高砂 

                        
木場酒造(有)   曽於郡末吉町諏訪方8881−2
         Tel  0986−76−2383
ゲットした日 : 平成14年6月13日
                     

高砂    
  木場酒造のある末吉町は鹿児島県本土東北端に位置し北は宮崎県都城市、南は志布志町に隣接した人口約2万人の町である。 主要産業は畜産で肉用牛生産日本一を誇っているが、BSE(いわゆる狂牛病)による風評被害で大打撃を被ったのは記憶に新しい。 
  この焼酎は焼酎探索家Aptiva野郎さんが大隅地方の酒屋を回りに回ってやっと見付けたものらしい。 鹿児島市付近の酒屋には余り置いていないが、隣町都城市ではよく見かけるとの噂もある。 そう言えば鹿児島県産焼酎には珍しいアルコール度数20度である。 宮崎焼酎の影響が色濃く出ており、自然ターゲットも県境を超えているのかも知れない。

  銘柄名の「高砂」は、結婚式などで謡われるお目出度い謡曲「高砂」に由来するのであろう。 ラベルも高砂の松につがいの鶴及び亀を配して長寿夫婦愛を醸し出し、まことに目出度いものになっている。 
  
  生で飲んでみた。 芳醇な薫りが立ち上る。 口に含むと芋本来のハッキリした骨格を持つ味わいなのだが、砂に染み込むような飲み易さがある。 
  ロックにすると甘味が前面に出、奥に芋焼酎本来のおおらかな旨味が残っている。
  12〜3%になるように割り水したものを燗付けすると、ふくよかで奥深くクセになりそうな程個性的な味である。 冷めてくるとまろやかさ甘さがグンと引き立ちシミジミうんまかと唸りそうになる。

  日向の賢人けんじ師に20度焼酎のネイティブな飲み方を伺った所、湯割りなど軟弱な飲法ではなく、生のまま燗するのが本来の作法とのことであった。 教義の通り生のまま燗付けして恐る恐る飲んでみた。 濃醇かつコク深い味わいで、ふくよかさと芳香に包まれ、危険な吸引力を持つ旨さである。 割り水焼酎に慣らされた舌にはやはり少々辛く感じるが、飲み続けたいという情動の方が遙かに優っている。 こりゃ〜なんちゅわならんど!(^^)

  芋焼酎本来のしっかりとした個性を有する実力派である。 20度というアルコール濃度は宮崎流に追従したと言うよりも、この焼酎の持つポテンシャルを多角的に味わうためと考えるのは穿ち過ぎだろうか。 どの様な飲み方でも美味しいが、生燗付けの魔性の如き味わいを是非とも試して欲しい。


                        平成14年7月5日記載