Escape from deep sea #2 |
GXST-MW 12025:08:25:15:37 Pacific Ocean, the interior of a ship (in the deep sea). |
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トニー: |
*ゴン* ・・・っ!!(☆▽☆) い・・痛・・・ (≧_≦;) |
ニコ: |
トニー君、何やってるの? (^^; |
リック: |
気をつけろって言ったろ (^^; |
ロク: |
おぅわぁ〜〜! Σ(@□@) *どぽ〜ん!* |
ニコ: |
あっちは問題外ね (ーー;; |
ロク: |
*ザバ・・・ブルブル・・・* ひゃ〜冷てぇ〜〜 (>〜<|| |
リック: |
毎回無事なんだから大したもんだ (・・; |
ニコ: |
Luck値だけは高いって事ね (^^; |
リック: |
は? (・・ |
ニコ: |
あ・・・ いえ、何でもないわ ( ̄▽ ̄; ところでポイントまで後どの位? |
トニー: |
あと1層下の・・・ちょうどこの辺りだと思います。 |
ニコ: |
という事は、もう少しか。 |
リック: |
なあ嬢ちゃん、何運んでたか教えてくれないか? どうも気になって仕方ないんだが。 |
ニコ: |
聞きたい? でも、聞いたことが知れたら全員口封じられるかもよ。 |
ニコはニヤリと笑うと、親指でゆっくりと首を切る動作をして見せた。 |
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リック: |
なぁるほどぉ・・・ (^^; |
ニコ: |
なんて、冗談よ。(^^ もし見かけることがあったら話してあげるけど、今はダメ。 |
リック: |
見かける? 沈んでるはず・・・っと、ロク、どうした? |
何度も冷たい海水の中に飛び込んだ上に、気温も下がって来ている。 さすがに限界に達しつつあるらしく、見ていて可哀相になるほど震えている。 |
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ロク: |
な、なあ、早く移動しようや。*ガタガタ・・・* |
リック: |
あ〜・・・ 動かないと寒いか、解った ( ̄▽ ̄; |
GXST-MW 12025:08:25:15:41 Pacific Ocean, in the deep sea. |
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メーベル: |
これは? |
アラームと共に、脱出経路の状況表示に探査母機と探査機の未処理データが重ねて表示された。 処理済みデータは簡易表示で隣のディスプレイにまとめられている。 |
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Rydel: |
どうした? |
メーベル: |
コンピュータが生のデータを重ねて表示してるんですが、何かが動いてるような・・・ |
Rydel: |
データベースに類似例は? |
メーベル: |
今検索中です・・・ あ、個体用対探知フィールドの可能性? |
Rydel: |
あまり良い雰囲気じゃないな。 |
グリフ: |
この鋼板めちゃくちゃ堅い・・・ (・・; |
ニーナ: |
高密度プラズマカッターで少しずつしか切れないって、何なのよ (^^; |
グリフ: |
メーベルさん、フラッシュビット撃ちますからチェックしてください。 |
メーベル: |
どうぞ。 |
船体表面で小さく何かが光ると、分析結果がグリフのHMDにも表示された。 それは、複数の金属やセラミックが分子レベルで組みあげられている鋼板を基本に、様々な素材の板が複雑な形で組み合わされた構造になっていた。 |
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メーベル: |
これ、外宇宙航行船用の装甲ね (・・; |
グリフ: |
丈夫な訳だ。フォトンパルス併用しよ (ーー; |
Rydel: |
グリフ、待て。 貨物船になぜそんな装甲使う必要が? |
ニーナ: |
もしかして、ヤバい事に首突っ込んだって事? |
グリフ: |
・・・中の連中を助けるのが先だと思うんすけど。 |
Rydel: |
む・・・そうだな、続けよう。 メーベル、相手が対探知を持ってるとして、うまく捉えられるか? |
メーベル: |
やってみます。 |
GXST-MW 12025:08:25:15:52 |
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ニコ: |
よっと・・・この階層で良いのね? |
トニー: |
はい、後はこの方向に進めば。 |
ズン! カカカカ・・・ |
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ニコ: |
