第56小ネタ 或る通知表の所見
 〜 ご両親に考えていただきたいこと 〜



ある中学生の通知表を見せてもらった。
 
誤解してはイケナイ。
コッソリと盗み見たワケではない。
力ずくで強引に見たワケでもない。

「なかなか成績が上がらない」という
ご相談の解決の資料として
十分に納得の上で見せてもらったのである。



その結果
成績が上がらない理由は
おおよそのトコロで見当がついたのであるが
驚くべきは通知表に書いてある
「所見」であった。

担任の先生が書いた所見ではない。
その中学生の
ご両親が書いた所見である。



担任の先生は
今学期に頑張ったコトや活躍した場面を
具体的に書き
最後の方には
「あとココがこうなれば伸びる」
と言う具合に
「課題」まで的確に書いてくださってあった。

中にはいくつかのパターン化された文章を
組み合わせる方法で「所見」とする先生もいるのだが
その生徒の学校生活の様子を
じっと観察して
しかも限られた文字数で表現するコトは
なかなか難しいコトなのである。
ついつい他の誰かと
同文になってしまうことだって少なくないのだ。

この中学生の担任の先生は
なかなかの
腕前と見たのである。



それは,さておき

ご両親の所見が
なかなかインパクトがあったのである。

毎日の部活動練習がキツイようです。
家に帰ったらグッタリしています。
そのため成績もなかなか上がりません。
先生からも部活の顧問に言ってください。


「まくべん」の口は15秒ほど
ポカンと開いたままになったのである。



この中学生のご両親は
いったいどんな思いで
この所見を書いたのであろうか。

「成績が上がらないのは部活のせい」
本気で思っているのではないだろうか?

「学級担任が部活の顧問にお願いすれば部活の練習がマイルドになる…」
本気で思っているのだろうか?

そして
「部活の練習がマイルドになれば,自分の子どもの成績も上がる。」
本気で考えているのではないだろうか?

さらに
この中学生は
ご両親の所見を見たときに
いったいどんなコトを感じたのであろうか?



もしも本気でそんなことを考え
通知表の所見欄に書き込むことで
自分の子どもの成績がアップに効果があると信じているのなら
これはもう
「親バカ」というレベルではない。

ただの
「馬鹿な親」である。



自分の子どもが
部活から帰ってグッタリしているのなら
シッカリさせるのが親の努めである。

ガッ!っと説教するなり
熱めのお風呂を沸かして浴びさせるなり
それでもグッタリしているのなら
時間を区切って仮眠をとらせるなりして
気分の切り替えを支援するのが
親の努めである。
(それでもグッタリ動かない場合は救急車を呼んだ方がイイかもしれない)

そして,それ以前に
早寝早起き朝ご飯の生活リズムを整えてやり
好き嫌いを言わせず栄養のある食事を摂らせ
ジョギング・ウォーキング等で体力の増進を図り

運動や勉強に挑めるだけの
体力と健康を保障してやるのが親の努めである。

そして
学級担任や部活動の顧問に対して
「こりゃマスマスいかんなあ」
と感じるところがあるならば
事前に先生方とアポをとり
学校へ出向いていって
きちんとお話をする。

それが社会人としての礼儀であり
キチンとしたスジの通し方である。




そんなトコロを蔑(ないがし)ろにして
子どもの通知表に意見や要望として書き込むなどとは
言語道断である。


通知表は多くの場合,
一生残るのである。



あ・・・何を思って親への苦情をこんなところに書くのかって?

それは…である。
中学生もいつかは親になる日がくるからである。

そして
通知表に書かれる所見には
担任の先生やご両親の様々な思いが込められていることを
知ってもらいたいからである。

そんなこんなで今年も暮れていくのである。



  

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