奄美を代表する詩人&政治家 泉 芳朗(いずみ ほうろう)「世紀の焔」 無言の嵐が 地球をゆさぶっている

 

「世紀の焔」1929年 泉 芳朗(いずみ ほうろう) 

 

 

世紀の焔

 

泉 芳朗

 

 

      無言の嵐が 地球をゆさぶっている

     ゆさぶられた地球の表−−

     太陽に呼びかける無数の声がざはめいている

 

     暗い陰に咲く黴の花のむらがりの中にも

     かなしいその花のひとひらにも

     生きるものの声があり 叫びがある

 

     しかも人間と太陽とを隔てた 此の空間

     そして太陽と人間を結んだ幾億の時間

     −−それらの存在の何とむなしく歪曲されたことよ!

 

     幾世紀の人々の胸底を吹き過ぎて

     尚今日の窓を掠めつつある嵐

     その只中にあって人間の冒険のみは出鱈目に続けられてゆく

     無劫の空間に狂ひ 無限の時間に燃えわたり

     そして闇から闇へ 隕石のやうに黙ってかすれて消えてゆく

 

     さればこそここに 今在るいきもの

     おのが無鉄砲とがむしゃらをべんべんと悔いまいぞ

     おのが退屈なる生涯をむなしく祈りいたずらに呪ふまいぞ

     遂に太陽は輝かしい世紀の焔を掻き立てて見せるであらう

     人間のみは更にかなしく痛々しく 枯れてゆけ!

 

          「泉芳朗詩集」 1929年

  

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