第53話 そもそも「覚える」とはナニか? その3
〜 「断片的な知識」が「知識」に変わるとき(後編) 〜



さあ,様々な機会をとらえて
勉強して「覚えた」ことがらを基に
「思考・判断・表現」しようではないか。



しかしである…その前に,ある「お笑い芸人」の話をしよう。

お笑い芸人のAさんは,修業時代に師匠から
ある「教え」を受けたという。

それは…,
「どんな面白い話を考えついても,それをすぐにステージで使うな!」
「普段の生活の中で,少なくとも3人に話してからにしなさい!」

という「教え」である。



バラエティー番組を見ていると
様々なお笑い芸人さんが
いろいろなエピソードを話している。

次から次にエピソードを披露して
たくさんの笑いをとっている芸人さんも多い。

しかしである。それらの話は,
決して,そのときの思いつきで話しているのではない。

思いついてから,様々な人に話してみて
相手の反応をもとに,少しずつ改善を重ねているのである。

何度も何度も話をしているうちに,
話の内容そのものが,しっかりと自分のモノになり

相手の表情の微妙な変化に応じて

話の流れを修正することができるようになっているのだ。

どんな状況下でも,自由自在に話を展開できる…。
それが「芸」というものであり
それができてこそ「プロのお笑い芸人」なのである。

さて,お笑い芸人さんのお話はこれくらいにして
お話を「断片的な知識」と「知識」
「思考・判断・表現」に移すのである。



賢明な中学生は,お笑い芸人の話でピンときたことだと思う。
そのとおりである…。

「断片的な知識」や「知識」を総動員して
ヒトに話をすることが大切になってくる。


または,

文章に組み立ててみるというのも有効だろう。



もっと具体的に言うならば
授業の中での「発表」だったり
ノートやプリントへの「記録」だったりするのだ。

また,国語に時間の発表は
国語の知識だけを組み合わせればよいというものではない。
その他の教科で学んだ,
様々な知識を組み合わせると効果的である。

さらに,理由や根拠をそえて発表することも効果的である。
「私は○○だと思う…その理由は・・・・」
といった具合である。

理由や根拠をそえることで,自分の思考が活性化するのだ。

お笑い芸人が「芸」を披露すれば披露するほど
確かな持ちネタとなり,
「自分の芸」になっていくのと同様に
「知識」も,使い込めば込むほど,自分の頭の中に
思考するための道具として深く刻み込まれるのだ。



さあ,中学生諸君!!

授業において「発表」するのだ。
考えたことを理由や根拠をそえて文章に「記録」するのだ。

それこそが「思考・判断・表現」の能力を鍛えるための方法であり
「知識」をより自分のモノにする方法なのである。

そして,今日からはアナタも「思考・判断・表現する中学生」なのだ!