Escape from deep sea #1 |
GXST-MW 12025:08:25:13:24 Earth, Pacific Ocean. Submarine cave. |
|
ニーナ: |
どう? 上手く採れそう? |
グリフ: |
もう少し・・・よし、これで全部。 |
ニーナ: |
じゃ、戻りましょうか。どの位かかるのかな? |
メーベル: |
この洞窟を出るのに20分、探査母機まで10分位よ。 |
ニーナ: |
結構入り組んでるけど、広いから楽ね。 |
Rydel: |
この辺りは崩れやすいんだぞ、あまり飛ばすなよ。 |
ニーナ: |
了〜解。 (^▽^ |
メーベル: |
こんな所にも魚が。 (・▽・ |
ニーナ: |
ホントだ、可愛い色。 (^^ |
グリフ: |
うまそうっすね。 (^−、^ |
Rydel: |
おいおい・・・ ヾ( ̄▽ ̄; |
GXST-MW 12025:08:25:13:42 Pacific Ocean, On the sea. |
|
ニコ: |
ふう、明日には横浜かぁ。久しぶりの休暇だもんね、思いっきり遊んじゃお。 |
トニー: |
ニコさん、明日着きますけど、具合はどうです? |
ニコ: |
大丈夫、まさかあんなひどい船酔いになるとは思ってなかったけど。(^〜^; |
トニー: |
そうですか。 (^^ (ありゃあ食ったモンが悪かったんじゃ・・・ (^^;) でも、荷物一つ運ぶのにも誰か付いてないといけないなんて、軍人さんも大変ですね。 |
ニコ: |
着いたら休暇だからね、大したこと無いわ。 まあ、旅費をちょっとケチりたくて上官に相談したら、「この仕事をするなら行きはタダだ d( ̄□ ̄」って言うから即OKしちゃったんだけど。 |
トニー: |
はぁ、結構融通が利くもんなんですねぇ。( ̄▽ ̄; |
ニコ: |
なによ、その呆れたって顔は。(ーー; |
トニー: |
ああ、いえ別に。 |
ズン! ドゴォーン!! 突然爆発が起こり、船体が大きく揺れる。 サイレンが鳴り、船長からのメッセージと共に、コンピューターが船底で爆発があった事、沈没は免れない事を自動で伝えていた。 |
|
ニコ: |
痛〜っ・・・ 重武装の海賊かテロリストでも攻めてきたっての? |
トニー: |
とにかく脱出しましょうニコさん、こっち・・・うわ! |
ニコ: |
船が傾きだした!? |
トニー: |
うそだろ、もうそこまで海水が! |
ニコ: |
とにかく、上に逃げましょう。 |
ニーナ: |
やっと出た (^▽^ |
Rydel: |
ここまで来れば終わったも同然だな。後は自動で帰還させ・・・ん? |
アラームが鳴り、ディスプレイのマップ表示の上に情報が重ねられる。 そこには衝撃波の到達範囲と発生源が示されていた。 |
|
Rydel: |
なに!? |
ズン! |
|
メーベル: |
爆発音確認。方位315、距離3000、海面付近です。 |
ニーナ: |
大分近いわね。 |
メーベル: |
海面に船舶確認、民間の貨物船です。船体は既に二分。状況から10分以内に沈没すると思われます。 |
Rydel: |
急げ! |
ニーナは左スティックを前に押し込むと、親指の所にあるスイッチを押した。 航法表示の速度単位とゲージが切り替わる。 |
|
ニーナ: |
パワースラスター始動、到着まで約40秒。 |
Rydel: |
原因は? |
メーベル: |
船体下部に外部からの爆発による破口を確認。 |
Rydel: |
何・・・? 火器管制起動。 |
グリフ: |
火器管制起動、オールグリーン。 |
Rydel: |
よし、戦闘モードに移行。 |
メーベル: |
全システム正常に移行。索敵範囲内に潜水艦確認。 |
ニーナ: |
到着。船の乗員は? |
Rydel: |
自力脱出出来なくなったら手を貸そう。まずは潜水艦が先だ、一応確認してみろ。 |
