アクエル防衛戦 #2


 
GXST-MW 12025:02:26:11:14
Aquell space.
メーベル:
敵の輸送艦が惑星に降下を始めました! ラウト南部へ向かっています。
 

 不可解な行動だった。敵の輸送艦は戦闘機を伴っていない。もちろん攻撃力も防御力も小型の戦闘艇にさえ劣るはずだ。それにも関わらず、今戦闘が行われている場所へ飛び込もうとしている様に見える。
 敵艦についての詳細な情報を確認するよう指示しようとした時、観測班より報告が入った。
 
Obsv.:
『敵艦の質量が減少中。周辺空間も歪み始めています。』
宗司:
間違いないのか?
Obsv.:
『はい。』
宗司:
すると、透明化では無い・・・?
 

 実は透明化によってミサイルが接近していると思っていたのだが、それなら歪みが観測されるはずはない。光学的にも観測されやすく、透明化の意味が無いからだ。
 記憶を辿るうちに、未だ研究中のある輸送手段が同じような歪みを作り出す事を思い出した。
 
宗司:
いかん! クォークビーム砲、撃て!
 

 クォークビームが敵艦のシールドを直撃し、互いのエネルギーを光に変えて散っていく。
 
宗司:
敵艦シールド状況を確認次第、重力弾発射! 地表に落とすなよ!
渚:
どうしました?
宗司:
テレポーターだ。おそらくな。
惑星上の各隊に敵艦の降下を警告。観測データの転送を許可する。
観測班は敵艦内部をスキャンしろ。
 
 
メーベル:
ラウト南部の各機、こちらクリスタルグリフォン・・・
 

 状況を手早く伝えると、敵艦の外観等のデータを転送した。
 
ニーナ:
『こっちに向かってるの?』
グリフ:
『輸送艦みたいだな。』
メーベル:
現時点ではテレポーターを持っていると思われる以外、判っていません。
攻撃手段等明らかになり次第、データを送信します。
Rydel:
『了解。』
 

 各隊へ状況を伝え終わった直後、観測班より報告が入った。
 
Obsv.:
『敵艦内部のスキャン結果を表示します。』
渚:
これは・・・光子弾頭と魚雷。でも魚雷には何も積んでいませんね。
宗司:
あれがテレポーターのようだな。やはり、あれでばら撒く気か。
 

 スクリーン上に重力弾の直撃で2艦が消滅した事が表示された。
 しかし消滅直前に質量変化が観測され、アラームと共に変化量のグラフが表示される。
 
Obsv.:
『消滅直前に敵艦内部質量が急速に低下。弾頭がテレポートした模様。』
宗司:
どこへ行った!?
Obsv.:
『フェリス海上空です。空間の歪みを観測しました。』
 

 
 
 
GXST-MW 12025:02:26:11:35
Planet Aquell, PHELIS Sea.
Ladybug 2:
リーダー、今の敵で最後です。
Ladybug 1:
・・・よし。
クリスタルグリフォン、こちらレディバグ。敵地上部隊の撃退に成・・・なんだ!?
 

 突然HMDに多数の落下物が接近している事が表示される。物体の詳細を確認すべくレーダーパネルに目をやると、そこには光子弾頭を示す記号が表示されていた。
 
Ladybug 2:
ば、爆撃か!
Ladybug 4:
光子弾頭で? なんて無茶しやがる!
Ladybug 1:
こちらレディバグ、迎撃に向かう。
 

 だが、この通信を最後にスクリーン上からレディバグの反応が全て消失し、センターが機能を停止した。
 
 

 
 
 
GXST-MW 12025:02:26:11:40
Planet Aquell, RAUTO weather control center.
Rydel:
レディバグがやられた?
宗司:
『私だ。そちらに向かっている艦からテレポーターで光子弾頭が送られた様だ。直ちに迎撃に移れ。』
ニーナ:
地上の連中はどうするんです?
宗司:
『やむを得ん、今は放っておけ。』
Rydel:
あれか。
アント、ドラゴンフライ、俺達が出現直後の奴を叩く。漏れたのを止めてくれ。
 

 もちろん、全ての弾頭を墜とせるわけではない。少なくともセンターとレーナー市に向かっていると思われる物だけが対象になる。
 
 
 
グリフ:
(何とかこの辺りには落とさずにすんだか・・・)
ニーナ:
とりあえずは守れたみたいね。
 

 現れた弾頭は数が少なかった事もあり、センターと都市部に直接影響のある範囲の物は全て防ぐことが出来た。
 だが再びアラームが鳴り、第二波が来た事が告げられる。
 
Mosquito 3:
また来ました!
Rydel:
なっ!? うわぁ!!
ニーナ:
モスキート!
 

