酔十年 


       鹿児島酒造阿久根工場  阿久根市栄町130
  Tel 0996−72−0585
     ットした日:平成12年12月26日

                        
酔十年  12月25日の南日本新聞に「うまい焼酎ができました」と、この「酔十年」が紹介されていた。 その記事を読むと、なんと「さつま諸泊」10年間熟成とのことである。
  芋焼酎の長期貯蔵に関しては、私の記録が「久耀」6年であるので、これは未知なる経験新記録である。 早速購入のため電話しようと思ったのだが、クリスマスプレゼントととして「万夜の夢」を注文済みである手前、愚妻には怖くて言い出せない。 しかし欲しい!
  男のロマン?を追求したい、しかし良い亭主でいたい、飲み過ぎも気になる、すでに大量の焼酎備蓄がある・・・等々様々な葛藤が渦巻く中、一応様子だけでも聞こうと受話器を取った。
  南薩地区での購入場所等を問い合わせると、工場から直接自宅発送になるらしい。 「何処からお掛けですか?」と聞かれたので、「加世田から」と答えると、なんと「先ほど加世田の方が注文されました。」と挑発するではないか。 ここで退いては末代までの恥とばかりに、原酒と25%に調整した1升ビンのセット(それぞれ6,000円、3,500円)を注文してしまった。
  着払い、送料込みでほぼ1万円。 愚妻には当然打ち明けられずに、なけなしの小遣いをはたいてしまった。
  翌日には配達され、早速戦利品の写真撮影を・・・\(^o^)/  
  (右側が原酒、左側が25%)
  原酒をグラスについでみると吟醸香と表現するのだろうか、甘く陶酔的な薫りが漂う。 生で飲むと上品でまろやかな甘さが口中に広がる。 後味も滑らかで爽快極まりない。 私には吟醸酒を遙かに凌駕する味わいと感じるし、泡盛の古酒と比較しても決して見劣りしない堂々たる出来である。 芋焼酎特有の甘味が陶酔的な味わいを倍加しているのかも知れない。
  25度の焼酎をあらかじめ割り水して、カラカラで湯煎して飲むと、新酒の持つ華やかさ、奔放さは無いが、絹ごしのように上品で柔らかな味わいと形容すればいいのだろうか、まろやかでしっとりと奥行きのある甘味が引き立つ。 後味もホンワリとした幸せに浸れる。
  飲み方としては、やはり生でしかも原酒を味わうのがベストだろう。 壺の中過ごした10年という歳月をじっくりと味わいたいものであるが、どのような飲み方に置いても洗練された熟成芋焼酎の味わいを堪能できる。
  酒造所にとって長期貯蔵は在庫が増えることや貯蔵管理という技術的な問題等極めてリスクを伴うことであり、軽々に鞭打つような奨励はできないのであるが、今後洋酒、泡盛や日本酒等と伍して競わなければならない宿命を背負った芋焼酎にとっては、避けて通れない課題であると感じている。
  また、今後クオリティーの高い製品は価格を度外視しても市場から望まれ続けるであろう。 郷土の誇り芋焼酎がどの様な進化を遂げるか期待しながら暖かく見守っていきたいと思う。