何、今の? |
リック: |
何か爆発したような感じだが、その後の音はさっぱり解らんな。 |
メーベル: |
爆発音確認、位置特定。 |
Rydel: |
対探知持ってる奴か? |
メーベル: |
はい、座標がほぼ一致しています。 |
Rydel: |
何とかはっきり捉えられないか? |
メーベル: |
探査母機と探査機のデータのうち、分析可能な範囲からピックアップしてみましたが、ほとんどノイズになってて。 え・・・? この質量とエネルギーの分布って。 |
ニーナ: |
何? |
メーベル: |
アンドロイド。 速度や行動パターンから、戦闘用と考えて間違いないわ。 |
Rydel: |
どんな奴か解るか? |
メーベル: |
いえ、今はこれが精一杯です。 対探知パターンの解析が終われば何とかなりますけど。 |
グリフ: |
脱出を急がせないと。 |
ニーナ: |
問題は脱出ポイントのすぐ側で戦ってるって事よね。 |
Rydel: |
とりあえず、中の連中がどうするかだ。 まず、今の状況の説明。 それからポイントを変更すると伝えて、その後の反応を見よう。 メーベルは解析出来たら対策を急いでくれ。 |
メーベル: |
はい。 |
GXST-MW 12025:08:25:16:13 |
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ドォン!! |
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ニコ: |
また!? |
リック: |
今のは爆発じゃなさそうだな。 |
ニーナ: |
『脱出ポイント付近で2体のアンドロイドによる戦闘がありました。 現在1体の反応が消失しており、戦闘は終了したものと思われますが、詳細な状況は判りません。 戦闘のあった区域を避けるため、脱出ポイントを変更します。』 |
リック: |
なあ姉さん、勝った奴はどこへ行ったんだ? |
ニーナ: |
『脱出ポイントから離れました。 現在、探知範囲外にいるので何をしているかは解りません。』 |
リック: |
で、そいつらは戦闘用だと思うんだが、間違いないか? |
ニーナ: |
『はい、戦闘用です。』 |
リック: |
じゃ、足も速いだろうしポイントを変えてもそれほど状況は変わらんだろ? 嬢ちゃん。 |
ニコ: |
そうね。 でも、もし出くわしたら勝ち目無いわよ。 いいの? |
リック: |
そん時ゃやれるだけやるさ。 |
ロク: |
おい・・・マジ? |
リック: |
おう。脱出ポイントは目の前だ、今から他にまわる時間の方が惜しい。 |
トニー: |
でも、ボク戦えませんよ。 |
ニコ: |
大丈夫よ、その時は後ろに隠れてて。 |
リック: |
俺と嬢ちゃんとで何とかする。 |
ニコ: |
ポイントは変更無しという事でお願いするわ。 |
ニーナ: |
『解りました。 到着次第、キットを入れます。』 |
リック: |
よし、急ごうか。 |
GXST-MW 12025:08:25:16:25 |
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リック: |
確かに水が溜まってるな・・・。 ま、言ってたよりは少なそうだが。 |
脱出ポイントに到着すると、そこは通路より床が低く造られており、海水が膝に届かない程度に溜まっている。 周囲の壁やコンテナには無数の弾痕があり、向かい側の扉は付近にあるコンテナと共に、爆発により変形していた。 |
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リック: |
ほぉ、これはまた派手にやり合ってたらしいな。 |
ニコ: |
この痕はレーザー、これはヒートガン、それとブラスター・・・ いくつ持ってんのよ。 |
ロク: |
ん? あれは? |
コンテナの陰に白いものを見つけたロクは後ろへ廻った。 すると、そこには上半身だけの白い被毛の子供が水の中に横たわっていた。 |
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ロク: |
ぅわ! |
トニー: |
どうしたんです? ・・・し、死体!? |
ニコ: |
死体じゃないわよ。 ちょっとどいて・・・ |
ニコは水の中から抱え上げると小型コンテナの上に横たえ、状態をチェックし始めた。 腹部は引き裂かれた様な状態になっており、そこには細かな配線や何かの装置、金属の骨格が見えている。 しばらく胸の内部を覗いていたが、何かを確認すると慣れた手つきで作業を始めた。 |
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リック: |
アンドロイドか・・・ 嬢ちゃん、そいつが? |
ニコ: |
そう、この仔が私の運んでた荷物よ。 かなり酷いわね・・・ルゥリィ、聞こえる? |
