第89手 「『校長先生のお話』を聞く その3(中級編)」
〜 「分類」しながら聞く 〜



さて,「正しい『校長先生のお話』の聞き方(中級編)」である。

ここからは,今まで真剣に校長先生のお話に耳を傾けていた中学生も
参加してもらいたいのである。

(中級編)のワザは
「分類しながら聞く」である。
(初級編)の「ツッコミを入れながら聞く」に比べると
少々高度なワザである。
心して挑んでいただきたい…のである。



さて,
「分類」とは…

校長先生のお話を
自分なりの段落で区切りながら
自分なりの
「ものさし(基準)」分けながら聞くワザである。

「今の話は『ご挨拶』の部分だね」とか
「この部分は『体験談』だったね」とか
「ここのところは『体験したことの感想』だね」
といった具合である。

「ツッコミを入れながら聞く」の場合は
勝手に「ツッコミ」を入れるだけでよかったが
「分類」する場合には,
それなりの知識や経験が必要になってくるのである。


取りあえずは,先の校長先生のお話で試してみるのである。
今回は,お話の途中から入るのである。



「え〜、次に…」
(おや,「次に…」ときましたね。)
(…ってコトは,前のお話は「一応のTHE END」ってことだね。)


「最近、学校の御近所に住む方から、一本の電話がありました。」
「その方は、とても感激していらっしゃいました。」
(いきなり『体験談』から入りましたよ…)
(『近所の方と電話でお話した』体験のようですね…。)



「校長先生、本当に凸凹中学校の生徒さんは優しく思いやりがあるんですね…」
「と、いきなりおっしゃるものですから」
「私もすっかり、驚いてしまいました。」
「どうしたんですか?何があったのでしょうか?と私が聞くと…」
「実は…と、詳しくお話をしてくださったのです。」
(まだ『電話の体験談』は続きますね。さらに詳しくなるようですよ…)

「その方は、毎朝早くにジョギングをされているそうです。」
「ある朝、途中で気分が悪くなって…」
「道路脇にしゃがみ込んでいたところ…」
「本校の男子生徒が声を掛けてくれたそうです。」
「その男子生徒は、背中をさすってくれて…」
「最後は家まで背負ってくれたそうです。」
「名前は教えてくれなかったそうですが…」
「そのとき着ていた服が本校の制服だったようです。」
(この部分は,『近所の方の体験談』になりますね…)
(『体験談の中の体験談』というワケですね…)
(校長先生御自身のセリフは全くありませんね…)


「本当に感謝しておられました」
「その後、その方はしばらく入院をされたそうですが…」
「先日、無事に退院し元気に家に帰ることができたそうです。」
(まだ,『体験談中の体験談』が続いているようですね…)

「そして、わざわざお礼の電話をしてくださったんですね。」
「私も実にうれしいでした。」
「この凸凹中学校の生徒全員が感謝されたかのようにうれしいでした。」
(おや,『体験談中の体験談』は,どうやら終わったようですよ…)
(「うれしい」ってことは,校長先生の気持ちを語り始めたね…)


「今日は、その嬉しさを皆さんに伝えたくて…」
「この場でお話をしました。」
(これが『体験談』を話した『理由』なのですね。)
(「うれしかった」から,ここで「お話した」のですね…)


「こちらの方も、ぜひ皆さんで考えて欲しいと思います。」
(『考えて欲しい』ってことは,校長先生の『願い』なのかな…)
(というより,『私たちへの指示』だろうな…)
(『考えろ!』っていうワケね…)


「優しさとは…思いやりとは…なんでしょうね。」
(あ,この部分が『考えるべき問題』ですね…)
(『優しさとは…思いやりとは…なにか?』が『問題』なのね…)


「これで、私の話を終わります。」

(あ,終わっちゃったよ…)
(えっと…整理すると…)
(『優しさとは…思いやりとは…なにか?』考えなさい…というワケね…)
(考える『資料』としては『校長先生が電話を受けたという体験談』かな?)
(いや,電話の中の御近所の方の『体験談』だろうね…)
(えっと,どんな『体験談』だったかな…)
(うちの男子生徒が…)


<以下省略>である。



という具合に「校長先生のお話」を
自分なりの
「モノサシ(基準)」「分類」していくのである。

先の中学生は
「校長先生の体験談」
「御近所の方の体験談」
「校長先生の感想(思ったこと)」
「校長先生から中学生へのお願い」

といった具合に「分類」したワケである。

時間による「分類」でも結構である。
「現在(今のコト)」
「過去(以前のコト)」
「未来(これからのコト)」

自分の
「好き嫌い」で分類してもよい。
「賛成!賛成〜的なお話」
「それは…どうかな…的なお話」
「絶対反対!納得できない!的なお話」

大切なのは
自分なりの「ものさし(基準)」をもって
相手のお話に臨み
セッセと
分類仕分け作業をすることである。

そして,そのコトにより
最後まで相手のお話を聞き取り
「伝えたいこと」を
探りだそう…とする姿勢である。



こんな
「校長先生のお話」の聞き取り方をすると
あらあら不思議…
教室に帰って…家に帰って…
ちゃぁ〜んと「校長先生のお話」を思い出すのである。
ちゃぁ〜んと「思い出す」回数が多いほどに
ちゃぁ〜んと「覚える」チャンスも大きくなる。

すると…
アナタは中学校在学中に
何十という
「人生訓」
校長先生から頂くことになる。

ぼ〜〜〜っと聞いてたら
あっという間に遠い霧の彼方に消え去る
「金言(きんげん)」であり
「教訓」であり
「人生訓」である。

では,次回!
「正しい校長先生のお話の聞き方講座」の(上級編)である。
校長先生の「思い」に迫る一手である。



  

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