第90手 「『校長先生のお話』を聞く その4(上級編)」
〜「予想」を立てながら聞く〜



「校長先生のお話」に関する話題も
いよいよ上級編である。

「なんだか最近,私の所へやってくる生徒が多くなったな…」
全国には,そんなふうにお感じの校長先生も
きっといらっしゃるのである。

ひょっとして「お仕事」が増えて
大変お忙しい思いをしているのではないか…と
申し訳ない気分にもなるのだが,
それはそれで
「よいではないか」と考える。



今回の話題をきっかけに
直接に校長先生とお話をした中学生諸君は
すでに気がついていると思う。

アナタとお話をするときの校長先生は
きっと
元気生き生きしていらしたハズである。

生徒とお話してこそ,「校長先生」である。
校長室に閉じこもって難しいお仕事をされるより
「生き生き」となるのは当然のコトなのである。


それはさておき!!

(上級編)のワザは
「予想を立てながら聞く」である。
(初級編)の「ツッコミを入れながら聞く」や
(中級編)の「分類しながら聞く」に比べると
かなり高度なワザである。
心して挑んでいただきたい…のである。



さて,
「予想を立てながら」とは…

「多分,こんな話になるんじゃなかろうか…」とか
「大事な部分はココじゃなかろうか…」とか
「言いたいことはこんなコトじゃなかろうか…」
お話のテーマ要点自分なりに予想しながら聞く…
ということである。

校長先生が
「今,話しているコト」「前に話したコト」などから
その時点での,「自分なりの予想」を立ててみる。

もちろん,予想がハズれても構わない。
「あ…,違ったか…では,こういうことかな?」
「新しい予想」を立てて聞き続ければよいのである。


取りあえずは,先の校長先生のお話で試してみるのである。
今回は,お話の後半にスポットを当てよう。



「え〜、次に…」
(おや,「次に…」ときましたね。)
(…ってコトは,ここで前の話は終了ですね…。)


「最近、学校の御近所に住む方から、一本の電話がありました。」
「その方は、とても感激していらっしゃいました。」
(「一本の電話」が,お話の材料になるようですね…。)
(「御近所の方」というからには,きっと「苦情」の電話でしょう…。)
(この話も「お説教」になるようです…。)


「校長先生、本当に凸凹中学校の生徒さんは優しく思いやりがあるんですね…」
「と、いきなりおっしゃるものですから」
「私もすっかり、驚いてしまいました。」
「どうしたんですか?何があったのでしょうか?と私が聞くと…」
「実は…と、詳しくお話をしてくださったのです。」
(あ,違った。真逆の内容の電話ですね…。)
(先の話がバッドニュースだったので)
(こちらは話はグッドニュースになるようですね…)
(先の話が「優しい」とか「思いやり」ときてますからね…)
(きっと,うちの生徒の「美談」が紹介されそうですね…)


「その方は、毎朝早くにジョギングをされているそうです。」
「ある朝、途中で気分が悪くなって…」
「道路脇にしゃがみ込んでいたところ…」
「本校の男子生徒が声を掛けてくれたそうです。」
(当たりました。男子生徒が主役のようです。)
(知らない人に「声をかける」なんて…なかなかできないよね。)
(…で,「助けた」ってコトかな?)


「その男子生徒は、背中をさすってくれて…」
「最後は家まで背負ってくれたそうです。」
(コレも当たりです。しかし,「家まで背負っていく」ってことはね。)
(次は,男子生徒の名前が登場して…)
(みんなで拍手しましょう…という展開だな…)


「名前は教えてくれなかったそうですが…」
「そのとき着ていた服が本校の制服だったようです。」
(「学校の御近所の方」なら,制服くらいはわかるワケだ。)
(じゃ…名前の紹介は…ナシ…だね。)


「本当に感謝しておられました」
「その後、その方はしばらく入院をされたそうですが…」
「先日、無事に退院し元気に家に帰ることができたそうです。」
「そして、わざわざお礼の電話をしてくださったんですね。」
(だから,みなさんも困っている人をみたら…)
(勇気を出して助けてあげましょう…という結末かな…)


「私も実にうれしいでした。」
「この凸凹中学校の生徒全員が感謝されたかのようにうれしいでした。」
「今日は、その嬉しさを皆さんに伝えたくて…」
「この場でお話をしました。」
(ホラ来た!「…勇気を出して…」で話のまとめでしょう。)

「こちらの方も、ぜひ皆さんで考えて欲しいと思います。」
(え?「皆さんで考えて欲しい」って何を?)
(こちらの方も…ってことは,先の話と関係ありそう…)


「優しさとは…思いやりとは…なんでしょうね。」
「これで、私の話を終わります。」
(「考えろ」って,何を考えたらいいんですか?)
(あ,優しさとは…思いやりとは…を考えるワケですね)
(人を助けた男子生徒と「優しさ」の関係はわかるとして)
(先のゴミの話と「優しさ」の関係が手強いですね…。)




という成り行きで,「聞き取り終了」である。

今回,中学生は,最終ラウンドまでねばり強く闘った。

「予想」を立てながら聞くことで
校長先生の
お話の筋道をつかむことができたようである。
「結論」こそ出せなかったが
「今後,考えるべき問題」も,キチンと受け取ることができた。

校長先生の「思い」は
校長本人に直接聞かなければ「正解」はわからないが
「校長先生のお話」を聞くことで
「何を考えなければならないのか」という
様々な「問題」や「課題」を見つけ出すことが可能になる。

今回の中学生の場合
「予想」を立てながら聞いた結果
「ゴミと優しさの関係」という問題に出会ったのである。
それはそれで,素晴らしい「問題」の発見である。



できることなら,その「答え」を見出し
校長先生と
「お話」することをお勧めしたい。

「正解」を見出せなくてもよいので
校長先生と直接にお話をしていただきたい。

「校長先生,校庭に散らばるゴミと優しさには,どんな関係があるのでしょうか?」

きっと,アナタの考えや想像をはるかに超えた
オトナの「考え方」に出会うことになると思う。


そんなこんなの「聞き取り」を繰り返しながら
アナタの「聞き取り力」はパワーアップし
そして…
オトナとしての「考え」が深まり
オトナとしての「視野」が広がっていくのである。



「だって,相手は校長先生ですよ〜…」という
声も聞こえてきそうである。

う〜ん…確かに相手は校長先生である。
しかし,「先生」であるからには
アナタが「教えてもらう」のには何も問題もないのである。

校長先生は,学校全体にとっては特別な先生ではあるが
アナタにとっては
「学校の先生」の一人でもあるのだ。

校長先生だって気になっているハズである。

全校朝会で全校生徒にお話をして
それぞれの生徒がどのようなコトを考え
どのような感想をもったのか…
それが知りたくて
ウズウズしていると思うのである。


  

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