第3スキル「現代中学基礎日常会話講座 1時間目」
〜 会話貧困時代を生きる 〜



まくべん読者からリクエストがあった。

「苦手な友達との会話がうまくできない」
「なにか良い方法はないだろうか・・」


まくべんは
「中学生に特別な話術は必要ない」
と考えている。

中学生時代は様々な人間と
自分の思いや考えで様々な会話を交わし
「成功する経験」や「失敗する経験」を
積み重ねるべきである。

そういう試行錯誤の中で
より自分らしい会話術を
無意識のうちに身に付けていくものである。

下手に「会話術」にこだわって
自分らしさを失ってしまう結果にもなりかねない。

周囲の人々との多くの会話経験を通して
自分流の会話術をみがかなければならないのである。



かし・・・である。

よくよく考えてみると
アナタのお爺様,お婆様の時代と違って
現代の中学生は「会話」の機会が非常に少ない。

家庭や学校の中で
多くの会話をしているようで
「ほとんど,まともな会話をしていないのでは?」
と感じるくらいである。



まず
家族構成が大きく変化している。

兄弟姉妹の数が激減し
祖父や祖母や叔父や叔母とは
別居が「当たり前」である。

テレビやビデオゲーム,PC
携帯電話やメール等の影響や
お父上やお母上の仕事の都合
アナタの塾やけいこ事の都合によって
親子間,兄弟間の会話でさえ
確実に減少化の方向に進んでいる。



近所を見回せば
ガキ大将は絶滅し
近所の「○○にいさん」や「○○ねえさん」
「○○おじさん」や「○○おばさん」もいない。

親切に声をかけてくれるオジさんは
変態野郎の不審者扱いである。



学校ではどうだろう。

心から信頼できる友達の数は少なくなっているらしい。

一方で
仲よしグループや集団の影響は強くなり
何らかのトラブルでグループからはじき出されると
自分の居場所が全くなかったりする。

そんな可哀想な友達に声をかけると
次は自分が「村八分」をくらってしまう。

部活の先輩や後輩関係も
妙にギクシャクしている観がある。



だから
自分の意見や考えを
ストレートに主張することが難しい。


言いたいことも我慢したり
自分の中で「ムカついて」処理したりする。

たまに自分の意見をストレートに主張すると
周囲から「自己中」のレッテルを貼られる。

そんなこんなの会話貧困時代である。
明らかに昔の中学生に比べ
会話の機会は減っているのである。

会話の機会が減るから
当然,会話による失敗の経験も少なくなる。
失敗したくない中学生にとっては良いことだろうが
それは,とんでもない「間違い」である。

人は生まれながらにして「完璧」ではない。
多くの経験と失敗を繰り返して
少しずつ「まとも」になっていくのだ。


相手の言葉で自分が傷つき苦しむ。
自分の言葉で相手が傷つき苦しむ。
ケンカをしたり仲直りしたり。
意見を交わしたり反発したり。
議論や言い争いで勝ったり負けたり。

そして
それらのトラブルを修復したり失敗したり…である。

「失敗をしない」ということは
「永遠に未熟のまま」ということ
であり
多分,そのまま大人になっていくのである。



大人になってからの「会話の失敗」は
様々な利害や世間体が複雑に絡んで
そう簡単には修復できない。

なかなか「自分の失敗」を認めたがらない。
「失敗を認めるのは敗北に等しい」と考えてしまう。
最終的に「相手のせい」や「世の中のせい」にする。
モンスター・なんとかとか
クレーマーと言われる人々である。



それは,さておき!!

そんなこんなの
会話貧困時代を生きる中学生である。

「勇気を出してドンドン会話をしなさいね・・・」
と言っても
ドンドン会話をして
ガンガンとダメージだけくらうのも可哀想である。

と言うより…
大人でさえ会話貧困症候群に蝕まれている現代である。

基本的な会話のためのスキルは
身に付けておいた方が良い…
と考えるのである。

そこで,数回に渡って
「現代中学基礎日常会話講座」
を開講するのである。

略して
「中会話」である。

多分…いつものことながら
それほど画期的な内容は期待できないが
勉強の合間にでも覗いていただければ幸いである。

では…次回,お会いいたしましょう…である。

今日の授業は,これまでである。




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