莫祢氏(あくねし) 

                        
大石酒造(株)  阿久根市波留1676
Tel  0996−72−0385
ゲットした日 : 平成14年1月31日
                     

  
莫祢氏
  Aptiva野郎さん阿久根遠征のお土産に頂いた1本である。 大石酒造の昔からの主力銘柄は「鶴見」であるが、最近はこの「莫祢氏」も人気が高いようで、鹿児島県酒造組合蔵元紹介のページでは代表銘柄として紹介されている。

  銘柄名になっている莫祢氏(あくねし)は平安時代から阿久根市地方一帯を収めていた豪族で、鎌倉以後島津一族の支配下にあり、1451年九代莫祢良忠は薩州島津家の家老として仕え、家名を「阿久根」とし、地名も「阿久根」に改めたらしい。

  ラベルは薩摩藩の丸に十の紋が描かれ、銘柄名が墨書されたシンプルな物である。島津家譜代の家系としての自負が大いに感じられる。(^^) 黒麹仕込みでアルコール度数25度である。

  生で飲んでみた。 芋の薫りはさほど強くない。 口に含みと柔らかくサッパリとした飲み口に感じるのだが、液体が咽頭部を過ぎた辺りから、あたかも穀類か何かをローストしたかのような重厚なコク及び後味がド〜ンと際立つ。 時間差攻撃の如き味わいに思わず恍惚となってしまう。 確かに芋焼酎なのだが、このロースト感は蒸留の際に創られる物なのだろうか? それとも蔵癖? 兎に角、爽快と重厚の連鎖で結局ゴイゴイ行く羽目に陥りそうである。(^_^;)
  ロックにすると、生で感じた味わいが全く崩れずに飲みやすさを増す。 後味の骨太感は未体験の旨さと言えよう。
  お湯割りにすると、ローストしたようなコクが前面に出てくる。 そして砂に染み込んでいく水のように、なんの抵抗もなく大脳皮質に伝達し、旨いと受け入れられる秀逸な味わいである。
  燗付けにすると、ふくよかさがさらに増すようである。

  大石酒造はカブト釜式蒸留機を使った「がんこ焼酎屋」を世に出すなど、焼酎造りに創意と工夫を日々重ねている蔵元である。 この「莫祢氏」も蔵元の情熱と探求心が生み出した味わい深い逸品であろう。 一瞬芋焼酎か否かを混乱させる程の際立つ個性は、生でじっくりとそしてゴイゴイと楽しみたい。


                         平成14年2月25日記載