メーベルは潜水艦に所属情報等を共通コードで送信し、応答を待った。だが何も返ってこない。 |
|
メーベル: |
応答無し。艦影及び質量よりAS-202A型と確認。所属は特定出来ません。 |
Rydel: |
識別コードも無し・・・極秘で何かやってるって事か? まあ、何も言えないならかえって好都合だが。 |
ニーナ: |
こっちから攻撃する気かしら? (・・; |
グリフ: |
いや、俺らからは出来ないって ;^^) 攻撃を受けた場合の話だろ。敵か味方かも解らないんだから、沈めても誰も文句は言わないし。 |
メーベル: |
あ、船体が完全に水没しました。現状の姿勢のまま沈んでいきます。 |
Rydel: |
乗員は脱出したのか? |
メーベル: |
ほとんど脱出しました。 取り残された乗員は浸水範囲からは逃れていますが、脱出口がありません。 |
Rydel: |
海底まで行っても大丈夫か? |
メーベル: |
この辺りは水深300m程ありますが、どこかに極端な圧力差が生じない限り安全かと。 |
Rydel: |
随分と丈夫な船だな、時間稼ぎの必要は無いか。 |
グリフ: |
そういや探査母機は? |
メーベル: |
上空に来るようにコマンド入れたから、もうすぐ来るわよ。 |
グリフ: |
見つかるんじゃないかな? |
ニーナ: |
ディスプレーサーフィールドとカウンターシェードつかってるから、まず見つからないわ。 |
Rydel: |
2号機に深海救難キットを。サイレントモードで貨物船の側に着けろ。 |
メーベル: |
了解。3分後に母機から投下します。 |
トニー: |
あ、しまった。 |
ニコ: |
どうしたの? |
トニー: |
ここから先には出口がないんですよ。脱出用キットも置いてない。 |
ニコ: |
なぜ? |
トニー: |
ここには大型のタンクがあったんです、液化ガス用の。 で、それをそっくり取り外して改造するはずだったんですけど。 |
ニコ: |
途中で打ち切られた? |
トニー: |
ええ、どういう訳かやたら頑丈に出来てたんで、内部だけコンテナを入れられるように改造しておいて、後々スケジュールに余裕が出来たら外からの搬入口を作るって聞いてたんですが。 |
ニコとトニーが話していると奥の扉が開き、船員が入ってきた。 彼はニコ達を見ると少し安心したような表情になった。 |
|
船員1: |
お、他にもいたのか。 |
ニコ: |
私たちだけじゃなかったみたいね。大丈夫? |
船員1: |
ああ、大丈夫だ。 それよりここから先には出口が見あたらない、こいつは困ったね。 あ・・・っと、俺はリックってんだ。よろしく、ニコさん。 |
ニコ: |
何で私のことを? |
リック: |
腹壊して寝込んだ嬢ちゃんてあんただろ、すぐ噂んなったぜ。名前はその時に聞いた。 |
ニコ: |
いつの間にそんなうわさが・・・。 あ、そう言えば電源は? |
トニー: |
非常用のバッテリーがまだ生きてるようですから、上手く使えば2、3日は。 |
ニコ: |
他に何獣くらい居るのかしら? |
リック: |
あと1獣。もうすぐ来る。 |
船員2: |
ダメだ、やっぱり脱出できない。 |
遅れてやって来た船員はかなり疲れた様子で、しかもキズだらけになっている。 リックはそれを見てため息をついた。 |
|
船員2: |
な、なんだよ (^^; でも、海水の入り込む余地がないってのは運がいいのかも。 |
リック: |
ロク、ホントに運が良いと思うか? |
ロク: |
なんでだ? |
リック: |
ただでさえ頑丈な球の中にいるんだって事忘れてないか? 救助隊だって入ってこられないかもしれない。 |
ロク: |
そうなったら? |
リック: |
もしこのまま助けが来なかったらな、だんだん息が詰まってきて、だんだん身体が痺れてきて、動けないまま苦しんで苦しんで・・・あの世行きさ d( ̄ー ̄) |
ロク: |
お、脅かすなよ (゜▽゜||| |
リック: |
ハハハ、まあそうならない内に助けに来てもらわないとな。 |
