第92手 「やる気をキープする難しさ」
〜 映画「ビリギャル」を観て思うのである 〜




まくべんの周辺で,意外と高い評判を得ている
映画「ビリギャル」を観に行ったのである。

それほど大きな期待はなかったが
一応,その筋のサイトを運営している身である。
観るべきモノは観ておかなければ…
知るべきコトは知っておかなければ…
そんな軽い気持ちで観に行った次第である。



そして,感想は…というと…

ポップコーンの容器は握りつぶしてしまうわ
コーラはほとんど飲み残してしまうわ
全身に力が入り,肩がパンパンにコッてしまうわ
ハンカチはベチャベチャになってしまうわ
それはそれは,エラいコトになってしまったのである。
(あくまで個人の感想である。)
(映画の評価を確約するものではないのでご注意を!)




それはさておき!

映画の鑑賞を終えて
出口に向かう
高校生くらいの三人若者の口から
それぞれの感想が聞こえてきたのである。

「オレ,メッチャやる気になった!」
「モチベーション,上がるよね!」
「ワタシ,今夜からガンバル!」


なるほどなるほど…
土井裕泰(監督)さんの演出と,有村架純(女優)さんの演技は
若者の「やる気」に,見事に火を着けたようである。
(あ,吉田羊さんや田中哲司さんの演技もヨカッタのである。)



さて…映画のお話はこれくらいにして…

先ほど登場した「出口の向かって歩く三人若者」の
「その後」
について
想像してみる。


映画を観て,グンと跳ね上がった
「やる気」
いったい,どれくらいの時間キープできるのだろうか?

「メッチャやる気になった男子」
そのまま,自分の勉強に
猛ダッシュできるのだろうか…?

「モチベあげあげ女子」
受験勉強に
精進していくのであろうか…?



まくべんの予想は…
「否(いな)!」
である。

まことに残念ながら
そのまま一気に燃え上がることは…ナイ。

燃え上がったとしても
せいぜいもって
1週間
普通の人で
3日間
早い人では,
3分間が限界であろうと予想する。

なぜなら,それらの
「やる気」
彼らの
心の内側からわき出した「やる気」ではなく
映画からいただいた
「いただき物のやる気」だからである。

「いただき物のやる気」
とても「ありがたい」ものなのだが
「いただいたまま」にしておくと
早い人では映画館を出る頃には
すっかり
消えてなくなってしまうのである。



ご近所のマダムから,
「知り合いから送っていただいたザーマスの!
お宅様のお口に合いますかしら〜」
といって
お裾分けに
高級メロンをいただいたとする。

すぐに食べようと思ったが
「いやいや,もう少し待ったころが食べ頃!
しばらく熟成させてからいただきましょう」

和室の床の間に安置することになった。

そして,ある日,ふと気づくのである。
「たしか…メロンがあったな…」

和室のフスマをそっと開けると…
なんということでしょう…
メロン様は,とっくに食べ頃を過ぎ
甘く…というより
腐敗を感じさせる危険な香りを放ちながら
床の間で鎮座しておられるのであった。
「しまった…腐らせてしまった…」
とっても悔しいのである。
(この物語はフィクションである…念のため)

しかし,そのことを近所のマダムに言うに言えず
「あ〜ら奥様,とっても美味しいメロンで御座いましたわ〜」
などと,つじつま合わせの
でごまかすことになる。



どんなステキな
「いただき物」でも
ほったらかしにすると,台無しになってしまうのである。

自分で数千円を出して買ったメロンなら
たぶんそんなコトにはならないハズである。

あの〜日,あのとき,あの場所で〜食べておけば…
その成分は,アナタの血となり肉となり骨となり
あの鮮烈な甘さ,芳醇な香り,繊細な食感は
アナタの中で貴重な記憶となって
脳に身体に刻み込まれたハズである。

南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…である。




それはさておき!

テレビや映画を観たり
先生や友人の言葉を聞いたり
本を読んだりして
アナタの「やる気」がグン〜と高まったとしよう。
それはそれで,とても貴重な出会いである。
年に1回あるかないか…
中には,一生に数回あるかないか…という人もいるだろう。

そんなこんなで,せっかくいただいた
「やる気」である。
なんとかして,長い時間キープしたいところである。

どうすれば…よいのだろうか。



考え方のひとつとして
「いただき物のやる気」「自分のやる気」
切り換えること
をオススメしたいのである。



具体的には…

「いただき物のやる気」
が腐ってしまう前に
「自分の目標」「自分がやるべきコト」
できるだけ多く
紙に書き出し
それを
自分の目に触れる場所
ペタペタと
貼り付けておくとよい。

それらの作業を経て
「いただき物のやる気」を「自分のやる気」に切り換えるのだ。

「自分の目標」や「自分がやるべきコト」は
自分でアレコレ考えながら
書いては消し,消しては考え
「よし!これが私の
本気目標だ!」と
自分で納得できるものを見つけられるまで
十分に
苦しんでほしいものである。

「いただき物のやる気」装着限界時間3分間の
ウル●ラマンのような強者でも
映画館の出口にたどり着く3分以内に
「オレの目標ってナンダッケ?」
「家に帰ったら,何から始めようか?」

などと考えてみる。



紙に書き出すのは
家に帰ってからでよい。

じっくりアレコレ考えながら
ひとつひとつ書き出していけばOKである。

そして自分の目につくところに貼る…。

映画の主人公になった気分で味わっている
「いただき物のやる気」
「自分はド〜ヨ?」
自分の立場から味わい直してみる。

そこが最大のポイントである。



ところで,「ビリギャル」さんの
勉強部屋や階段の壁は,すさまじかった。

自分の目標や,覚えることを紙に書き出し
それをペタペタと貼りまくっていたようである。

どんなに時代が変わっていようと
本気モードの勉強法は
今も昔も,それほど変わらないようである。




  

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