第15話 勉強して伸びる人はどんな人か
  〜 勉強はスポーツや仕事と同じなのだ 〜



勉強して伸びる人はどんな人か。
第14話で「伸びない人の人格」を紹介した。
たくさんの×がついた苦い思いが頭をよぎるであろう。
では,どんな人が伸びるタイプなのだろうか。
今回は,そのへんを考えてみる。

結論から書くと,次の2点につきる。
「伸びる人のタイプ」究極の2点である。

「素直である」
「根性がある」


たったこれだけである。
深く考える必要もなかったかもしれない。
しかし,
それでは「まくべん」でなくなるので,
もう少し考えよう。



問題1 「素直とは何か」

現在では「すなお」は「素直」と書くが,
昔は「淳・素・朴・質」などの一文字を「すなお」と読んでいたらしい。

 国語辞典を引くと「他人の言うことを受け入れられる様子」とある。

つまり,
人の話をちゃんと聞き,そのとおりに実行してみるということだ。

勉強に関する素直さとは,親や学校や塾の先生達の言うことを,
きちんと聞き取り,それを実行するということだ。

たとえ,その内容が苦しく困難なものであっても,
ちゃんと実行するということなのである。



 よく自分の成績の悪さを,塾や学校の先生のせいにする生徒がいる。

「あの先生の教え方は下手だ」
「あの教科の勉強はつまらない」
「この塾の教え方は良くない」


 成績が上がらないイライラした気持ちもよく分かるのだが,
そんな人は,もう一度よく考えてほしい。

あなたは,その先生の言うとおりの方法で,
きちんと努力し,その結果出てきた成績を見て言っているのか



努力もなしに
そこに座って話を聞くだけで勉強できるようになる塾や学校は
絶対にない。

それができる先生がいれば「まくべん」が習いたいくらいである。


また,
「先生の説明の仕方が悪いからよくわからない」
と言う生徒もいる。

それならなぜ質問しないのだ。
本当にわかりたければ質問しなければならないのである。

「わからない」をそのままにしておいて
本当にわからなくなるのは
生徒の責任である。

「わからない」と生徒から質問されて
わかるように説明できなければ,
それは先生の責任である。




「素直」という要素は,勉強だけに求められるものではない。

私たちが趣味や仕事で新しい技術を身につけようというときにも
この「素直」が大切になってくる。

想像してみたまえ。

素直じゃない野球選手は監督の言うことなんか絶対にきかない。
監督が「フォームが悪い」「もっとこうしたらイイ」「もっと走り込め」と言ってもキツイから,
なんだかんだと理由をつけて無視する。
これでは一流選手にはなれない。

○素直じゃない医者    
○素直じゃない警察官
○素直じゃない運転手
○素直じゃない美容師
○素直じゃない教師
○素直じゃない裁判官

 どれもこれも素直じゃなかったら大事故や大事件に発展しそうな「素直じゃない」である。
そして
その他の全ての職業が「素直」を求めていると考えてよいだろう。



問題2 「根性とは何か」

これも辞書を引こう。

意味の一つに
「何事にも積極的に立ち向かおうとする強い性質」
というのがある。

勉強することは全てが「初めて」のものである。
すでに知っている事であれば,勉強する必要はない。

だから
勉強するためには
「何事にも積極的に立ち向かおうとする強い性質」
が強く求められる。

でも
「私は根性がなくて」
という人もいるだろう。

当たり前なのだ。
生まれつきの根性を持っている人なんていないのである。

根性は作られるのである。
勉強の根性は勉強することで作られるのである。



わからない問題をわかるまでやってみる。

簡単にはわからないが,それでもやってみる。

質問してみる。

声に出して読んで,書いてみる。

そしてわかる。

少し根性がつくという具合である。


少しの根性がついたら,
次は少しレベルの高い勉強が可能になる。

ここで調子に乗って,
一気に高レベルの問題に挑んだりすると,悲惨な結果が待っている。



これもスポーツに例えるとわかりやすい。
今度はサッカーでいこう。

入部したての新入部員に「リフティング100回」の課題を出したとしよう。
一度のチャレンジで失敗してサッカーをあきらめる部員がいるだろうか。

ほとんどの部員は失敗しても何度も何度も挑戦するはずだ。

そして,
いつかは
課題がクリアできる。

ちょっとだけ根性がつく。


もちろんその程度の技術や根性で,
地区大会や県大会をのりきれるはずはない。

徐々に課題を難しく,
練習量も増やし,
特訓を重ねて,
試合に臨める根性を作り上げていくのが普通である。

では,
サッカーで鍛えた根性が勉強でも役に立つか・・・というと,
「少しは役に立つかもしれないが,あまり効果は期待できない」
が正解である。

なぜなら,
サッカーと勉強では「好き」のレベルが違うからである。

勉強の根性は,勉強でキタエルしかないのである。



さあ,勉強を始めよう。

こんな長い説教文を最後まで読んだあなたは,きっと素直で根性のある人だ。