ロク: |
潜って出られないのか? |
ニコ: |
あの缶を見て、大分潰れてるでしょ。 |
ロク: |
ああ。 |
ニコ: |
もし息が続くように袋でも使って浮き上がっても、血液中に泡が出来てあちこちの血管が詰まってしまう。 その後は・・・解るでしょ。 |
ロク: |
なんてこった。 |
トニー: |
でも、助けに来るのかな? そんなに深くに沈んだならもう死んでると思ってるかも。 |
リック: |
トニー、少なくとも信号ブイは放出されたはずだ。必ず来る、そう信じろ。 |
トニー: |
・・・うん。 |
メーベル: |
潜水艦、魚雷装填中。 |
Rydel: |
ショックハンマー、パワーモードMIL。マルチターゲット・マルチショットモード。 |
グリフ: |
ショックハンマー、パワーモードMIL、セット。PSI-CONNECT接続確認、マルチターゲット・マルチショットモード、セット。 |
メーベル: |
発射確認、沈降中の船体に向かっています。 |
Rydel: |
撃て! |
ニーナ: |
魚雷前方に進出。グリフ!! |
グリフ: |
弾頭部へロック、発射! |
ズゥン! 衝撃音と共に魚雷の弾頭部が丸く抉られ、直後に爆発が起きた。 |
|
メーベル: |
今度は2発、本機を狙ってきます! |
Rydel: |
爆発と同時に対探知フィールド展開。サイレントモードに切り替える。 |
グリフ: |
弾頭部にロック。3、2、1、発射! |
魚雷の爆発に合わせてフィールドを展開し、その場に静止する。 |
|
メーベル: |
潜水艦が広範囲にスキャンを行っています。 |
Rydel: |
どうやら騙せたらしいな。あいつの真下へ回り込め。 |
ニーナ: |
了解。 |
ニコ: |
また爆発音・・・ 一体なにが起きてるの? |
リック: |
まあ、何かの戦闘に巻き込まれたって所だな。 そもそもこの船には爆発するようなものは一応積んで無い事になってるし、嬢ちゃんの荷物も空の極低温コンテナ1つだ。 |
ニコ: |
“一応”ねぇ・・・ ( ̄▽ ̄; で、なぜ私の荷物が空だと解るの? |
リック: |
冷凍機が動いてなけりゃ空って事だろ。常温で輸送して良いものが入ってたんなら別だが、そんな無駄をするもんかね? ・・・お? |
何かに沈み込むような静かな振動が船体から伝わってきた。 |
|
リック: |
どうやら、海底に着いたな。ここからは我慢大会といきますか。 |
ニコ: |
そうね。(冷凍機が動いていなかった? いつから・・・) |
ニーナ: |
到着。 |
Rydel: |
グリフ、火器管制システムと通信システムだけを破壊しろ。 |
グリフ: |
どこを狙えば? |
メーベル: |
HMDに表示させるわ。攻撃箇所は4カ所。 |
Rydel: |
対探知解除と同時に攻撃。 |
グリフ: |
ロックしました、いつでも。 |
Rydel: |
よし、3、2、1、解除! |
グリフ: |
発射! |
衝撃波が潜水艦の内側に収束し、内部の機器を次々に破壊していく。 内部状況を表示しているディスプレイには、攻撃箇所のエネルギーレベルや質量分布の変化がリアルタイムで表示されている。 攻撃した箇所を選択すると“エネルギーレベル:ゼロ”“質量分布:等分布、気体”と表示された。 |
|
メーベル: |
敵火器管制及び通信システムの停止を確認。破損程度から回復不能と思われます。 |
ニーナ: |
敵艦急速発進。逃げるのかしら? |
Rydel: |
そうして欲しいな。 |
メーベル: |
どうやら離脱するようです。 |
グリフ: |
よし、後は救助と。 |
Rydel: |
どこら辺まで流れていった? |
メーベル: |
真下です。横方向への動きはほとんどありませんでした。 |
Rydel: |
生存者は? |
メーベル: |
船尾側の球状になってる所にいますね。 |
グリフ: |
ここじゃ、キットを入れられないな。 |
