第27回いぶすき菜の花マラソン
      
                 平成20年3月913日(日)   大会ホームページこちら

スプリットタイム
10km 1時間7分
15km 1時間33分
20km 2時間0分
25km 2時間27分
30km 2時間54分
35km 3時間22分
40km 3時間49分
   1.序章
  10月から15km以上の距離走やLSD(Long Slow Distance)を徐々に延ばし、12月中旬までに30km走を3回迄こなし、月間の走行距離も200kmを超え、今回はサブ4(4時間以内完走)達成のある程度の手応えがあったのである。
 しかし、直前の10kmペース走の後、両足太腿の張りが取れず、さらにレースペースでのジョギングですら心肺的にもまた脚的にも圧迫感があり、不安も徐々に増していった。
  精神的不安は数字で和らげるのが理系人間の性である。サブ4達成の為のシミュレーション及びペースの計算に日夜勤しんでいたのである。(^^ゞ
スタート時の混雑を考えるとレースペースは前半5分20秒〜25秒/km、30km以降を5分30秒/kmとし、5kmごとの距離表示の最低限厳守すべき通過タイムを上記の如く詳細に計算したのである。(^_^;) 
 実力不相応にしてもこれらの予測をする時間は楽しく、自分自身もいっぱしのランナーになった気分になれる。これもフルマラソンの醍醐味の一つであろう。
ゼッケン
 いつもの勝負服にゼッケンを付ける。


 2.レース当日
 一週間前に出された「曇り時々雨」の週間予報が見事にずれ込み、曇りのち晴れ予想気温15度の絶好のレース日和。 午前6時、金峰町から来たごばんさんと共に頴娃町の精酎組特殊部隊長こだまさん宅へ寄り、彼を拾って指宿市の体育館を目指す。会場到着が7時半頃。受付を済ませ、平均的日本人さんを探す。彼はネット焼酎仲間で埼玉から来られた池の鶴さん及び福岡から来られたみさおさんと共に我々の場所も確保して下さっていた。 挨拶もそこそこに、慌ただしくTシャツにゼッケンを取り付ける。
  
 3.レース開始
 8時45分頃、目標タイム3〜4時間のグループの最後尾に並び号砲を待つ。それにしても凄いランナーの数である。今回は昨年より1500名ほど参加者が増えたそうで、私の前も後ろも人人人でなのはな館前の道路はぎっしりと埋め尽くされている。
スタート直後の愚生
 スタート直後。二宮正信君撮影。
 花火が上がり歓声が響きスタートとなったが、我々の地点は全く動く気配がない。2分ほどして少しずつ動き始め、スタートラインを歩いて跨いだのが3分49秒後である。それ以降も走れるほどのスピードにはなれず、歩いたり止まったりを繰り返し、400mを過ぎた辺りからやっと早足程度に走れるようになる。
コース右側のクレーン車上に報道撮影をしている中学校同級生の二宮正信君を発見し、声を掛け、彼の高性能カメラで写して貰う。ラッキー!v(^^)

 4.〜5km(35分11秒/39分)
  予想通りの渋滞でノロノロとしか走られない。国道を跨ぐ陸橋を超え道幅の狭まる農道に入ると混雑はさらに増し満員電車の状態のまま人が移動しているようである。人を追い抜いていくスペースも見つるのも困難であるが、僅かな隙間を見つけては割り込み先を急ごうと焦る。しかしながら2、3人横に広がりペチャクチャ喋りながら走る連中や、もう既に堂々と歩いている人間等が居て、急制動急加速を繰り返す羽目になり、これが結構足に来た。農道は細かいアップダウンを繰り返しながら登る。この地点に40分以内で来られたのは上々と考えて良いだろう。
魚見岳をバックに
 レースを終えて。陸上競技場の入場ゲートから
 ゴールゲートまでの長いこと!


 5.5〜10km(28分10秒/1時間7分10秒)
  コースが進むにつれて少しずつ人がばらけて少しは走りやすくなる。しかしまだまだ自分のペースで走れる状態ではない。6km付近で4時間のペースアドバイザー二人と彼らを追尾しているこだまさんと合流し、私も仲間に加わる。しかしペースアドバイザーの速いこと!5分/kmを切るハイペースだった思われる。「爆死しても良いから、これに付いて行こう!」と意を決したのだが、あまりのハイペースと県道の登り、それに混雑の中行く手を人に遮られ、結局1km程付いて行っただけで、自分のペースに戻す。こだまさんはそのまま付いて行ったが、途中で爆裂するのでは・・・。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル  

