第24話 「基礎・基本」は奥が深い
〜 円周率へのコダワリ 〜



2002年の学習指導要領の改訂において
小学校で「円周率は3でもイイよ」となった。
様々なところで論議が起きたが,
なぜか,2011年の改訂で元に戻ったようである。
中学生にとってはイイ迷惑である。
「3」でよかったり「3.14」まで求められたり…。
まあ,現代の大人の一貫性のなさと焦燥の表れである。
ため息をつきながら,広い心で許してもらいたい。

なお,コとの詳細は,そんな単純なコトではなかったのだが
多くの新聞やテレビは,ナゼがとんな論調を示した。


「3でイイヨ」の「賛成・反対」は,さておき
今回のテーマは
「基礎と基本の奥深さ」である。



「円周率(π)はいくらでしょう」
と先生が質問すれば

「3.14で〜す」
と,ほとんどの中学生が答えられるだろう。

中には「3くらい」と答える小学生もいるだろうが
まあ,それも「ヨシ」としよう。



一般的には「π=3.14」を答えられれば
「基礎・基本はバッチリ」と考えられているだろう。

では,「まくべん」として諸君に問うのである。

「円周率が3より大きいことを説明しなさい」

である。

「まくべん」予想では,これを説明できる中学生は
5%程度だろうと考える。



実際に2003年の東京大学の入試問題で
「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」
という問題が出された。

さすがに,3.05という数値では証明が厳しくなる。
(高等学校レベルの数学が必要である)

そこで「3より大きいことを説明せよ」としたのである。

これだったら
小学校6年生でも十分説明できる問題である。



「基礎・基本がバッチリ」
というのは
「それを
キチンと説明できる
というレベルであってほしいと考える。

「基礎・基本の勉強」をカンタンに考えてはイケナイのである。
「基礎・基本」とは,実は
奥が深く難しいことなのである。



ついでである。
次の問題にも挑戦してもらいたい。

「円の面積を求める公式が
半径×半径×π
になる理由を説明せよ」


解説編は,しばらく後に紹介する予定であるが
まずは自分の頭と言葉で考えてもらいたい。

数学担当の先生に聞くのもイイだろう。

そして「分かった」と思ったら
友達に説明してみると良い。

知識がアナタの中で
より確実なものになるのである。


2015年4月19日 改稿