第8夜  猪口の功罪
  女将さんの「いつも沢山のお客さんを紹介してくれてありがとう。 お礼に吹上を1本プレゼントするね〜。(*^_^*)」との涙の出そうな台詞で飲ン方が始まった。 まことにかたじけない事でありまする。m(_,_)m

  この「吹上」であるが、私がホームページを立ち上げた2年程前までは、芋と麦のブレンド焼酎だった。 芋の薫りを嫌う人に対する配慮だったのだろうが、焼酎フリークの私としてはかなり寂しく思ったものである。 しかしながら最近芋と米麹オンリーのピュアーな芋焼酎にリニューアルしていた。 やはり市場の年を追うごとに強くなった、本物志向に対する反応であろう。 最近は「小松帯刀」「古薩摩」等、力を入れて良い焼酎を出している。 快哉である。

 まず「蛮酒の杯」を生で頂き、長期貯蔵酒のまろやかさに改めて頷いてしまう。 その後「吹上」「多楽喜」「蛮酒の杯」をそれぞれ5:5に川辺町の清魂水で割り水し黒ヂョカで燗をして猪口で飲んだ。
  ところがMさんが「猪口で飲むと確かにうんまか! じゃっどん、飲ん過ぎっで、コップで飲みたい。」などと言うではないか。 彼の弁によるとまず第1に5:5の焼酎は辛いから自由な濃度に自分で割りたいらしい。 さらに猪口ではどれだけ飲んだか解らないので、自制する間もなく、ついつい飲み過ぎるとのことである。 しかも飲ンベーは猪口に注がれた酒はついクイクイと一口で飲むし、空いた猪口の空しさが良く解るから、すぐに人の猪口に注いでしまう。 こうしてハイペースの無限地獄に陥り、鯨飲→泥酔→記憶喪失→二日酔いという望まざる不幸な結果を招来するという構図らしい。 
  その点、販促コップ焼酎だと自分の好みの濃度及びペースで飲めるから、私のような勧め上手が何人いようが関係なく適量をわきまえられ、大人の良識を保てると力説した。
  さらに私が先週持ち込んだ猪口は異様に巨大で、3杯分がコップ1杯だ!これでクイクイ行ったら想像を絶するほど飲み過ぎるのは当たり前だ!・・・等と私を糾弾しだした。
  
    ざるうどん&ソバ
    最後に出たざるうどん&ソバ。麦の穂をあしらい趣深い。もちろん味も良好。
    右側が先週キープした黒ジョカ。画面右下が筆者専用の猪口。



  う〜むむ・・・一理ある。(^_^;)
  そこに女将さんが、「最近あなた達がやるように、焼酎を徳利で燗をしてぐい飲みと一緒に出すと、お客さんが旨いと言って沢山飲んでくれるのよ〜。」と助け船を出してくれた。

  そうなのだ、まず焼酎を美味しく美しく飲むのが焼酎伝道師の本懐のはず。
好みの濃度は個人差があるから強制の出来る事柄では到底ないが、濃度が濃い方が・・・少なくとも5:5ないし6:4位が・・・焼酎の味わいや個性がより強く感じられると提案したい。  差しつ差されつ猪口を傾け焼酎を堪能し、会話に興じる・・・これが絵になるのであって、無機質なガラスの販促コップで飲む量を按配するのは、雰囲気、粋及び風流等の、元来日本人が求め続けてきた美意識が微塵も感じられないではないか。
  クイクイと飲み過ぎるのは何人と言えども抑制し難い。 客観的に旨いのだから・・・。(^_^;)  ついつい一気に飲んでしまうので有れば、猪口に並々注がずに、半分ぐらい注いでやれば済むことではないか・・・等と諭したのだが、改めて猪口の功罪について深く考えさせられた一日であった。
  
  しかしながら、最近の薩摩には、ポットのお湯と販促グラスでのお湯割りという安易極まりない飲み方が蔓延し、黒ヂョカと猪口と言う伝統的様式美を面倒臭がる風潮が横溢している。 焼酎伝道師としては美しい焼酎の愛し方を叫び続けなければならないと、決意を新たにした日でもあった。


表紙   焼酎の部屋   焼酎伝道師の集い    第7夜   第9夜

日時:
 平成13年4月6日(金)
場所:
 好味亭教会

 本日の主役
吹上(吹上酒造)
多楽喜(知覧酒造)
蛮酒の杯(オガタマ酒造)
 
 参加者
  Mさん、
  H隆さん、
  Aさん、
  にっしー

 本日のショケ
 刺身盛り合わせ、
 早出しらっきょう、
 手羽上げ、
 ナスと豚肉の炒め物、
 ざるうどん&ソバ