第18小ネタ 「公立高校入試問題はこうして作られる(タブン)」 
〜 教科書が大事なワケ 〜


突然で申し訳ないが
「アナタは高等学校の先生である」ことにする。

ある日,校長先生に呼び出され
「県の教育委員会に行きなさい」と言われる。

県の教育委員会へ出かけてみると
「アナタは来年の公立高校入試問題を作りなさい」と
特命を受けてしまったのである。

さて,アナタは,どのようにして入試問題を作るのかである。



もちろん「まくべん」は高校入試の問題を作ったことはない。
高校入試の問題を作った経験のある先生から話を聞いたわけでもない。

ここから先は,まったくの予想であり推測であり憶測であり想像である。

お間違えの無いように願いたい。



さて,公立高校の入試問題をどうやって作るのか想像してみたのである。

入試問題のネタは何であろうか・・・。
ズバリ「教科書」と「過去の入試問題」であると予想する。
その根拠は以下のとおりである。

まず,教科書に載っていないコトを問題にしたら,大問題になるのである。

公立の入試問題は,その都道府県に住む中学生全員が
一度は必ず「習ったコトがある」コトを問題にしなければならない。

一部の中学校では「習っていて」,他の中学校では「習っていない」では
大変に困るのである。

平等ではなくなるからだ。



また,書店で売られている参考書には載っているが
教科書には載っていないコト・・・もアウトである。

そんなマニアックな問題を出されてはたまらないし,
出す先生も,かなりの覚悟が必要になってくるのである。

そこで
問題作成の先生は,こんな感じで作業を進めると考えるのである。





全社の教科書をスミズミまでチェックする。

同じ教科でも複数の教科書会社があるので
全ての会社のものをチェックするハズである。

そして
一部の教科書にしか書かれていないことは「問題外」とするはずである。

つまり
全部の教科書に共通して書かれていることが
入試問題のネタになるわけである。





次に
自分の都道府県の過去の入試問題をチェックするはずである。

「最初は,こんなパターンの問題か・・・」
「次は少し応用を入れて・・・」
「最後は・・」
という具合に
過去の出題パターンを研究するハズである。

「教科書に書かれているコトのココまでの応用はOKなんだ」
とか

「昨年はヨーロッパが出ているから,今回はアジアかな・・・」
とか

「この問題は過去5年間連続で出ているな・・・」
とか

いろんなことを研究するハズである。





そして実際に自分で問題を作成するハズである。

このとき,教科書以外の参考書や問題集,
他の都道府県の過去問を参考にすることもあるだろう。





できあがった問題をチェックするハズである。
チェック項目は

@ 全ての教科書に書かれているコトをネタにしているか。
A 自分の都道府県の過去の問題から,大きくはずれていないか。

である。

もちろん,1人の先生が作るハズはない。
数人の先生が,ものすごい時間とエネルギーを費やして
チェックにチェックを重ね作られるハズである。

そうでなければ
「公立入試に出題ミス!」
とか
「教科書外からの出題!!」
とかいった新聞記事を見ることなる。


お互い,それだけは避けたいものである。



であるからして,本日の結論である。

だから,教科書は大切なのである。
どんな参考書や問題集よりも
教科書が大切なのである。


中学生の勉強の柱は
誰がなんと言おうと教科書である。


********** お断り **********
「教科書から出る」と書いているが
決して「ソックリそのまま出る」わけではない。
教科書に書かれていることがわかっていれば
「解けるハズだ」というところまでの応用問題は十分にアリである。
また,各都道府県によっても違いがある。
さらに,私立の場合は,まさに無法地帯と考えた方が良い。



  

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