ルゥリィと呼ばれたアンドロイドはゆっくりと目を開け、そのメタリックパープルの瞳がニコを捉える。 |
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ルゥリィ: |
ぅ・・・ぁ? |
ニコ: |
大丈夫? |
リック: |
ん? その腕輪のマーク・・・まさか「ジェノサイド・ファング」? |
ニコ: |
そのオリジナル。 でも、危険は無いわ。 ルゥリィ、何があったの? |
ルゥリィ: |
爆発があったときに、未知の戦闘タイプが入ってきました。 私を狙ってきた様です。 |
ニコ: |
そいつはどうなったの? |
ルゥリィ: |
かなりダメージを与えたので、もう高速移動は出来ないはずです。 ただ、パワーにはまだ余裕が。 |
リック: |
ジェノサイド・ファングを倒せるような奴だと? ん? 来たか。 |
甲高い音が聞こえてきた方を見ると、少し離れた所で海水が沸騰しているのが見えた。 しばらく見ていると床が赤くなり、直後に閃光が床を貫く。 閃光は一瞬消えた後で円を描き始め、一周して消えた。 そして、円が描かれた所からケースが次々と浮かんで来る。 |
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トニー: |
あ、キットが来た。 *ばしゃ* う、意外に重い・・・ロクさん、こっち持ってください。 |
ニコ: |
戦っていた相手はどんな奴なの? |
リック: |
おい、あいつじゃないか? |
リックは通路の先に現れた黒い影に気がついた。 そして、その影の手に握られている銃がゆっくりとトニーに向けられていく。 |
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リック: |
なっ! トニー、伏せろ!! |
トニー: |
・・・え? |
タタタン! |
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トニー: |
うぁっ! *バシャ!* |
トニーの腕から被毛が弾けるように飛び散った。 とっさに傷口を押さえるが、服の裂け目から血がじわりと広がっていく。 |
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ロク: |
おい、大丈夫か? |
トニー: |
ん・・・痛っ! な、何とか。 |
リック: |
ロク、トニーを連れて先に行け! |
ロク: |
どうやって着れば? |
ルゥリィ: |
私が教えます。 まず・・・ |
ロク達がキット内の潜水服を身に着けるのを確認すると、ニコとリックは影に向かって撃ち始めた。 ニコはオートマチックのハンドガン、リックはどこから出したのかハンドレーザーを持っている。 |
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ニコ: |
このぉ!*バスッ! バスッ!* |
リック: |
アンドロイド相手に小型のパウダーガンが効くわけ無えだろ! |
ニコ: |
*ニヤリ* 弾に停止コード発信器が仕込まれてるのよ。 |
リック: |
へぇ・・・ |
だが、一瞬止まったように見えたアンドロイドは、当たった箇所を確認するとすぐに撃ち返し始めた。 |
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リック: |
うわっとぉ! どう見ても効いてねえよなぁ。 |
ニコ: |
ったく・・・皮膚で止まったか、最悪、協定違反の機体かって事ね。 で、その銃は何? 違法改造でもしてそうな威力だけど。 |
リック: |
さてね。 |
その銃から発せられるレーザーは、空気中の塵を焼くジリッという音がはっきり聞こえるほどのエネルギーを持っていた。 黒いアンドロイドの被毛に命中すると、被毛が破裂するような音を立てて蒸発する。 ただ、被毛には蒸発によってレーザーの威力を押さえる効果があるらしく、それを見て取ったリックは銃に狙いを定めた。 |
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リック: |
よし、これであの銃は使えなくなったはずだ。 |
ニコ: |
意外と頼りになるじゃない。 |
リック: |
ありがとよ。 |
ニコ: |
その銃よ? |
リック: |
・・・俺は? |
ニコ: |
さてね。 |
リック: |
ちぇ・・・。 |
だが、改造したハンドレーザーでは設計をはるかに上回る威力のレーザーをいつまでも撃てる訳がない。 相手の銃を使用不能にし、さらに数発撃ったところで発振系が焼き切れた。 |
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リック: |
あ〜くそっ、もうダメかよ。 |
ニコ: |
あいつの銃を使えなくしただけで充分よ。 |
リック: |
予備の銃は最初の爆発ン時に壊れちまったから、あとはナイフだけだ。 |
ニコ: |