Rydel: |
もう少し下に行ってもらおう。音波を指向させて内側と会話できるか? |
メーベル: |
できます。 |
Rydel: |
よし、2号機を6層下あたりに持っていこう。会話はニーナが。 |
ニーナ: |
はい。 *ピッ!* 聞こえますか? |
ニーナ: |
『聞・・・ま・・・か?』 |
ニコ: |
ん? なに? |
リック: |
何か来たらしいな。 |
ニーナ: |
『聞こえますか? ラフィット研究所の探査船です、救助に来ました。』 |
リック: |
(妙に早いな。ラフィット研究所・・・確か・・・) |
ニコ: |
何処の研究所? |
ニーナ: |
『日本に設置されてる連邦科学省の施設です。』 |
リック: |
聞いたことがあるな、最新技術の研究をやってるって事だが。 |
ニコ: |
最新技術? |
リック: |
通信や空間なんとかっていう技術、特に応用方面ではトップだって事だ。信用できるんじゃないか? |
ニコ: |
信用しても良いけど、どうやって助けるつもりなの? |
ニーナ: |
『5層下に50cm程海水が入っている部屋があります。その床に外部から穴を開けて深海救難キットを入れます。』 |
リック: |
コンテナエリアはまともに足場がないから通れない。つまりこの球の内側を伝ってって事か・・・ |
ロク: |
コンテナエリアに入ってる海水に飛び込めば? |
ニコ: |
そんな事したら途中のガイドレールかフレームか、あるいは沈んでるコンテナに叩きつけられてあの世行きね。 |
ロク: |
う゛〜ん、だめかぁ・・・ (^^;||| |
ニーナ: |
『あなた達のいる部屋と同じように、内側に沿って部屋が設置されています。コンテナエリアを通らなくても移動できるようになっているようです。何か目印があるはずですが。』 |
リック: |
そんな事まで分かるのか・・・ |
トニー: |
ホントにただの探査船なのかな? |
ニコ: |
どうせこのままじゃ助からないんだし、やってみましょう。 |
ロク: |
目印ってこれか? 三角マークがあるが。 |
リック: |
押すか引くかだと思うが、どうだ? |
ロク: |
よっ・・・ふんぬ!*バキッ* おああ!! (@▽@ *ゴロゴロ・・・ゴン!* きゅう (xx) |
あまりに力一杯引いていたので、外れたカバーと共にロクは壁に激突した。 しばらく様子を見ていたが、気絶したのか起きあがってこない。 |
|
リック: |
おい、大丈夫か?(^^; |
ロク: |
・・・(xx) |
トニー: |
ロクさん、大丈夫ですか? _(..; |
リック: |
あ、おいニコ! 何こんな所で脱いでんだ!? |
ニコ: |
え!? Σ(・・; |
ロク: |
なにっ! *がば* (・・ )( ・・) |
リック: |
お前は絶対死なないな・・・ ( ̄▽ ̄; |
トニー: |
(^^; |
ニコ: |
あんたらねぇ・・・ (ーー;) |
ニコがカバーのあったたところを確認すると、少し奥にレバーが見えた。 試しに少し廻してみると、微かに抵抗はあるが動く様だった。 |
|
ニコ: |
*カチャ* このドアロック、開くみたいよ。まず横に一つ移動しましょう。 |
リック: |
なあ、この先に危険はないのか? |
ニーナ: |
『そこの通路とその先の部屋にはありません。ただ、そこから後の保証は出来ません。』 |
ニコ: |
どういう事? |
ニーナ: |
『真下に5層、直接移動するのが最も安全という事までは分かっていますが、どこが開放可能になっているか判らないんです。』 |
リック: |
つまりやってみるしかないって事か。 |
ニーナ: |
『今いる部屋の5層下の部屋に来てください。それまでに脱出準備を整えておきます。』 |
ニコ: |
トニー君、移動した階層と位置を覚えておいてね。 |
トニー: |
はい。 |
リック: |
さて、それじゃあ行きますか。 |
ニコ: |
ええ。 |
(続く) |
|