不二才


          佐多宗二商店  揖宿郡頴娃町別府4910番地
                      Tel  0993−38−1121
          ゲットした日 : 平成13年3月4日 

  
不二才 
  この焼酎「不二才」(ぶにせと読む。よかにせの反対の意。)はNシティの酒売場で買った。 いつもは例によってあれこれと迷うのであるが、田舎そのもののネーミングに斬新な黒のラベル、そして「薩摩の薩摩」とか「圏外者呑むべからず」などと、いかにも県外の愛飲家に対する挑発的なスタンスがいたく気に入り、ほとんど迷い無く購入した。
  薩摩出身で東京在住の焼酎評論家秘剣氏によれば、このようなコピーはことさらに薩摩固有の物と言い立て、自我の奔放なる発露を主張する「ことあげ」と呼ぶらしく、逆説的に真の芋焼酎愛好家にしか到底理解不可能な味わいを強調し、薩摩人ひいては焼酎愛飲家の自尊心をくすぐることになるらしい。
  まあ日頃、「最近は芋の薫りの薄い、県外者にも好まれるような口当たりの良い焼酎ばかりが増殖している。薩摩の焼酎屋はじごろ(地元土着人間の意)をなおざりにしている!(-_-メ)」、と嘆いているネイティブ薩摩人の鬱憤を見透かしたような出現の仕方で、溜飲の下がる思いである。

  開栓すると芋の香ばしい薫りが立ち、いやがうえにも期待が高まる。
  生で飲んでみると、始めに芋焼酎のしっかりとした骨格とまろやかさを感じ、次に甘さが引き立ってくる。 この味わいは一言では言い表せないのだが、多様性に富んだ七色の味わいとでも言うべきか、複雑で飲むたびに好奇心をかき立てられる。
  ロックにすると、最初多彩な味が冷却によって隠れたかと思わせるが、口に含んだまましばらくすると、味わいがじっくりと口中に広がる。実に楽しい。
  割水したものを燗して飲むと、芋の薫りが引き立ち、甘くふくよかで奥行きのある味わいであり、後味に旨さの残像が残りホワ〜ンとした多幸感に浸れる。 
  この焼酎のまろやかな味わいは佐多宗二商店「晴耕雨読」に通じるものであるが、さらに芋焼酎本来の芳醇、甘味、コク及びキレと言った骨格・旨味をストレートに表現した硬派の焼酎と言えよう。 特にお湯割りもしくは燗での味わいは薩摩人で良かったとシミジミ感じさせてしまう。(*^_^*)

  ただこの旨さは圏外人に全く理解不能かと問われれば、否と答えよう。
  芋焼酎の真骨頂を遺憾なく発揮しているこの製品こそ多くの人に味わって貰い、堪能し、そして薩摩という茫洋とした風土に想いを馳せて欲しいものである。 

                      平成13年4月17日記載