そのナイフじゃ無理ね、これを使って。 |
リック: |
ほぉ、ソニックブレードか。 *カチッ プィィィ・・・* |
ニコ: |
使い方は・・・聞くまでもないみたいね? |
リック: |
当然 *ニヤリ* で、嬢ちゃんは? |
ニコ: |
もう一本あるのよ。こっちは空も飛ぶけど。 |
リック: |
恐え〜嬢ちゃんだ、フライングダガーかい。 しかし、あいつ艶っぽいねぇ。 生身だったら嬉しいんだがね。 |
ニコ: |
そうやってスケベ心出した奴から死んでるのよ。 |
リック: |
だろうな。 さて、来たぞ。 |
ニーナ: |
脱出した2名を2号機に収容しました。 格納エリア閉鎖。 圧力保持機構、動作正常。 オートで母機へ向かわせます。 |
メーベル: |
よし、これで良いはず。 対対探知処理開始します。 |
処理の開始と同時に、アンドロイドの保有しているエネルギー量とダメージ量、駆動系の動作レベル等がグラフとなって表示される。 |
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グリフ: |
こいつスピードは落ちてるけどパワーは減ってないんじゃ? |
メーベル: |
そう見えるわね。 |
グリフ: |
ぐ・・・ 直接救出に行かせてください。 |
Rydel: |
どうやって行く気だ? |
グリフ: |
テレポーターを使えば・・・ |
メーベル: |
あれはまだ植物の転送試験までしか行われてないし、圧力差のある環境間での試験に至っては一度も行われてないわ。 それに、まだ失敗する確率の方が高いのよ、最悪の場合死ぬことだってあり得る。 |
グリフ: |
じゃ、海の上にテレポートすれば? |
Rydel: |
少しは成功率も上がるだろうな。 しかし、そもそも何を着ていく気なんだ? 戦闘用装甲服はここには無い、あるのは補助動力付の耐圧潜水服だけだ。 |
グリフ: |
それで良いです。 とにかく、あの船の外に連れ出せれば良いんすから。 |
Rydel: |
ふぅ・・・。 メーベル、君とやってるあれはどうかな? |
メーベル: |
空中ならあのテレポーターよりは安全かもしれませんね。 でも、良いんですか? |
Rydel: |
ま、モノはこの研究所内にあるわけじゃないからな、すぐにはばれないさ。 グリフ、行ってこい。 だが、まともに戦おうとするなよ。 |
グリフ: |
はい。 では、準備します。 |
メーベル: |
準備できたら連絡してね。 |
ニコ達と黒いアンドロイドは格闘戦を繰り広げていた。 伸びてくる手足に斬りつけ、少しづつダメージを与えながら、隙を見つけた側が胴体部に攻撃を加えていく。 だが、油断して捕まりでもすれば首を捻り切られるか、心臓を握りつぶされてしまう。 それだけに、長時間の戦闘を強いられていた。 |
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ニコ: |
くそっ、このぉ! |
リック: |
おっとぉ・・・ ハァッ! |
二獣がかりで攻撃を加えるが、なかなか有効なダメージを与えられない。 既にアンドロイドは血にも似た物質を身体のあちこちから流しはじめ、動きは鈍り、パワーも落ちてはいるのだが、依然として戦闘を継続できる様だった。 |
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アンドロイド: |
*キュイ・・・ ピピ!* |
ニコ: |
こいつ・・・ なんで・・・ *ハァハァ* |
リック: |
いい加減・・・ こっちが持たねえ・・・ *ハァハァ* 普通なら・・・ とうに死んでるってのに・・・ |
ニコ: |
うりゃぁ! |
リック: |
せあ! |
同時に攻撃をかけようとしたが、リックは足を滑らせてしまい、体勢を立て直そうと一瞬動きが止まったところへ蹴りを食らってしまう。 |
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リック: |
ぐぁ! |
ニコ: |
リック! |
リック: |
ガハッ・・・ *ザバ!* うぐあっ!? |
立ち上がり、息を思い切り吸い込もうとした時、胸に激痛が走った。 |
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リック: |
あ、あばらがいかれたっ。 ぐ・・・ゲホ、ゲホ・・・ |
ニコ: |
あなたも脱出して! |
リック: |
しかし・・・ |
ニコ: |
その状態じゃ足手まといよ! 早く! |
リック: |
す、すまん。 |
グリフ: |
『準備完了。いつでも。』 |
メーベル: |
座標固定、空間位相同期、データ整合チェック・・・OK。 グリフ君、海面から5m上空に送るわよ、衝撃に気をつけて。 |
グリフ: |
『了解。』 |
Rydel: |
テレポート開始! |
(続く) |
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