社会的症状 | 家庭において | 暴言,暴力,夫婦不和,親子断絶,孤立,家出,別居,離婚 |
職場において | 飲酒して出勤,怠業,欠勤,仕事上の失敗,信用喪失,人間関係のトラプル,無責任,失業,経済的破綻など | |
地域社会において | 他人への暴言,暴力,迷惑をかえりみない行為,友人,知人,近所隣の人々に酒を要求,借金,他人の財産や公共の器物,施設破壊,場所を選ぱず眠り込む,火気などの不仕末など警察保護,救急車の出動など | |
犯罪として | 無銭飲食,窃盗,恐喝,傷害,殺人など。 | |
自殺または自殺未遂 | 幻覚,妄想に基づくものや,生活能力の低下,自信喪失などによる。 |
8 予防