第12スキル「出水兵児修養掟(その2)」
 〜 え? 読めない?では読んでさし上げよう 〜



いじわる「まくべん」は「出水兵児修養掟」を紹介しておきながら
なんと不親切にも,その読み方を指南せず
「勝手に読んだらぁ〜?」的な態度をとってしまったのである。


それはそれで十分に意図的な振る舞いなのであるが

「読めないっ!」といった声を聞くと

「それくらいは自分で調べなさい」
と言い放つワケにもいかないなぁ〜と感じているのである。


なにしろ,
現代の中学生には
極めて
難解な文章である。

「出水兵児修養掟」が作られた時代を生きた
「元服」を迎えた青年武士なら
これくらいスラスラ読めて当たり前なのだが
なにせ現代は
成人式を迎えた青年が公(おおやけ)の場をわきまえず
破廉恥な騒動を起こす御時世である。

せっかくの有り難い教えも
読めなくてはナンにもならない。

そこで,今回は
「せめて読み方だけでも…」というワケで
「出水兵児修養掟」
読み仮名をふってみるものである。


では,参るのである。



出水兵児修養掟
い ず み へ こ し ゅ う よ う の じ ょ う


士ハ節義を嗜み申すべく候
しは  せつぎを  たしなみもうすべく  そろ

節義の嗜みと申すものは 口に偽りを言ハず
せつぎの  たしなみと  もうすものは  くちに  いつわりを  いわず

身に私を構へず 心直にして
みに わたくしを かまえず  こころ すなおにして

作法乱れず 礼儀正しくして
さほう みだれず れいぎ ただしくして

上に諂らハず 下を侮どらず
うえに へつらわず  したを あなどらず

人の患難を見捨てず 己が約諾を違ヘず
ひとの かんなんを みすてず   おのが やくだくを たがえず

甲斐かいしく 頼母しく
かいがいしく  たのもしく

苟且にも 下様の賤しき物語り悪口など 話の端にも出さず
かりそめにも  しもざまの  いやしき ものがたり あっこうなど  はなしのはしにも  ださず

譬恥を知りて 首刎ねらるゝとも
たとえ  はじをしりて   くびはねらるるとも

己が為すまじき事をせず
おのが  なすまじきことを  せず

死すべき場を 一足も引かず
しすべきばを  ひとあしも   ひかず

其心鐵石の如く 又 温和慈愛にして
そのこころ てっせきのごとく  また おんわ じあいにして

物の哀れを知り 人に情あるを以て
ものの あわれをしり  ひとに なさけあるをもって

節義の嗜みと申すもの也

せつぎの たしなみと もうすもの なり


以上である。





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