山川町無形文化財
サンコンメ
■サンコンメについて
わが浜児ヶ水地区には先人から受け継いだ有形、無形の文化が数多くあります。その中でも「サンコンメ」に関しては非常に異質な祭りとして各方面から注目を浴びています。「サンコンメ」は、新春１月７日（以前は旧暦１月７日）ウネッの火（鬼火焚き）の前行事として行なわれています。これがいつの日から始まったものか記録も見当たらないし、その起源を知る人もいない。現在、特別養護老人ホーム徳光苑に入苑しておられる、当地区出身の浜島トメさん（明治４３年１２月２４日生まれ93歳）に聞いてみたが、物心ついた幼少の頃から行なわれていたと証言していることから、ずいぶん以前から行なわれていたことは間違いない。無病息災、家内安全、五穀豊穣などの祈願の文字を書いた半紙を貼った被い笠（カブイガサ＝バッチョ笠）をかぶり、顔にはへグロ（鍋や釜についた煤）をつけた、かぞえ年１５歳になってニセ入りを済ませたばかりの男の子を中心に若者や男の子が６尺２寸（１.８７９メートル）の孟宗竹を担ぎ、大勢の見物人の輪の中でグルグル舞いをする。 何回も何回も廻り、ヘトヘトなるまで舞うとついには担いだ竹を地面に放り出す、この様な動作を次々に交代で繰り返すうちに竹が割れ中から小銭が飛び出し飛び散る。見物人はこの小銭を拾い、神棚に供えてその年の幸運を祈るものである。担ぐ６尺２寸の孟宗竹には、被り笠と同じ祈願の文字を書いた半紙を貼り、両端の節間には１年の日数に相当する金額の小銭が入れてあり、縁起のよさを願っている。婦人会や老人クラブの人達は朝から準備した「キビナゴ」を混ぜたナマスを見物人にわけあたえる。このナマスを“めでたい”縁起物として、人々は喜んで頂戴する。保存会をはじめ、集落の役員や、消防団の人たちは御神酒を集まった人々についで廻ったり交通整理を行なう。また子供達は輪切りにした大根にヘグロをつけたものを持ち、誰かまわず顔に塗って廻る。この舞いは集落センターで準備して、まず集落センター前でもある農協の広場で舞い始め、野道の木戸（きど）、東の地蔵さん前、西の地蔵さん前、と舞い、舞納めを地区の先人達が見守る納骨堂前で行なう。こうしてサンコンメの行事を終えて海岸に下り割れた孟宗竹も各家庭から集められた門松とともに鬼火の中で燃やし一連の行事を終える。
■サンコンメの由来について
サンコンメの由来や、起源については先にも述べたとおり、知る人はいない様です。 古老や昔の記録など調べてみても、祭りが行なわれていたことは書かれていても、起源や、由来については定かではありません。また、サンコンメの語義についても正確な意味は不明です。三五舞・・・三合舞・・・三坤舞・・・三魂舞・・・三籠舞・・・三献舞・・・散米舞などともいわれます。サンコンメは海の漁と深い関係があるとされています。目が廻るほどくるくる舞うということは、船に慣れない若者が船に酔って気分が悪くなった様子を表現したものとか、船酔いに慣れるための通過儀礼的なものではなかろうかという説もある。これらのことについては、これから先何らかな形で探求したいと思います。6尺2寸の孟宗竹を使う意味についても上記同様です。
■「ヘグロ」について
この祭りでは子供達が、誰かれ構わず「ヘグロ」（まきで料理するとき鍋や釜などの底につく煤のこと）を大根などにまぶして見物人の顔になすりつけます。塗られた人はその年の一年間が平穏、安泰に暮らせ、災難を免れるといわれています。
■保存会について
浜児ヶ水 区長 湯元 清則
わが浜児ヶ水地区には先人から受け継いだ有形、無形の文化が数多くあります。 その中でも「サンコンメ」に関しては非常に特異な祭りとして各方面から注目を浴びています。時の流れを越えて伝承の文化を支えてきた先人達の心意気を浜児ヶ水に住む人々によって受け継がれることを願って保存会の活動を行なっております。昨年、山川町無形文化財指定を受けました。地域に伝承されるこのような文化は核家族化が進んだ現代社会で失われがちな世代間、地域の中でのふれあいの場となっており社会性の高い人間育成に一役買っております。
※保存会のメンバーは次のとおりです
保存会会長 湯元 清則 現区長
指導者 浜田 静雄 区長経験者
浜田 徳栄 区長経験者
野元 正広 区長経験者
浜田 篤二 区長経験者
浜田 健蔵 町文化財審議委員
永田 博 記録
永田 旭 ビデオ記録
村づくり委員 中村 茂男 区長代理
菱田 康彦 浜島 進 西道集落長
福島 光憲 今村 美喜夫 東道集落長
浜田 信一 芝 利安 野道集落長
浜田 健一 高尾集落長
永田 旭 青年会
浜田 栄吉 老人クラブ
浜田 ハルエ 生活改善部会
永田 英行 PTA 子供会
永田 光久 消防団
浜田 加代子 くるみの会
浜田 明治 民生委員
浜田 隆志 町議会議員