第73小ネタ 「マブタを閉じて記憶力UP!」
〜 休み時間の使い方 〜


学校での「休み時間」や
家で勉強しているときの「休み時間」を
アナタはどのように過ごしているのだろうか?

多分…学校では友達とペチャクチャおしゃべり
家では茶の間でテレビ鑑賞
ひょっとするとマンガを読んだり
ビデオゲームをしたり
PCをいじってみたり
スマホを突っついてみたり
そんな感じ過ごしているだろうと考える。

一生懸命に集中したあとである。
疲れた心と脳ミソをじっくり休ませて
次の勉強にとりかかろうという気持ちは
痛いほどわかるのである。



ぁ〜し…である。
2014年にイギリスの大学が発表した
とても
興味深い実験があるので紹介したい。



まず,30人ほどの被験者(実験台になる人)を
AグループBグループの二つに分かれてもらう。

次に全員に,この世には存在しない

デタラメな英単語のようなもの
をたくさん覚えてもらう。



全員が単語を覚えたところで
Aグループには「次の実験の準備をしますから」と伝えて
静かな部屋に案内し,10分間目を閉じて過ごしてもらう。

Bグループには「次の実験までゲームを楽しんでください」と伝え
コンピュータで「間違い探しゲーム」をしてもらう。

10分たったところで,両方のグループ全員に
コンピュータで「間違い探しゲーム」を
5分間楽しんでもらう。



「間違い探しゲーム」が終わって
しばらくしてから
単語テストである。
30分前に覚えたデタラメな英単語を
どれくらい覚えているかを試すテストである。


さて,ここでアナタに問題である。
テストの成績がよかったのは
A・Bどちらのグループでしょうか…
である?

テストの結果は,もうちょっと下の方に書いておくのである
自分なりの「予想」を立ててから読んでいただきたい。






















はい,このへんに書くのである。

実験の結果
記憶したあと,目を閉じてリラックスした
Aグーループの得点は70点くらいであった。

一方,記憶した後に間違い探しゲームを楽しんだ
Bグループは55点くらいであった。
なんと,15点ほどの点差で
Aグループが勝利したのである。



さらに,
1週間後に被験者全員に集まってもらい
もう一度
単語テストをしたらしい。

結果は…
Aグループが45点,Bグループは30点。
またもや15点の差をつけて
Aグループが勝ったというから
これまた,ビックリである。

「え〜ほんとかなぁ〜」
「Aグループの人たちは,もともと頭がイイ人たちなんでしょ?」

そんな声が聞こえてきそうなのである。

しかし大学の実験というものは
そんなマヌケなことはしない。

A・Bのメンバーを入れ替えて実験したり
他の集団で実験したりと
理論や実験の妥当性を何度も検証している。
それでも同じ結果が出たというから
ホントにホントにビックリ・ビックリなのである。



さて,この実験から
何が見えるのかを考えよう。

AグループとBグループの
違い
単語の暗記をした直後の10分間を
どのように過ごしたか
という違いである。

もう一度確認しよう。
Aグループは暗記直後に,目を閉じてゆったり過ごした。
Bグループは間違い探しゲームをして過ごした。

その他の条件は,まったく同じである。



普通,人間は目を閉じると何も見えなくなる。
当たり前である。
目からの情報が入ってこないので
その分だけ,
脳の活動がゆったりとなる。

一方,間違い探しゲームをすると
目から
大量の情報が入ってくる。
その上,間違いを探すために
フルパワーで活動することになる。

ものを覚えた直後に
脳をゆったりさせるか,フルパワーで活動させるかで
30分後,7日後の単語テストで15点ほどの差となって
表れてくるらしいのである。



このことから,「まくべん」は考えたのである。

「覚えたことが,脳に染み込むまで一定の時間がかかる」
のではないか?



それでは,いつもの
たとえ話である。

今,アナタの目の前に
二つの植木鉢がある。
植木鉢の中には
70%ほど土が入っている。

そこへ水道からホースで
を注ぎ込む。
結構な勢いでジャバジャバと水を注ぐ。


そのうち,植木鉢のフチから
水があふれ出す。
これ以上は入らないので,
水道を止める。

植木鉢からあふれそうになった水は
しばらく待っていると
少しずつ植木鉢の土に染み込んでいく。

さらに待っていると
全ての水が土に吸い込まれる。
これがAグループの状態である。



では,
Bグループは,どのような状態かというと
ホースで注いだ水があふれ出し
水道を止めるところまでは同じである。

その直後,
植木鉢を傾け
土の上に
たまった水を捨てている状態である。



この二つの植木鉢を
それぞれの作業が終わって並べてみる

見た目は,ほとんど変わりはない。
しかし,
植木鉢の中に残っている水の量はどうか?

それは,中学生なら簡単に予想できると思う。



さて,これまでのコトを,軽くおさらいである。

○ 勉強終了直後の数分間は
覚えたことが脳ミソに染み込む
ゴールデン・タイム(GT)である。

○ GTでは,マブタを閉じて
脳ミソをゆったりさせると
記憶力がUPする。




このことを参考にして
自分の勉強法に生かすとしたら
次のような
アイデアはいかがだろうか?。


【学校では】

授業が終わった
直後
30秒でも1分でも
マブタを閉じてリラックスする。

教室でやるのが恥ずかしいならば,
廊下や階段の隅,特別教室でも結構である。
また,教室移動では,一番で移動して
ゆったり時間をつくればよい。

ただし
授業中のリラックスは厳禁である。
居眠りと勘違いされ
とんでもないコトになってしまうのである。


【家では】

勉強時間の合間に
休み時間をつくる。

勉強する
教科が変わる節目
「考える勉強」から「覚える勉強」に切り換える節目
今日の
復習から受験勉強に切り換える節目などが
休み時間をセットするタイミングである。

休み時間は
マブタを閉じてリラックスである。
くれぐれも…
ゲームやマンガ,テレビにケータイは
NGである。

机の前で
イスに座ったままでやるのがよい。

また,休み時間だからといって
布団ベッド横になるのはNGである。
油断すると,時空を超えて
翌朝にタイムワープする危険がある。



さて,そんなこんなで…
「休み時間」の使い方を紹介してきたが
今回のお話は,これでおしまいである。

せっかくの機会なので
読み終わった後に30秒ほどマブタを閉じて
リラックスを体験していただきたい。


ほ〜ら,何となく…ジワジワ〜っと
まくべんで読んだ情報が脳に染み込んでいくような…
そんな気分が味わえる…かもしれない

え? まったくそんな気分にならないって?
なるほど…それはたいへん申し訳ないのである。
そんな中学生には向かない方法かもしれない。
勉強の後には心置きなく,ゲームやスマホを堪能していただきたい。



参考文献
Michaela Dewar 2014
Boosting Long-Term Memory via Wakeful Rest:
Intentional Rehearsal Is Not Necessary, Consolidation Is Sufficient

  

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