第23話の16 どうして「英語」を学ぶのか 4
〜 どうやってチクワに穴を開けるのか 〜



英語を学ぶワケについて色々と考えてきた。

考えすぎて
アタマがゴチャゴチャになってしまった人もいるのである。

まったく心配はいらない。

「まくべん」の考えがゴチャゴチャしていたので
アナタの考えもゴチャゴチャなってしまっただけなのである。

申し訳ない・・・。

そろそろ,
スッキリとまとめたい。
と言うより「スッキリさせたい」が本音である。



英語を学ぶ理由・・・それは・・・

「アナタが世界とつながるため」である。



私たちの暮らしは,どうしようもないくらい
世界と深くつながっている。

食べる物は,ほとんど輸入品である。
石油などのエネルギー源も,ほぼ100%輸入である。
TVには様々な世界の情報が氾濫(はんらん)している。

政治も海外の動きや反応に大きく左右され
経済も大きな影響を受けている。

街を歩くとMドナルドやSターバックス
ファッションへの憧れはEルメスやBトン
車はBンツやJガーが幅を効かせ
「クールビズ」だの「マニフェスト」だの
「モチベーション」だの「インセンティブ」だの
「レリゴー」だの「ドラゲナイ」など
カタカナ文字があふれている。


先に話したとおり,海外の文化に憧れ
それを学び,「適応」してきた結果が
現在の私たち国である。



いくら,アナタが
「私はまったく,外国とは関係がない!」
と叫んでも

見えない世界との赤い糸・・・
いや,超合金製のゴッツい鎖(くさり)が
アナタの暮らしと世界をガッチリと結びつけているのだ。


そして,アナタにもいつか,どこで,必ず
世界との「遭遇」が訪れるのである。

「遭遇」を拒否したり恐れたりする人は
どこかの山奥で仙人として霞(かすみ)を食べて暮らすか
この国から脱出するしかないのである。

(あらぁ・・・脱出したら,ますます世界との遭遇である)



さて,そこでアナタが世界としっかりつながるためには
英語が必要になってくるのだ。

身に付ける外国語は英語に限ったことではなく
ドイツ語でも
フランス語でも
中国語でも
韓国語でも
スペイン語でもかまわない。

しかし
英語ができると様々な国の人とのつながりができるのである。

母国語を英語とする国は限られているが
母国語以外に英語を勉強している国は多い。


どうせマスターするなら

英語の方が「つぶしが効く」のである。



また,誤解がないように断っておくが
「世界とつながる」と言うと
どうしても健全なイメージが先行してしまう。

しかし
「つながる」と言うのは
決して
「仲良くする」ことだけではないのである。


諸君の友達や家族との「つながり」がそうであるように

世界や外国人とのつながりも
決して「平和」なものだけとは限らないのだ。


悪口を言ったり
いがみ合ったり
憎んだり,ケンカしたりするのも
「つながり」のひとつである。


逆に考えると・・・

外国語ができなければ
外国人と口(くち)ゲンカすることさえできない。
お互いが意味不明の言葉を叫び合うのである。

まるで動物同士が
「ぎゃーぎゃー,ワンワン,ニャンニャンニャン」
と言っているようなものだ。

口ゲンカは放っておくと,「暴力」に発展することだってある。
国家間の「暴力」とは「戦争」のことだ。
そうならないためには,十分な「話し合い」が必要なことは誰でも分かる。

できれば,仲良くつながりたいが
世の中は,「お手々つないで仲良しコヨシ」だけではない。



最後に,
英語を学ぶ,もう一つの理由を紹介する。

「私たちの国のことを,より深く知るためである」



外国語の勉強というと,
「外国のことを知るため」と考えがちである。
しかし,その逆も大切なのだ。

実際に外国人と会話をすると
会話の半分は,
「日本のことを説明している状態」になる。

好奇心が強い外国人なら
9割が「日本の説明」になると言ってもよい。


「どうして日本人は毎日お米を食べるのですか」
「どうして,家の中で靴を脱ぐのですか」
「どうしてサムライは二本の刀をさしているのですか」
「ワビサビとは,どんなワザビのことですか」
「日本画の作家で最も有名な作家は誰ですか」
「日本人は人に会うと,なぜお辞儀をするのですか」
「チクワにはどうやって穴を開けるのですか」
「アナタの国の一番の自慢は何ですか・・・」



我が国に関心をもってくれる外国人は
「日本人だから当然知っているだろう」と思って聞いてくる。

しかし
私たちは「あたりまえ」と思っているので
ふだん,あまり深く考えない。

これまた,逆に考えると
外国人との会話は「英語の知識」だけでは成り立たない
のである。

「国語」「社会」「数学」「理科」等々・・・
の知識が必要になってくる。

「私は英語が得意だから,将来,英語関係の職業に就こう」
「だから,国語や社会や美術は,後回しにしてぇ・・・」


このように考えている人がいたら
迷わず全ての教科の勉強に力を注ぐべきである。

英語の会話術は一流だが,
「会話の中身」を持たない人になってしまう。
多分,多くの人が,そんな人とは,会話をしたくなくなるのである。


もっとも
他人の悪口やうわさ話だけのコミュニケーションでよければ
それでもかまわないかもしれない。



う〜〜ん・・・どことなく,モヤット感が残る・・・