第19話 自分の中のバカと向き合う
〜 自分の「バカ」に甘えてはいけない 〜


授業でわからないことがあったり,テストで悪い点数をとったとき
「自分はバカだなぁ・・・」
「ワタシはバカなのではないだろうか・・・」

と思ったことはないだろうか。

きっと,あるのである!

ない人は気をつけた方がよい。
本当に馬や鹿のたぐいかもしれない。


さて,「自分はバカか・・・」そんな疑問への「まくべん」の答えは

NO!
である。
(ナンバーではないのである。念のため・・・)



「アナタは決してバカではない。」

人間だから「わからない」のであり,「忘れる」のである。

「忘れる」のはアナタの「脳」が不完全だからではない。
むしろ,
アナタの脳が「完全」にできているから忘れるのだ。
 
だから「あなたは決してバカではない」。

勉強がイヤになったら思い出してほしい。



それでも「ワタシはバカだ」と思い込む人はいる。

「ワタシはバカだ」と思いこむ原因はいろいろあるが,
特に次の2つのタイプが多いように思う。
(特に根拠はない。まくべんの経験上そう思うのである。)
(だから,たいしたことではない。


それは
「周囲の人が気になるタイプ」

「今までに不自由なく生きてきたタイプ」
である。

「周囲の人が気になる・・・」というのは,
今までに「人と比べられて」生きてきた人に多い。

兄弟姉妹や,親戚,同級生と比べられてきた人である。

よく言われただろう。

「お兄ちゃんは良くできるのに」
「お姉ちゃんに比べてアンタは」
と・・・。

そのとき,アナタは思っただろう。

「弟といっしょにしないで!」
と。

そして,いつのまにか,アナタ自信が無意識のうちに
「人と比べて」生きるようになってしまったのだ。

テストで高い点を取った兄弟姉妹や友人を見て,
「頭いいなあ。それに比べワタシは」と思うようになったのである。



記憶する力や仕組みは「他人と比較できるモノ」ではない。
なぜなら,
みんな「同じ」だからだ。
ただ
「記憶するためのくり返し(努力)」は異なる。
それが自分との他人との成績の差として出てくるだけなのだ。

人生始まったばかりだ。
今から始めれば十分間に合う。
アナタが今,始めるならば。



「なに不自由なく生きてきた」アナタは
欲しいモノはほとんど手に入れてきたタイプだ。

困ったことに,このタイプは,ほとんど自覚症状がない。

生まれてから今まで,欲しいモノはほとんど手に入れている。
手に入らなければ,泣いてダダをこねる。
すると
代わりのモノくらい手に入ったはずだ。


「自分はガマン強さに欠ける」と感じる人は,このタイプだと思ってよい。

そんな人にとって,「知識」だけは
自分の努力なしに得ることができない,初めてのモノなのだ。


「小学校の時は,まあまあできたのに。」

となげきの声が聞こえてくる。

それは当然である。

機械的記憶力は幼い子ほどズバ抜けている。

それが成長とともに,弱くなっていくのが脳の運命である。

アナタは今まで,
機械的記憶力という貯金で学習してきたのだ。

「小学校では成績が良かったが,中学校ではダメだ」
逆に
「小学校ではパッとしなかったが,中学校に入って成績が伸びた」
「高校では・・・」

という話はよく耳にするだろう。

それは,成長に伴う
脳の記憶のしくみが変化するからなのである。



人により個人差はあるが,記憶のしくみは
小学校から中学1年までが「機械的記憶法」
中1から中2くらいが「図式的記憶法」
中3から高校にかけて「理論的記憶法」
と変化するのだ。

今回はあまり詳しく説明しないが
小学校から中学校へ
そして高等学校へと進むにしたがって
「機械的記憶(丸暗記)」だけでの勉強は通用しなくなるということだ。

高校の学習は,情報が多くなり,そして複雑だからである。
どうしても
「理論的記憶法」による勉強が必要になってくるのだ。
(記憶法の発達については,次話で詳しく書く)



さて,「なに不自由なく生きてきた人」は,

そろそろ自分の力で生きることを学ぼう。
不自由を楽しもうではないか

である。


世の中は「思いどおりにいかない事」の方が多いものだ。

そして
最初のコトバにたどり着く。

「アナタは決してバカではない。」

同時に,こんなことも言えるのだ。

「できないんじゃない。やってないだけ。」

「テスト問題ができないんじゃない。
テストに出たところを勉強してなかっただけ。」




自分の成績の悪さを「自分のバカ」のせいにしてはいけない。
自分の「バカ」に甘えてはいけないのである。

そうでなければ
アナタの脳の中で24時間休まず頑張っている,
海馬君や大脳皮質君たちに申し訳がないのである。


ここまで読んで,「それでもワタシはバカだから・・・」と感じる人は
自分の「バカ」に,少しは自信を持ってもよいのである。
そして「まくべん」は,自分の無力さに苛(さいな)まれるのである。

あなたの勝ちである。