まっこうくじら極私的電子頁


どでかい頭の秘密

     マッコウクジラ(抹香鯨) Sperm Whale   

(こちらを伺う Illustrated by honwakakujira)

 

 マッコウクジラの優れた能力のひとつに潜水能力があります.マッコウクジラは深さ1000mから3000m程まで潜水することが知られています.しかし,ヒトが直接このことを確認は出来ていません.“深さ3000mまで潜水する”というのは恐らく胃の中の食事の後から推測したものでしょう.

 大きな体を持つということは大きな浮力を得ているということにもなります(from 中学校の教科書(^^;)).彼らはどうやって深い海へ行ったり,海面へ戻ったりする力を得ているのでしょうか?

 その秘密は体の約3分の1を占める“どでかい”頭に隠されているのです.

 大きな頭部内部には多くの細かい管があり,その管は脳油と呼ばれる油が詰まっています.この部分を脳油器官(鯨蝋器官)といわれます.脳油は優れた油であり,このことがマッコウクジラが捕鯨の対象となった理由のひとつだと思われます.脳油の融点は約 27 度です.マッコウクジラは脳油を冷やしたり温めたりし、つまり液体化,固体化させることで密度を変化させ,深海に潜ったり,浮上したりする力を得ていると考えられています.(この脳油器官にはもう一個ヒミツがあったりします.これ別項にて...)

しかし,そんな簡単に脳油を冷やしたり温めたりできるのでしょうか??

 この点ははっきり分かっていない,というのが本当の所の様ですが,↓に記す仮説が有力な様です.

 マッコウクジラの頭の中を覗いてみますと,左前方にのみ,鼻にあたる噴気孔があります.鼻道に着目してみると左右非対称であることが分かります.左側の鼻道は脳油機関の外側にありますが,右側の鼻道は脳油機関の内部を通っているのです.このことから肺から送られた空気(二酸化炭素の多い吐き出す息)は左側の鼻道を通り,左側にある噴気孔から吐き出します.そして海水を噴気孔から取り込み,右側の鼻道を通ることで脳油を冷やす(そして深海へ潜っていく).逆に脳油を温める時には,脳油機関中に張り巡らされた毛細血管に多くの血液を送り込むことで,脳油を温める(そうして海面へ浮上する)のではないか??と考えられています.(この辺,言葉で書くと分かりにくいですね.でも上手い絵が書けないので(&いい感じの資料も無い←言い訳),ご勘弁を...(^^;))

 しかし,ほんわかくじらは思うのです.間違って左の鼻道から空気を吸いこむことはないのか?また吸い込んだ海水が肺に達することはないのか?実はこの点は ほんわかくじら は知りません(汗).ただ,ヒトの血液が逆流しないように,何らかの単純な仕組みで吸い込んだ海水が左の鼻道へ入ったり,肺にいったりしない仕組みを持っているんでしょう.何故単純な仕組みと考えるかというと,その方が間違いがないじゃないですか(笑).

 

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