Escape from deep sea #3


 
GXST-MW 12025:08:25:17:18
ニコ:
さぁ、こっちに来なさい… 他を向いたらすぐに斬りつけてやるわよ。
 
 
 
ニコはナイフでアンドロイドの注意を引きつけながら、リックへ脱出を急ぐよう合図した。
 
 
ニコ:
出来ればルゥリィもお願い。
リック:
…ああ、解った。 *ザッ…ザバッ…*
 
 
 
ルゥリィの側に行くと、そこにあるキットを時折咳き込みながらもリックは手慣れた様子で身に着けていく。
そして正常に動作することを確認すると、ルゥリィの方を向いた。
 
 
ルゥリィ:
前にも使ったことが?
リック:
…まあな。
さ、お前も連れて行かなきゃな…
 
 
 
リックは上半身だけとなってしまったアンドロイドの女の子を抱えようとした。
しかし、彼女はその小さな手を挙げて制止する。
 
 
ルゥリィ:
いえ、私は置いていってください。その方が安全ですから。
リック:
…そうか?
なら置いていくが、必ず嬢ちゃんと来るんだぞ。
ルゥリィ:
はい。
 
 
 
リックはゆっくりと穴に入り、先の様子を窺う。
 
 
リック:
(連中は脱出出来た様だな…)
 
 
 
そしてニコの方を向き、咳きこみそうになるのをこらえながら
 
 
リック:
嬢ちゃん、上で待ってるからな!
 
 
 
そう言って、暗くなっていく穴の中へと消えた。
 
 
 
リックが脱出したことを確認すると、ニコは大きく息をした。
そしてあらためて攻撃姿勢を取り直す。
 
 
ニコ:
結局、独りで戦うなんて…
ついてないわね。
 
 
 
ナイフを左手に持ち替え、右手はホルダーに銃があるか確認し、背中のシースに付いている小さなスイッチを入れた。
 
 
ニコ:
(巧くいくと良いけど…)
せぁ!!
 
 
 
声をあげ、ナイフで突きかかる。
アンドロイドはそれを回り込んで避け、ナイフを叩き落とそうとするが、その手を受け流したニコの回し蹴りが入った。
だが、数歩下がっただけでアンドロイドは体勢を立て直す。
 
 
ニコ:
チッ、よろけるだけか。
 
 
 
そして互いに攻撃姿勢を取り、隙を窺いながらゆっくりと動き始めた。
 
 
 
 
 
 
ニーナ:
脱出者を格納エリアに確保。排水開始。
Rydel:
グリフは?
メーベル:
間もなくすれ違います。
あ、格闘戦再開しました。
アンドロイドのエネルギー値、運動機能共低下していますが、戦闘能力は依然保持した状態です。
Rydel:
…あの小さな機体とは通信できないか?
メーベル:
やってみます。
ニーナ:
グリフの通過を確認。
(ピッ!)グリフ、現在残り一名が戦闘継続中。
アンドロイドは依然能力を維持の模様。
注意して。
グリフ:
『了解。』
 
 
 
 
 
 
ニコ:
(そろそろ終わりにしないと…)
つぇあ!!
!? なっ!!
 
 
 
ナイフで突きかかったが、アンドロイドは手首をがしりと掴みそのまま握りしめてくる。
手首の関節の辺りからミシミシと音がし、ナイフが手から落ちる。
 
 
ニコ:
うぐっ…!!!
は、放しなさい…よ…
 
 
 
ニコの右手が背中の方で何か文字を書くように動いた。すると水の中からナイフが飛び出し、アンドロイドの背中に突き刺さる。
 
 
 
ザッ…ドスッ!
 
 
 
アンドロイドが敵を確認しようと後ろと振り向いたその一瞬にハンドガンを傷口に押し当て、ニコは引き金を引いた。
そして、胸のあたりでバシッと何かが弾ける音がすると、そのままゆっくりとアンドロイドが倒れていく。
 
 
ニコ:
はぁ…はぁ…
さすがに動力撃たれたら効いたでしょ?
じゃ、ナイフを返してよね…ぐっ!?
 
