第12話 テレビとの仁義なき戦い
〜テレビとの「別れ話」の進め方〜


あるお母さんがこんなことをつぶやく。
 
「ウチの子がテレビを見ているときの集中力はスゴイんです」
 そりゃ,そうだろう。

 テレビは
発光による視神経や脳への強烈な刺激をはじめとして,
ありとあらゆるハイテク&ローテクで観客を集中させる力を持っているのだ。
集中して当たり前なのである。

 間違ってはイケナイ。
観客がテレビに集中する能力を持っているのではなく,
テレビが集中させる能力を駆使しているだけなのだ。

だから,毎日のようにテレビに集中させられていると,
集中させてくれるモノが無いときに,集中できなくなる。

(マジだ)


まして,ただでさえ勉強で集中するのは難しいのに,
テレビの長時間視聴が癖になっている中学生が,
勉強で集中できるはずがない
のである。
当然のことだ。
(これもマジだ)



 テレビとの別れ話は難しい・・・。
よくコジれる。
それも1日2時間以上見ている中学生にとっては
大変困難な問題である。

また,「テレビと別れる」といっても,
その中毒レベルにより対処が異なってくる。

「まくべん」は,「どうしてもテレビと決別できない症状」を,
勝手に
「テレビ中毒」略して「テレ中」と名付けた。

さらに
「まくべん」流のレベルを設定してみた。
なお,「テレ中」は難病なので,過激な治療方法を必要とする場合もある。
「テレビとの別れ話」を
実行する場合は,
不測の事態に備え
細心の注意をはらい,
「家族とよく相談して」から実行してほしい。



「健康状態」

平日のテレビの視聴時間が1時間以内の者を指す。
特に問題はない。
心配もない。
しかし
「本当に見たいものだけを見る力」育成のため,
視聴時間を制限する努力は必要である。



「軽度のテレ中」

平日の1日のテレビ視聴時間が1時間から2時間程度の者を指す。
中学生が毎日2時間近くテレビを見るなら,
軽度の「テレ中」と考えて良い。

1時間ドラマにして1日2本,1週間で14本。
当然,学習内容の「記憶」に使われるべき脳の活動も鈍りがちになる。
海馬君の睡眠学習効果も期待できない。
その分,他の人に比べ
150%の「復習時間」が必要になる。
頑張りたまえ。望みはある。



「中度のテレ中」

平日のテレビ視聴時間が2時間から3時間の者を指す。
これぐらいになると「日常生活や学習での集中度」に大きな影響が出てくる。
学校での授業時間の理解度も極端に低くなる。
健康な人の
2倍の「復習時間」が必要になってくる。



「重度のテレ中」

 テレビ視聴が3時間から4時間の者を指す。
睡眠時間も確保できず,学習だけでなく健康や美容をはじめ,
生活全体にも大きな障害が出てくる。
もはや「復習」は何の役にも立たないし,できもしない。



「末期的テレ中」

 テレビ視聴時間が4時間以上の者を指す。
まさに末期的状態である。
筆舌に耐えない。



 「テレビとの別れ話」は本人の意志の強さにより大きく変わってくる。

▼「軽度のテレ中」で意志の強い者なら,
新聞のテレビ欄を見ながら,「1日1本」と見る番組を決めればよい。
そして,番組が終わり,
予告編が終了したら,
,その場を立ち去るか,
スイッチを切ればよいのだ。

「スイッチを切ることができた満足感」が
「もっと見たい」という欲に勝つ快感を体感できる。
普通,1週間程度で健康状態に戻る。

▼意志が弱いのなら,「家族での取り決め」や「約束」が必要である。
 親が心を鬼にして「早く消せ!」といった言葉に
「ウッゼーなぁ〜」と毒づきながら,
シブシブテレビを消して教科書を開くのである。
この場合,心の中で家族に
「アリガトウ」と唱えることをお忘れなく。
でないと憎しみが蓄積し,家の中が殺伐としてくる。

▼軽度及び中度の場合,とても自分で消すことはできない。
この場合,家族に消してもらう必要がある。
 机に向かって「チクショウ,チクショウ,チクショウ」と3回叫んで勉強に入るとよい。
ほぼ10日間続けることで,中度・重度から軽度へ回復が期待できる。

▼末期の場合,これはどうしようもない。
家からテレビを無くすしかない。
電源を切ったり,アンテナ線を外したり,
押し入れや倉庫に入れるくらいでは治らない。
末期的テレ中は,どんな手段を講じてでもテレビの画面に食らいつこうとする。
一時的には泣く・わめく・叫ぶ等の大騒ぎで
救急車は来るわ,パトカーは出動するわ
特殊部隊には包囲されるわ…
それはそれは,大変なコトになりかねない。

………健闘を祈る。



しかし,「まくべん」読者なら,
どんな状況下でも,必ず「テレビの時間」を減らすことができる。
なぜなら
「本気目標」があるからだ。

「本気目標」は無敵である

そして何よりも大切なのは,

「テレビを見たがるもう一人の自分と本気で話し合うこと」
なのだ。

 それが普段の生活の中でキチンとできるようになれば,
アナタは「テレ中」どころか「テレビマスター」になれる。
略して「テレマス」である。
(う〜ん,これもシックリこない。命名センスは最悪である)