 6.10〜15km(27分33秒/1時間34分43秒)
  コースは最高地点を過ぎ池田湖畔への下り、謂わば最高に気分の良いところなのだが左膝がおかしい。何かしら熱くなっているし下りの一歩一歩が両大腿部に響く。 混雑を抜けるのに足を使った為、そして登りでペースアップしたため、はたまた分不相応にペースアドバイザーに付いて行こうとしたためか、脚が悲鳴を上げだしていた。
  湖畔は絶好の応援ポイント。沿道に知った顔がないか探すことで気を紛らわせながら行ける所まで行こうと覚悟を決める。池田湖と別れる登りでは無理せずペースを落とし、15kmのスプリットタイムで「まだ行ける!」と自らを鼓舞する気力は残っていた。
ゴールゲート
 ゴールゲート。フィニッシュ関門が5カ所ほどに別れている。

 7.15〜20km(28分03秒/2時間02分46秒)
  コースは枚聞神社に向かって下っているのだが、ペースは一向に上がらないままである。ここらから2.5km置きの水やバナナ等には必ず手を出すようになった。脚は益々辛くなったが、前を走るオレンジのランスカを纏った女性を目の保養にすることで気を紛らわせる。しかしトレーニングでは何とも感じなかった20kmがこんなに長いとは・・・。_| ̄|○

 8.20〜25km(30分57秒/2時間33分43秒)
  20kmから中間点の1.1kmが恐ろしく長く感じ、後半これ以上ペースが上がることもないだろうと、サブ4を断念し始める。だったら先程のエイドで豚汁を食べれば良かった・・・、等とあれこれ後悔を始め、レースに対する前向きな気持ちも徐々に喪失する。_| ̄|○
 で、ついにフラワーパークの手前の登りで右脚が小刻みに震えだし、耐えきれず歩いてしまった。今年は何があっても歩かない!と、年頭に竹田神社で祈願したにも拘わらずである。(-ー;) 去年より7km、一昨年より5kmも手前でヘタレてしまい情けない限りではあるが、幾らトレーニングを積んでも無理の効かない身体及び精神は変わることはないのかと、我ながら呆れ果ててしまった。 

 9.25〜30km(38分03秒/3時間11分47秒)
  平坦地になり走り出そうとすると足が攣りそうで一歩踏み出せない。膝を屈伸しようにも何かに捕まらないと出来ない。同様なランナーは道端に散見される。LSDよりさらに遅いペースで出来るだけ足を使わないように一歩一歩走るが、下りになると太腿は悲鳴を上げ、登りはピクピクと震え出す。徳光集落の登りで歩哨に経っているおばさんが「歩くな!走れ!頑張れ!」と叱咤激励するが、足は言うことを聞かない。「頑張れ!」と沿道で応援して下さる方々にひたすら「すいません!すいません!」詫びながら歩く・・・。(^^ゞ 昨年はヘルシーランド前で高校同期生のbunbunさんが補給物資を投下して下さり、大いに勇気づけられた。今年も彼女の姿を探すが、憔悴しきった眼では探し出せない。ここらからレース継続と棄権との葛藤が最後まで続く。
完走証
 完走証。会場ですぐ発行してくれるのは有り難い。


  10.30〜35km(37分55秒/3時間49分42秒)
  30kmのエイドステーションでエアーサロンパスを両足に噴霧して貰ったが、脚の痛みは相変わらずである。ふと横を見るとオレンジのランスカ女性がいるではないか。置いて行かれたと思っていたが、ちょっとだけ嬉しい。(*^_^*) ここでも登りは躊躇無く歩く。(^^ゞ そしてコースは山川への長い下りに差し掛かる。錦江湾が綺麗に見える。誠に絶景!しかし太腿は激しく悲鳴を上げ止まりたい衝動に駆られるが、一歩ずつそろりそろりと下る。山川の町は鰹節を造る臭いがする。しかし、この港の湾曲の長さは何だ!山川駅のエイドステーションがすぐ其処に見えているのに、なかなか辿り着けないではないか。(-ー;)
  