 
 
引き抜こうとした左手に激痛が走る。
見ると、握りしめられていた部分が腫れ上がっていた。
 
 
ニコ:
ったく、やってくれるわよね…
折れてはいない様だけど…
ん? (..
ルゥリィ:
はい…武器? 場所は解りますけど、もう要らないんじゃ?
ええ、ケガしてますけど大丈夫みたいです。
ニコ:
… (..;
ど、どうしたの? (ま、まさか壊れちゃった? (。。;;;;;; )
ルゥリィ:
今、潜水艇の獣(ひと)から通信が入ったんです。
もうすぐ誰か入って来るみたいですよ。
ニコ:
あ、そ… (^^;
これでやっと帰れるわね。
 
 
 
アンドロイドからナイフを抜き取り、脱出キットを開けて中身を確認していると、リック達が出ていった辺りの水面から黄色い耐圧潜水服が現れた。
 
 
 
ザバッ…
 
 
ニコ:
やっとお出ましね。
グリフ:
大丈夫か?
ニコ:
ええ、何とか…
でもずいぶんと遅かったわね?
グリフ:
すまない…
ん? おい、その左手。
ニコ:
これくらい大丈夫よ。
それよりキット着けるの手伝ってくれない? 片手じゃやりにくくて。
グリフ:
ああ、まずはこれからだな。
ルゥリィ:
ん? …あっ!
 
 
 
ニコが腫れ上がった手首をかばいばがら簡易な潜水服に腕を通そうとした時、ルゥリィがグリフ達の後ろの方を見た。
それと同時に通信が入る。
 
 
ニーナ:
『グリフ! 後ろ!』
 
 
 
ザバッ…
 
 
 
横たわっていたアンドロイドがゆっくりと起きあがり、
もはやなめらかに動くことの出来なくなったその機体を引きずるようにして近づいてくる。
 
 
ニコ:
な、なんで…?
グリフ:
あれで動くのかよ…
ルゥリィ:
*バシャ!*
ニコ:
ルゥリィ!?
 
 
 
それまで様子を見ていたルゥリィが水の中へ入っていく。
その音に反応してルゥリィの方へと向かうアンドロイドの前にグリフが立ちはだかった。
一瞬の間動きを止め、潜水服が戦闘用では無いことを認識すると、そのまま近づいて組み付こうとする。
グリフは素早くその腕を掴むと、潜水服の手首から先の関節をロックした。
 
 
グリフ:
*バシッ!*
どうだ、そんだけやられてりゃ簡単には外せないだろ…
おい、まだ何か武器は持ってるか?
ニコ:
ナイフなら…
 
 
 
それを聞いてアンドロイドの力が次第に増していく。
潜水服の関節に大きな負荷がかかり始めた事をアラームが告げる。
グリフは押し返そうとするが、次第に腕は広げられ、重量があるはずの耐圧潜水服ごと後ろに押されていく。
 
 
グリフ:
この…
ま、まだこんなに力が余ってんのか。
ニコ:
*カチ… カチ…*
ダメか、壊れてる。 もう何も無いわ!
グリフ:
チッ… 探査機、ショックハンマーを…
 
 
 
撃て…と言おうとした時、グリフの視野の隅で何かが現れたのが見えた。
そこには水面から白い腕が突き出されていた。手には丸みを帯びた小型の武器をしっかりと握っている。
それはニコからも見えていた。
 
 
ニコ:
あれは… ルゥリィの!
 
 
 
ニコはルゥリィの側へ駆け寄ると武器を受け取った。
マスタースイッチが入っている事を確認するとモードをブレードからガンに切り替える。
小さな表示板は残量がもう無い事を示していた。
 
 
ニコ:
(あっても残り2発…)
ねえ、どこを狙えば良いの!?
 
