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オーバーフロー対策・フロートの交換

フロートチャンバ内部

ある日、キャブ下部にガソリンのしずくが垂れているのを見つけました。

「あ〜、久々にオーバフローが出たなァ」と思い、すぐに分解してフロート部のニードルバルブを掃除してみたのですが、翌日見てみるとまたポタポタ・・これはもう長年使い続けたニードルバルブ自体の寿命と判断。さっそくパーツ注文をしにバイク屋に行きました。ところがこのニードルバルブ、フロートとのセットでしか販売してないのです。

もっともここは、同じバイクの中でも他の気筒と入れ替えただけで漏れが出る事もある微妙な部分だから、仮に新品のバルブだけあっても、古いフロートが相手ではきちんと閉じきらないでしょう。というわけで新品のフロートアッシーを4つ注文する事にしましたが、値段は最初の段階での予想・ニードルバルブ1個あたり百円くらいかな〜、をはるかに超える2,250円×4=9,000円! これもBandit維持のためには仕方ないですね・・。


必要なもの

フロートASSY(4つ)
 パーツNo.13250-06C00
2003年10月時点で1個2,250円(税別)でした。
10ミリのボックスレンチ
タンクを降ろすときに使います。
4ミリの六角レンチ
サイドカバーを外す用。シートの下にあるやつでいいです。
その他
プラスドライバー、ピンセットなど。
キャブレターの分解・掃除の各項の各項も参考に。

潤滑に使われるCRC556スプレーはゴムや樹脂を痛めますので、このようなキャブ内部には絶対使わないでください。

フロートの交換 2003年10月18日

新品フロートが4個 色の違い。茶色いのが古い方

まず新品の箱を開けてビックリ、フロートは元々白い色だったとは!まぁ、これだけ長期間ガソリンに浸ってりゃ変色もするだろうし、バルブシートの劣化も仕方ない事でしょう。

ピンセットでつついて外し 新品側にはめ込む キャブにセット

根本にあるストレーナ(ごみを濾すための金網)はなぜか新品のフロートには付いてこなかったので、お古を外して移植します。あとは4つともきれいにキャブ内部にはめ込んで、元通りに組み立てます。

Oリングの差

Oリングの比較

色以外でも新品と使い古しで違っていた点がひとつ。根本にあるOリングの太さがぜんぜん違っていたのです。これも劣化によるヤセでしょうか?もしかしたらバルブ以外にここからガソリンがチャンバー内に漏れ出ていた可能性がありますね。はめ込む時の手応えも新品の方がかなりキツかったです。


交換後、実際に走ってみて

かなり驚きました。オーバフローが止まったのはもちろんですが、エンジンがすごく安定しているのです。もうアイドリング域から別物のよう。パワーが出るとかいうのではなく、全回転域で節度を持って回ってくれている感じ。フロートを新品にしただけでこんなにも変わるとは!

今回、油面の高さは全く調整していません。装着時のフロート高を測ってみても前とそれほど変わらなかったので、プレートは無加工でまっすぐのまま。という事はやはりバルブ以外の場所(つまり根本のOリング)からガソリンが漏れていたり、フロートの腕部分が微妙に変形して油面が不揃いになっていた可能性がありますが、装着状態での実際の油面を厳密に比較する簡単な方法を思いつけませんでした。ドレンネジの部分に透明チューブを付けられればサイホンの原理による油面チェックゲージが作れると思いますが、ドレンネジと同径のネジ加工がしてあるパイプ状部品を用意する必要があります。エンジンオイルの確認窓みたいにチャンバーの一部が透明になっていれば確認しやすいんですけどね。

今回のようにフロートごと交換するのは高くつきますが、Oリングだけなら安いものでしょう。もし機会があったら、キャブ掃除のついでにこのOリングも新品に換えてみてはどうでしょう。作者も昔Banditが不動状態の時にこのOリングだけ買って入れ替えた記憶がありますから、単体でも出ている筈です。

二回目のフロート交換 2008年8月25日

前回の交換から約5年、ふたたび低回転でのカブリぐせやオーバーフロー症状が出始めたので、キャブ掃除とあわせてフロートの新品交換を行いました。今回気付いたのは、新品だったフロートがこの5年の間に思いのほか劣化していた事です。

新しいフロート 5年使ったフロート 古いフロートは劣化している

色の変色はさて置くとして、ニードルバルブとフロートの接触点にある金属ピン部分のスプリングの反発力が目に見えて落ちていました。上の写真で、新品よりもお古の方が若干下がり気味になっているのがおわかりでしょうか。つまりフロートが上がってもバルブを押し込む力が弱くなっていたわけで、オーバーフローの原因はこれだった可能性が高いです。
これ以外では、支点部分のヒンジにもガタが出ており、ガソリンが流れ込む部分にあるストレーナー(金網パーツ)を保持する真鍮パイプはかなりゆるゆるになっていて、ちょっとさわっただけでフロート基部から抜け落ちるほどでした。新品では指でぐっと押し込まないと入らない程度のきつさがあります。

Banditはキャブが弱いとよく聞きますが、具体的にどこがどう弱いのかを説明するのは難しいだろうと思っていました。しかし今回の交換作業後の印象では、どうもこのフロートの材質に原因があるように感じます。新品交換して5年でこうなってしまったわけで、あまり長期間、高い精度を維持しきれない材質のようです。