  11.35〜40km(40分21秒/4時間30分03秒)
  JR山川駅をほんの少し過ぎた辺りが35km地点。既にサブ4は無理だが、毎朝のジョギングに於ける走力ではサブ4.5は不可能ではない。しかし、そのような意欲は毛頭湧かずに、只淡々と歩を進めるだけで、演算能力も欠落していた。最後の難所の上り坂が目の前である。脚が許す限り上り坂麓までゆっくりと走り、少し斜度が付いた辺りから歩き、ポケットに忍ばせていたゼリー飲料をチュウチュウと吸いエネルギー補給をする。坂を上り終えた国立病院前から走ろうとしたが、脚が攣って動けない。ガードレールに捕まり何とか屈伸運動を行い、超スローペースで走り始める。ゴールまであとたった5kmなのに今迄走ってきた道より遠くに感じる。エイドや水を見つけるとちょっと一服と食らいつく・・・。(^_^;)
 ホテル街に降りるホテル秀水園横の下り坂の意地悪なこと・・・。太腿が攣縮して転げそうになった。(>_<)
 あと約4km。 ゴールの魚見岳がすぐ其処に見える。しかし40kmの標識のある稲荷神社はなかなか見えない。ここで止まると5時間の交通制限解除に遇い車道を走れなくなると思い、ゆっくりでも何とか走り続けた。

  12.40km〜ゴール(14分06秒/4時間44分10秒)
  あと2.2km。なのはな館も陸上競技場もすぐ其処にあるのになかなか辿り着けない。根が尽き果ててしまいそうになるが、沿道から「もうすぐゴール!がんばれ!」と声援を受けると立ち止まるわけにも行かず、どうにか走っている状態を続ける。周りも同様にへばっているようで殆ど抜くことも抜かされることもない。しかも、陸上競技場外周の長いこと・・・。(="=) 這々の体で陸上競技場に帰ってきて、ラストスパートもせず淡々とゴールするつもりであったが、ゴール手前5mではしたなくも一人抜いてしまった。(^^ゞ

 記録 4時間44分10秒   50代男子部門順位521位/1574人中
                   総合順位2765位/13368人中


参加賞Tシャツ
  参加賞Tシャツ。胸を張って着たいのだが・・・(^_^;)
 一応自己記録を10分は更新したのだが、打ちのめされたような敗北感に沈んだフィニッシュでもある。
しかし、沿道の熱い声援、主催者やボランティアの方々の心に浸みる暖かいもてなしに励まされ、最悪の棄権だけは避けられたと幾ら感謝しても足りない。
 こだまさんは4時間12分58秒の快走。ばんさん初挑戦ながら5時間25分の好記録。

  13.レースを終えて
  レースが終わり3名でコースを逆走してヘルシーランドに向う途中もひっきりなしにランナー(ウォーカー?)が歩いていた。制限時間が8時間だから午後3時半頃に山川駅辺りで会った人達はゴールできないのだろう。それ以降にも沢山のランナー(ウォーカー?)がゆっくりと歩きながら連なっているが、彼らを観察すると、明らかに走れる出で立ちでない者、ピクニック気分で団体で嬌笑している者達、携帯電話を掛けながら歩く者、どう考えてもマラソンには不向きな巨大なバッグを下げている者、デート中なのか手をつないで歩く男女や、中にはタバコを吹かしている連中もいる。彼らの殆どが20代の若者と見受けられた。 42.2km÷8時間=5.275km/時間 若者ならほんの少し急ぎ足で歩けば、制限時間内完走(完歩?)は難なく達成できる数字である。 ちょっとだけでもジョギングに取り組めばオンジョの私が到底達成できないペースで走り切れるだろう。
 そして回収バスが頻回にレースを棄権し乗車を勧誘しているにも拘わらず、これに乗るのを頑なに拒み、周囲の困惑を顧みず歩き続けるのである。この大会は制限時間を過ぎてもボランティアがゲートを開けて待っており、自作の完走証を発行し豚汁の炊き出しでもてなすことで有名である。制限時間内にレースを終了できないことに何の罪悪感も感じることなく、誰かが歓待してくれることを当然の権利と錯覚しているのだろうか。 日本一制限時間の緩い大会だからこそ、せめて時間内にゴールできるように少々は鍛錬すべきと思うのだ。 何よりも彼らが挑戦しているのは他でもないフルマラソンそのものなのだから。
  レース後に目にした光景は無理が通れば道理が引っ込む、今の世相を反映しているようでもあった。 日本一暖かく、熱い声援の大会だからこそ、主催者やボランティアの熱意好意に走り(歩き?)で答えるべきだと老婆心ながら思うのだが・・・。

  今回は走力と甚だしく乖離した目標タイムが招いた喜劇と断じることが出来るが、神様が「還暦で自己ベスト」の余地を残して下さったと前向きに考えたい。(^_^;)


 表紙 鈍足おんじょランナー 第20回磨崖仏マラソン 第28回ランニング桜島