 
 
ニコの問いに応え、探査機から収束された音声が壁面を通して響いてくる。
 
 
ニーナ:
『両足の太股に補助動力!』
グリフ:
おいっ、早くしてくれ!!
ニコ:
いい加減に… おとなしくしろ!
*バシュ!*
 
 
 
青白いプラズマが黒い機体の太股を貫くと、アンドロイドはその姿勢のままで停止した。
そしてゆっくりと水の中へ倒れ、二度と動く事は無かった。
 
 
ニコ:
ふぅ… 今度こそ終わりよね?
グリフ:
そうだな… もう他に補助は無いだろうしな。
ニコ:
ごめん、えっと…
グリフ:
ん? ああ… そうだな、狼さんって事で。
ニコ:
まんまじゃない (^^;
じゃ、狼さん、ルゥリィをお願い出来るかしら?
グリフ:
解った。
確か…ここだったな。
*ザバッ…* よし、このまま肩に掴まってろよ。
しかし無茶する仔だな、もう少しで機能停止だったんじゃないのか?
ルゥリィ:
でも、私たちはそういう物じゃないんですか? (..
グリフ:
そう思いたくは無いね。
じゃ、次はあんただな。 キットは…っと、いや、その前に傷の具合を見た方が良いか。
ニコ:
大したこと無いわよ (((^^;
グリフ:
相当痛そうにしてるじゃないか (−−; ほら、見せな。
うわ… 結構重傷だったんじゃないか、よく動けたな〜 (..;
ちょっと痛いが我慢してくれよ…
ニコ:
痛っ! どこがちょっとなのよ…手加減してよ!
グリフ:
まあまあ、応急処置が終わったらすぐに外に連れて行くから (^−^;
ニコ:
ふぅ… でも、いつの間にこんなに怪我してたんだろ。
まったく、あんなの作ったのどこのどいつよ、絶対にぶっ飛ばして…や…
あ…?
グリフ:
おい、しっかりしろ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ルゥリィ:
ニコさん?
リック:
おい、嬢ちゃん!
ニコ:
う…ん?
…ぁ!!
ルゥリィ! *ガバッ!!*
 
*ガスッ!*
ニコ
リック
ギャインッッ!!!
 
 
ニコ:
ぐ…
リック:
ぅ…
ロク:
うわ、きっつ〜 ( ̄▽ ̄;
リック:
て、てめえ…
いきなり起きあがる奴があるかぁっ! G(@皿@#
ニコ:
目の前に居るのが悪いんでしょっ! \(>□<#
メーベル:
*パタパタ……… カラッ*
い、今の声は? (・・;
ルゥリィ:
あ、おはようございま〜す (^▽^
メーベル:
おはよう ^^)
あら、ニコさんも目が覚めたのね、体調はどう? (・・
ニコ:
はい? (′′;  
ん… えっと… (.. ≡ ..)
大丈夫みたい (・・
メーベル:
そうですか (^^
そうそう、もうすぐ朝食ですからみなさん下に来てくださいね。
では (((^^
ニコ:
え〜っと… そういえば、ここはどこ? (・▽・;
リック:
ラフィット研究所…って事になってるがな。
ニコ:
何か?
メーベル:
あら、ちょうど良かったわ、あの獣達を連れて来るのお願いね (^^ )σ
ニーナ:
あ、は〜い (^^
リック:
いや、あいつがいろいろ変わったもん見てきててな。
ニーナ:
…?(..;|扉|
ルゥリィ:
… ^▽^)/  … ^-^)b
ニーナ:
? (^、^;
トニー:
えーっと、重そうな潜水服とか無人探査機とかありましたけど、あれって助けてくれた獣達のじゃ?
あ〜… もしかしてあれかな? (′′
半分透けてる無人飛行挺 d(・・
ニコ:
透けてる? それって…
リック:
嬢ちゃん所にも滅多に無いだろ?
もしかしてこいつら…
ニーナ:
はいはい、詮索はそこまで \(^^;
早く来ないとおあずけになるわよ〜 (^▽^;
トニー:
はい、すぐ行きま〜す(^▽^;
ロク:
い、いつの間に? (・・;
ニーナ:
入れ替わりでさっきから居たんだけど… (^、^;
ルゥリィ:
ですよねぇ (^▽^
ロク:
… (−−; 
ニコ:
ルゥリィ…? (^^;
 
 
 
 
 
 
ロク:
ここのって、手作りなんだよなぁ… ( ̄▽ ̄
リック:
うむ、こういう所でこういうのは珍しいな。
トニー:
なんだか落ち着きますね (^^
ニコ:
久しぶりにまともな物食べたわ (^^
 
