はなとり


         沖永良部酒造(株)   大島郡和泊町玉城字花トリ1999−1
                   Tel  0997−92−2884
          ゲットした日 : 平成15年12月27日 

  
  沖永良部島は鹿児島県最南端与論島の北に浮かぶ人口1万5千人程の農業・園芸の島である。 隆起珊瑚礁で出来た島の随所に鍾乳洞があるらしい。 また奄美群島区内では与論、喜界とともにハブの棲息しない島であり、この事が島人の人情に少なからず影響を与えているとされ、県下でも高い人気を誇っている。
 しかしながら珠玉の島も未だ訪れたことがなく、県内全蔵元飲査と共に、県内離島全踏査も愚生の宿願の一つとなっており、せめて還暦を迎える頃までには鍾乳洞に抱かれながら黒糖焼酎を飲んでみたいものである。

  この焼酎は精酎組きっての武闘派こだまさんより拝領した物である。 化粧箱、瓶さらにラベルまでも珊瑚礁の海を想わせる藍色のグラデーションで統一され、いかにも南国の酒らしい清涼感が漂っている。 割り水には沖縄久米島産の海洋深層水「球美の水(くみの水)」が使われ、アルコール度数20度に調整されている。 四合瓶の他に一升瓶もある。

  生で飲んでみた。 すっきりと端麗な甘味の奥にかすかに黒糖焼酎のコク深い味が垣間見える。 水が海砂に染み込むように何の抵抗もなく咽頭部を滑り落ちていく。 20度という度数よりももっと軽やかな度数を疑わさせる程である。
  ロックにして冷やすと、さらに抵抗が減弱し、アルコールという危うささえも覚らせない。(^_^;)
  そのまま禁断の燗付けにするとなんと意外にも重厚で飲み応えのある表情に一転する。後味はさっぱりとしているのだが、形容しがたい甘味の余韻に言葉を失う程である。 焼酎はやはり燗付けと原理主義的教義を再認識させられる。

  黒糖焼酎のエッセンスはちゃんと残しながらもあっさりと夏向きの味わいに仕上がっており、この透き通るような軽快感は海洋深層水で割った効果もあるのだろうが、他原料の焼酎ではなかなか出せない色であろう。 やはり生ないしロックでもしくは冷蔵庫で冷やしてそのままグビッと飲むのが本道だろうが、そのまま燗付けもなかなか味わい深いバラエティー豊な焼酎である。
  
              平成16年3月26記載