第４５話　「勉強するのはヨイことか？」
〜　何を今さら…とお思いでしょうが　〜


「勉強するのはヨイことか？」

単純に考えれば
「ヨイこと」である。

複雑に考えても
「ヨイこと」である。

だったら
それで「ヨイ」ではないか？
今さら何を言っているのだ？

自問自答で日が暮れるのである。
（この辺がいかにも「まくべん」らしい）
ここでワザワザ「問題」にすることはないのである。



しかし
ワザワザ「問題」にするからには
それなりの「理由」がある。

特にお急ぎでない中学生は
是非ともシンキングタイムにお付き合い願いたい。

どうせ，タダである。
（読本はタダじゃないけどね…）



「勉強するのはヨイことか？」
と質問された，アベレージな中学生なら
多分，こんなふうに考える。

「テストでイイ点取れるじゃん！」
「イイ高校にいけるじゃん！」
「楽に高校に入れるじゃん！」
「推薦なんかも取り放題じゃん！」
「希望の仕事に就けるじゃん！」
「お金，ガッパガッパじゃん！」
「将来，楽に生きられるじゃん！」
「カッコイイじゃん！」
だから…
「勉強するのはヨイことじゃん！！」
というワケである。

それはそれで正しい。

そういう健全な意見に横槍を入れるつもりはない。

むしろ
「なんてピュア（純粋）な考え方なんだぁ」
と関心するのである。

でもね…である。
（あ…やっぱり横槍は入ってくるらしい…）



先の意見全てに共通するのが
「自分の欲望をかなえるため」
という理由なのである。

「自分がテストでイイ点数を取る」
「自分がイイ高校に入る」
「自分が希望の仕事に就く」

「自分が・・・」
というモノの考え方なのである。

それはそれでヨイとして…
しかし，それだけでは
ちょっと「弱い」ところもあるのだ。



例えば…
必死に勉強したのに高校受験に失敗する。
必死に勉強したのに大損をしてしまう。
必死に勉強したのに楽に生きられない。
そんなふうになってくると
多くの中学生は
「勉強して，ソンした」
と考えるようになる。


テスト前に必死で勉強したのに
思ったように成績が伸びなかった…

よくあることである。

そのとき，どう感じるか…である。
「自分の努力が足りなかった。もっとがんばる」
そう思う中学生なら
まだまだ見込みはある。

しかし
「勉強して，ソンした」
と感じる中学生ならば
成績の伸びも，多分そこまで…である。

「勉強するとソンをすることがある」
ということを学んでしまうからである。

勉強はツライモノであり苦しいモノである。
そんな勉強を必死に頑張ったのに
「ソン」をすることがあるなんて…
だったら，苦しい思いをしてまで
勉強なんかしたくない…と考える。

「自分の欲を満たすための勉強」だと
行きつける先は
まあ，だいたい，そんなトコロである。



実際にいるのだ。

「難関高校合格」という目標のために
自分の全ての自由な時間を
勉強につぎ込み
ライバルの何倍もの努力を積み重ね
実力をグングンと上げ
難関高校に見事合格！
で…自分の欲望をかなえた反動で
心が真っ白になってしまう…。
「燃え尽き症候群（バーン・アウト）」
というヤツである。

努力して欲望はかなえたものの…
その次の段階で
「もっと大きな努力が必要だよ」と
知らされたときに陥りやすい症状である。



逆に
必死に頑張ったが受験に失敗！

第二希望の高校へ通うが
やる気が全く出ずに
不完全燃焼を起こしてしまう。

「もう，どうにでもなれ…」
そんな気分が全てを支配するのだ。

悲惨な結末である。

そうなると
「勉強するのは良いコト」どころか
逆にアナタの人生にとって
「悪いコト」としてはたらくことにになる。



では，どうしたらよいのだろうか？

それは
「自分の欲をかなえるための勉強」から
「自分を高めるための勉強」への
シフトチェンジである。

いいじゃありませんか〜！
「自分を高めるための勉強…」
なんだか高尚（こうしょう）な感じがするではないか！！

これだったら
いくら頑張っても努力しても
決して「損したなあ」と感じることはない。

少しでも勉強することで
自分自身の「チカラ」が
少しでもUPする。

たとえ
推薦がもらえなくても
受験に失敗しても
思ったように成績がUPしなくても
テストの点数や順位が目標に達しなくても

アナタが勉強しただけ
アナタの「チカラ」は確実にUPしている。

だから
「決してソンはしていない」のだ。
そう考えることで
明日の勉強へのモチベーションを
高レベルで保つことができるのである。



ある日出された宿題を
徹夜も同然に必死に終わらせる。

翌日，学校へ行くと先生が
「あ，アレ？　あれはやりたい人だけがやればイイ課題だったんだよ」
そこで一言
「あ〜頑張って，ソンしたな〜！！」

今までのアナタなら
きっとそう言っていたハズである。

でも，今日からは
そんなふうには考えないんだよね。
きっと！

そして
そこまで悟った中学生は
自信を持って最初の問いに答えると良い。

「勉強するのはヨイことですか？」

「当然です。ヨイことです！」

「なぜですか？」

「それは，自分を高められるからです」
うわ〜…イイじゃないですかぁ！
カッコイイ〜じゃないですかぁ！！

是非とも身に付けたい
「精神的なカッコ良さ」
であり
「中学生の品格」
でもある。