 
???:
コーヒーで良いですか?
ニコ:
ええ、ありがと…
!? な、何であんたが!
リック:
ああ、待て待て。
あいつじゃないから安心しな ヾ(^^;
ニコ:
そっっっくりなんだけど? ( ̄▽ ̄#
リック:
まあ、頭の中身はあいつのらしいが、それも調整済みって言うからもう別もんだ。
トニー:
ニコさんとルゥリィちゃんを助けた後、アンドロイドも連れ出したらしいんですよ。
リック:
で、詳細を調べたらしい。
ニコ:
ふ〜ん、名前はあるの?
トニー:
“マイア”と付けたそうです。
ニコ:
そう。
で、狙いは何だったの? マイア。
マイア:
ルゥリィさんの保有データと戦闘演算ユニットの奪取でした。
リック:
でな、冷凍機が止まったりしてたのは嬢ちゃんの上役がそれを知って仕掛けてたらしい。この仔が自分で何とか出来るだろうってな…
ま、結果はあの通りだったわけだが。
ニコ:
私には『ただ運ぶだけだから気楽に行って来い d(・▽・*』って…
あのヲヤヂわ〜 ( ̄▽ ̄##
でも、何のデータ持ってたのかしら? それも初耳なんだけど。
ルゥリィ:
わかんない (^^ もう渡しちゃったし。
ニコ:
あ…そ… (−−;
でも、あんたたち何でそんな事知ってるのよ?
トニー:
助けてくれた獣達が色々と教えてくれましたから (^^;
ロク:
最高度の軍事機密とかいうの以外…
聞いてる方が不安になるくらい細かく (^^;
ニコ:
どういう事なのかしらね… (^^;
メーベル:
さて、お食事が終わったら最後の検査がありますからね。
それが終わったら帰っても良いですよ (^^
ニコ:
そういえばあれからどの位?
メーベル:
えっと… 三日半位ですね。
ニコ:
三日で傷が無くなるもんだっけ? (..; ≡ ;..)
それに、深海に居たのに… (・・;
メーベル:
ま、ここにはその手の専門も居るし、機材もありますからね (^^
では検査に行きましょうか。
リック:
姉さん、頼むから手加減するようにあいつらに言ってくれねえかな… (^人^;;
メーベル:
…(^−^; わかりました、伝えておきますね。
 
 
 
 
 
 
 
GXST-MW 12025:08:28:13:04
グリフ:
ここのゲートを出て右に行けば、バスと地下リニアがあるっすよ。
リニアまではちょ〜っと歩くけど (^−^;
ニコ:
お世話になったわね  それじゃ (^^
グリフ:
お元気で (^^
ニコ:
ふぅ、やっと休暇か〜。 あんた達はどうするの?
リック:
俺とロクは次に乗る船が決まってるんでな、港へ直行さ。
ニコ:
トニー君は?
トニー:
僕はしばらくこっちで働くつもりです。
リック:
お、もう港方向のバスが来ちまったな。
じゃあな、また縁があったら会おうや (^▽^
行くぞ、ロク。
ロク:
そんじゃ、元気でな〜 (^^
ニコ:
元気でね (^^
トニー:
僕はリニアまで歩きます、考えたい事もあるんで。
では、ここで。
ニコ:
しっかりやるのよ G(・▽・
トニー:
はい G(^^
あ、そうだ… リックさん、どっかの軍隊だかに居た事あるみたいですよ。
あの獣達がそんな感じの事言ってました。
ニコ:
それでか… でも…?
トニー:
それじゃ、お元気で \(^^
ニコ:
あなたもね (^^
さて、私達はしばらくゆっくりしてから帰りましょうか。
ルゥリィ:
はい (^^
ニコ:
でも、連れて帰っても良いって言われるとは思わなかったわ (^^;
ルゥリィ:
嫌ですか? (・・;
ニコ:
そんな訳無いでしょ (^^;
あ、来た来た。 さ、行きましょ (^▽^
 
 
ルゥリィ:
はい (^▽^*
 
 

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