花白波
薩摩酒造 枕崎市立神本町26
ゲットした日:平成12年7月16日
「芋焼酎とはお湯割りで嗜む物である」、鹿児島県で生を受け育てられた私は金科玉条の如くこの不文律を信じて疑わずに、大阪で学生生活を送りそして成人した。
そして大学卒業間近に、より少量で鬱屈とした神経を麻痺させてくれる安い酒を求めて、近所の酒屋で沖縄の泡盛と出会うのであるが、かなり強い焼酎としか認識のなかった私は、不覚にもこれをお湯割りにしてしまい、あまりにも強烈な味わいに、世の中には人を寄せ付けない焼酎がある物だと畏怖の念を抱いたものである。(泡盛の名誉のために申し添えておくが、その後沖縄を訪問した際、ロックで飲んだ泡盛はとろけるような芳醇な味わいで、瞬く間に焼酎党の私を虜にしたのは言うまでもない。)
名古屋で就職するようになって数年経ったある日、飲み仲間を呼んで、「さつま白波」を飲ませたところ、アル中にも似た雰囲気を漂わせるH君は、なんと焼酎を生で飲むと言う暴挙に等しい荒技を披露した。
また、歌が上手く和製ビリー・ジョエルを彷彿させるS君は、お湯割りの薫りに辟易しつつも、ロックで嗜むという都会的斬新さを見せつけてくれた。
飲み方は異なっても、「芋焼酎は旨い!」というキーワードに集約される高い評価を得て、鼻の穴を大いに広げたものであった。
ちなみに酔いも手伝って気の大きくなった私から、彼らが不法入国外国人の如き巧妙な手口で、部屋にあった焼酎を略奪していったのは言うまでもない。
20年ほど前の青春時代の甘酸っぱい想い出である・・・(@^_^@)
前置きが大分長くなったが、焼酎というと鹿児島以外ではロックや水割りがまだ一般的である。そして芋焼酎はロックとかカクテル系統で、他の麦などの焼酎と比較され、不当にも敬遠されていることが推察される。
そこでこの理不尽な先入観の打破と、芋焼酎の全国的販路拡大及び愛好者獲得のために世に放たれたのが、この「花白波」である。
この焼酎の特長はなんと言っても、水割りで飲むために作られたことである。
そして他のメーカーが水割りで飲める焼酎造りに際して、麦焼酎や米焼酎をブレンドすると言った比較的安易な方策に甘んじたのに対して、薩摩酒造は新たに、バイオ育ちの酵母を開発し、あくまでも芋焼酎にこだわるという熱の入れようである。
味わいは芋独特の薫りを押さえて、さらりと軽やかな舌触りと喉ごしである。確かに芋焼酎の味なのだが、あくまでも芋の主張を控えめにした焼酎であり、カクテルのベースやチュウーハイにも合いそうである。
軽快な味わいは優れて夏向きで、レゲーとかフージョンを聞きながら、うだるような昼間にロックで飲みたい。「酒とバラの日々」の如き、えも言われぬ背徳感に酔いしれること請け合いである。 (ただし、家庭内平和のためには、休日だけにした方が良いでしょう。(^_^; )
巷には不精者のために、冷蔵庫で冷やしてそのまま飲めるように15%に水割りされた300mlの化粧瓶が出回っており、よくTV−CMにオンエアーされ購買意欲を煽っている。
ちなみに開発の趣旨を尊重し、お湯割りは試してはいない。