角玉(新) 

                        
(有)佐多宗二商店  揖宿郡頴娃町別府4910
Tel  0993−38−1121
      ゲットした日 : 平成17年5月4日
                     

角玉(新)  「角玉」佐多宗二商店の屋台骨を長年支えた銘柄である。10年程前から「晴耕雨読」が代表銘柄になり、さらに「不二才」のヒット等で、米焼酎が混和された独特の優しさを持つこの焼酎は少なくとも7〜8年前には静かにその役目を終えたようである。平成13年に蔵訪問の時にはまだタンクに沢山残っていると聞いたのだが、平成15年秋には蔵からもすっかり姿を消してしまった。 こんなに早く終売となるのなら、もう少し早く手を打ち完全な姿で保存すべきであったと切歯扼腕したのは言うまでもない。(^_^;)

  本年2月26日宝納酒会新年会でお会いした佐多商店の宮崎さんが新しく発売になったこの「角玉(新)」をにこやかな表情で紹介され(写真は泥酔→手ぶれのため公開に耐えず割愛m(_'_)m)、その旨さに思わず唸ったのだった。 しかしながら最近の薩摩酎界の傾向として新製品や割と気合いの入った製品は地元の酒屋には並ばず、遠くの裕福な巨大消費地に出荷されることが多く、購入を半ば諦めていたのだが、ぶらりと立ち寄ったマルダイ酒店でこの焼酎を発見し即ゲットした。

  ラベルは全体的に落ち着いた淡い薄緑の色調だが、濃い色の縁取り、左肩の角玉マークそして中央部の堂々たる銘柄名が旧ラベルの印象をを踏襲しているようある。原材料にはさつま芋(頴娃町産黄金千貫)と明記されトレーサビリティーに対する配慮も伺われる。黒麹で仕込む。アルコール度数25度。四合瓶五合瓶は同商店のHPには記載されていなかった。

  生で飲んでみた。穏やかなのだが陶酔しそうな唐芋の甘い薫りが立ち上る。口に含むと驚く程柔らかな口当たりと角を落とした滑らかさが秀でている。生でも何らストレスを感じない程優しいのである。
  ロックにして冷やすと優しいコクが凝集してくるようである。和水によるエグミは全く感じられず、グラスをゆっくりと揺らしながら氷が程よい濃さに導くのを楽しめる、所謂大人のゆとりを示す酒と言えようか。
  あらかじめ5:5程度に割水したものを黒ヂョカで燗付けすると、濃厚で芳醇それでいて実に柔らかい!後味の甘みも素晴らしく、燗冷ましの優しさもまことに心地よい。

  愚生の記憶するところ、佐多商店としては最初に取り組んだ黒麹仕込みの商品ではなかろうか。黒麹仕込み特有のコク深さと蔵癖が見事に融合した味わい深い焼酎に仕上がっていると感嘆せざるをえない。 飲み手の奔放なる期待にしっかりと応え、どのような飲み方でも優しい特徴を存分に楽しめ逸品である。

              平成17年6月20日記載