鶴見 

                        
 大石酒造(株)    阿久根市波留1676
             Tel  0996−72−0385
      ゲットした日 : 平成14年10月2日
                     

鶴見   「鶴見」は明治32年大石酒造創業以来の代表銘柄であり、おそらく白麹造りの原酒がメインになっているのであろう。 黒麹造りには「莫祢氏」がラインアップされており、丹誠込めた個性的な味わいは焼酎フリークに高く評価されている。

  この焼酎は盟友焼酎探索家Aptiva野郎師が、鹿児島県下で圧倒的シェアーを誇る北薩2巨大銘柄の地元近隣にろーどーに赴き、寸暇も惜しむ多忙な出張にもかかわらず、北薩地方焼酎事情視察を強行に及んだ際に購入し、有り難くも拙宅にご持参下さった物である。 師の言に依ると、行った先々でどの焼酎が最も流通しているかは、二本括り、三本括りにされた一升瓶を見れば一目瞭然とのことで、大石酒造鹿児島酒造の本拠地阿久根市に置いても、他の地方の例に漏れず悲観的な状況であるらしい。 

  薩摩の地焼酎を地元の人に愛でて欲しいと願っている当方としては、このように地元愛の感じられない冷酷な現実に、常々忸怩たる思いでいる。(-ー;) 商品の出来不出来と人気とは必ずしもパラレルにならないと一般に言われるが、それにも増してマジョリティーや権威がありそうな物に雪崩れ込むというのは貧しい県民性なのだろうか。 まこて残念じゃっど!
  
  銘柄名は鶴の飛来地にちなんでおり、ラベルにも鶴と松があしらわれ、地焼酎らしい雰囲気が醸し出されている。 アルコール度数25度。 一升瓶の他に五合瓶もあるはず。
鶴見と溶岩焼き
  生で飲んでみた。 甘く柔らかい芳香が立ち登る。 蔵独特のローストしたような香ばしい含み香とやや辛口に感じるコク深い芳醇が何時までも口腔内で残響しているようである。 
  ロックにしてみた。 冷えて和水されても、全く嫌味な味にはならない。 スルリと口に融け込む爽やかさと後味の甘さが際立っている。
  5:5程度に割り水したものを燗付けにしてみた。 甘さと辛さのハーモニーが素晴らしく、耽美な旨さが水面に生じた波紋のように幾重にも広がっていくようである。 芋焼酎本来のふくよかさ。 思わず「こいじゃっど!」と唸ってしまう。

  「莫祢氏」と同様に蔵の個性、味の濃さを強く感じさせる。 まさしく硬派で、飲み応えのある逸品である。 大切にそして堂々と愛して欲しいと切に願う。
  お薦めの飲み方は、白麹造りのホッとする優しい味わいがよく出るお湯割り系統を一押しとしたい。

                          平成14年12月4日記載