 再び現れた弾頭は数が多く、その上正確にセンターへ向かっていた。
 しかも先ほどより近距離に出現したためにモスキートが直撃を受け、文字通りに消滅してしまう。
 
 

 
 
 
GXST-MW 12025:02:26:11:42
Aquell space.
宗司:
まだこちらからはラウトの光子弾頭を攻撃できんのか?
渚:
あと70秒でプロトンビームの攻撃可能範囲に入ります。
 

 プロトンビームの到達距離は既にクリアしているのだが、まだラウトは水平線下にあり、攻撃することが出来ない。
 
宗司:
敵艦は?
渚:
クォークビームの射程外へ出ましたが、重力弾がまもなく到達します。
Obsv.:
『敵艦周囲に亜空間フィールドを確認、ワープに入る模様。』
宗司:
なに!?
Obsv.:
『敵艦ワープ! 推定出現点は進行方向2光時先。』
 

 同時にアラームが鳴り、スクリーン上に新たな攻撃が行われたことが示された。
 
メーベル:
第二波確認、弾頭総数58、初弾着弾まで62秒。ラウト南部の戦力では防ぎ切れません!
宗司:
くそっ、なんて事だ。
渚:
プロトンビーム、攻撃可能です!
宗司:
撃て! 重力弾は自爆させろ!
メーベル:
モスキート消滅!
間に合いません! 光子弾頭、着弾!
グリフ:
『畜生ぉぉ〜〜!!!』
 

 そして、閃光の中に全てが消えていった・・・
 
 

 
 
 
 
 
 
 
メーベル:
はい、降下した隊は全員死亡。
Rydel:
うわちゃぁ〜〜(−−;
ニーナ:
ねえ、このデータ付けてシミュレータを納品するわけ?(^^;
Rydel:
もちろん違うぞ。これは最後のテスト用データだ。
ニーナ:
最後? 他のテストは何時やったのよ、予定では今からでしょ?(・・;
Rydel:
予定を変更しないといけなくなってな、今朝方までやってたんだ (^^;
渚:
今日のは面白かったわ (^^
宗司:
私たちはそろそろ帰るけど、良いかな?
Rydel:
もちろん。
朝早くから手伝ってもらって助かったよ、ありがとう(^▽^
宗司:
そうそう、うちの娘が時々遊びに来てるようだけど、迷惑だったら・・・
Rydel:
いや、構わないけど。
宗司:
そうかい?
ニーナ:
大丈夫ですよ、危ない物は触れさせないようにしてるから。
メーベル:
いつもニーナさんが側にいるようにしてますからね(^−^
宗司:
それなら安心だ (^^
Rydel:
あ、そう・・・ (ー▽ー;
宗司:
それでは \(^^
Rydel:
また ^^)/
 
*カラカラ・・・パタン*
ニーナ:
・・・で、テストなんだけど(−−;
Rydel:
ああ。
ニーナ:
何で私やメーベルさんを起こさないでテストしちゃうのよ( ̄▽ ̄;
Rydel:
あんまり気持ちよさそうに寝てるもんだから、起こすのかわいそうになってなあ。
ニーナ:
へ!?(・・;;
メーベル:
もしかして・・・ (^^;
Rydel:
な、何もしてないぞ ヾ(・▽・;
グリフと可愛いな〜って見てただけ・・・
メーベル:
・・・テストから外すにしても、一応起こしてくださいね (^−^;
Rydel:
は〜い (^^;
ニーナ:
で、誰が言い出したの? 私たち抜きでテストするって。
Rydel:
グリフだ。
ニーナ:
グ〜リ〜フ〜! G(^▽^#
・・・あれ? G(・・;
メーベル:
寝てますね(^^
Rydel:
一睡もしてないから、今のテストはキツかっただろうな。
 
 
グリフ:
ZZZzzz・・・
ニーナ:
ま、今回は許してあげる・・・(^−^;

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