第39話 「誰(た)がために勉強はする?」
〜 こんな「勉強の目的」もあるのだ 〜


誰のために勉強するのか?

普通は
「自分のためだ。」
と思って勉強している中学生が多いことだろう。


学校や塾の先生や
親や親戚,そして先輩たちから
「自分のために勉強するんだよ。」
と言われ続けてきたに違いない。

それは,それで大いに結構なのである。

しかし
他の考え方もあることを
是非とも
知っておいてもらいたい。



それは
「他人のために勉強するんだよ。」
という考え方である。

「自分のために勉強する。」
時々
「自分だけのために勉強する。」

カン違いしてしまう中学生がいるので注意したい。

「自分のため」「自分だけのため」
よく似ているが,全く違うのである。



勉強は決して
「自分だけ」のためにするのではない。
「自分だけ」のために勉強すると
ロクな大人になれないのである。

たとえ
猛勉強して「エラい職業」について
お金をガパガパかせいでも
「自分だけのため」に仕事をしている大人は
ロクなモンじゃないのである。

新聞やテレビのニュースを見ていると
そういう「ロクなモンじゃない大人」が
ウンザリするほど登場してくるのである。

「あ〜・・・なんか俺って,自分だけのために勉強しているかもなぁ・・・」
と感じる中学生は
十分に注意したい。



前にも書いたとおり
「自分のために勉強する。」
というのは正解である。

しかし,その前に
「じゃ,どうなることが自分のためになると考えるのか?」
という難問をキチンと解かなければならないのだ。

もしも,その答えが
「エラい職業についてお金をガッパガッパかせぐコト」
だとしたら,ちょっと待ってもらいたい。

そんな人は,もう一度
テレビや新聞に登場する
「ロクでもない大人達」をよく観察するべきである。

「まくべん」は・・・
「きっと,その大人達は,他人のために仕事をしたコトがないのだろうな。」
と寂しく思うし
「他人のために勉強するなんて考えたコトもなかろうな。」
と哀れに感じることさえある。



「自分のために勉強する。」
一直線に言われ続けてきた中学生には
ちょっとピンと来ないかもしれない。

しかし
「他人のため,人のために勉強する。」
というコトは,
とても尊いコト
なのである。

勉強は辛(つら)く苦しいものだから
その辛さ苦しさを
他人のために積み重ねるということは
奉仕のココロであり
ボランティアの精神であり
人間力であり
究極の「思いやり」である。

もちろん,オマケとして
いくらかの「自己満足」も付いてくるが

人のために勉強ができる人は
きっと素晴らしい人なのである。




初めのうちは身近な人のためでもよい。
「母上様のために,父上様のために勉強する。」
でもいいのだ。

自分の子どもが好成績をGetして
喜ばない親はいない。

希望の高校に合格し,理想の大学を卒業する。
世界の誰より,アナタの母上や父上が
喜んでくれるハズである。

つまり,アナタの勉強には
家族を幸福にする力があるのだ。



職業に就くと,世界が広がる。
すると
今度は
「世の中の人のため仕事をする。

当然
仕事をするからには
「報酬(給料や儲け)」を得るわけだが
「報酬を得る」コトが第一の目的ではないのだ。

「いや,報酬が第一」と感じる人は
別にそれでも構わないのだが・・・。




例えば医師になったとして
お金儲けのために患者を治療する医師と
患者を助けるために努力し
その結果,報酬を得る医師とがいる。

外見は同じに見えても
中身には大きな違いがある。



中学生には
「少しは人のために勉強しなさぁい!」
と言いたいものである。

そして保護者殿には
「私(親)のために,もっと勉強しなさい!」
と言ってもらいたいモノである。

保護者殿の場合は
それが結構,本音だったりするわけだが・・・

まさか
自分の子どもに
「キチンと勉強しなさいよ〜。私の老後のためにネェ!」
と言うのも露骨(ろこつ)かなぁ・・・
という後ろめたさが
「勉強は自分のためにするんですよ。」
という美辞麗句に
巧みに交換されているのかもしれない。

いやいや,そんなコトは決してありませんよね。
世のお父様方,お母様方・・・

フォッフォッフォッフォ・・・
失礼・・・失礼・・・




さあ,全国の中学生達よ!

アナタの
父上様母上様の輝かしい老後のために!

三代,いや十代先の子孫のために!

そして・・・永遠なる人類のために!

しっかり勉強するのだぁ!



ねっ!・・・ここまで来ると
環境問題なんかと同じ考え方でしょ。


自分が勉強したことは
最終的に人様のお役に立たないと
な〜んにも,ならないワケよ。


それでも,年末のクリスマスプレゼントや
お年玉のために勉強するのかなぁ?


ま・・・それもアリだけどね。

ボソ・・ボソ・・ボソ・・・

である。



  

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