千亀女 

                        
 若潮酒造(協)   曽於郡志布志町安楽215
Tel  0994−72−1185
      ゲットした日 : 平成15年9月20日
                     

千亀女  この日我々は白波を切り裂き、種子島の地を踏みしめているはずであった。台風の余波でトッピー(種屋久航路ジェットフォイル船)欠航を知らされたのは正午前である。残念ではあるが仲間に嵐を呼ぶ男がいる限り、この時期の離島遠征には台風という障害は避けて通れない物であろう。

  で、旅行中止にも拘わらず、善後策を協議(平たく言えば飲んかた・・・(^_^; )するため、精酎組屯所「鷹」に集結することになり、途中宝納酒店に寄り、この「千亀女」を購入してきたのである。

  この焼酎は麹米にヒノヒカリと宮城産ササニシキ、原料芋に有機・減農薬栽培のコガネセンガン、種麹に河内黒麹菌さらに酒母に鹿児島産二号を使用し、一次二次とも常温でかめ仕込みされ、さらに木桶蒸留機で蒸留後かめ壺で寝かされている。また仕込み水及び割り水とも近くの山腹の湧水「水源殿(みげんどん)」を使用している。このように原料・製法にこだわりにこだわっているにも拘わらず、2,100円と製造コストを度返ししたような極めて良心的な価格設定になっているのである。\(^O^)/

  ラベルは黒地に銀色に銘柄名が墨書されたシンプルな物で、裏ラベルに製品の説明文が記載されている。ラベルに打たれた製造番号より不良流通阻止限定品の意図が汲み取れる。アルコール度数25度。一升瓶の他に四合瓶もある。他に姉妹品の麦製「千亀女」もラインアップしている。

  生で飲んでみた。薫りには芳醇な甘さが横溢し、口に含むと上品で柔らかく爽やかな甘味としっかりとしたコクが響き合う。 生で飲んでも全くストレスを感じさせず、後味の伸びやかさにも魅入ってしまう。何たる秀逸!
  ロックにすると、甘味がさらにすっきりと整い飲み易くなるようである。
  あらかじめ5:5程度に割り水したものを燗付けすると、熟成したような上質で優しい甘さが際立ち五臓六腑に染み込むようで実に安らぐ。

  「千亀女」は長期貯蔵酒のように上品ですっきりとした飲み口なのだが、古酒特有フルフラールの持つ少しつんと澄ました表情は微塵も感じさせず、あくまでも優しく柔らかくそして深いのである。 酎飲感及び銘柄名からも女性的と形容出来るのかも知れないが、寸分の緩みも見られない味わいには蔵元の求道的情熱が凝縮しているようある。 特別にこだわった焼酎にも拘わらず低く抑えた価格設定も愚生の如き緊縮財政を強いられている中年には実に嬉しい。惜しむらくは特約店販売の限定品故そこかしこの酒屋では安直に入手出来ないことだろうか。
  どのような飲み方でも大満足の旨さだが、このように上質な焼酎はやはり生でじっくりと味わうのが本道なのだろう。

                   平成15年12月4日記載