第72手 「頷く 2」 
〜 授業征服最終兵器 頷き光線 〜



「頷き勉強法」を実行していると

先生が
アナタのために
アナタ中心に
アナタだけ
のために…
授業を進めてくれているような気分になる。

これは前話で登場した怪奇現象である。

だが,それは当然のコトなのであり
なんら不思議なコトではないのである。



人は・・・
自分の話を聞いてくれる人に向かって
話をする動物
なのである。

道ばたのお地蔵さんに向かって話をしても
なんだか気分が落ち込んでしまうものである。

テレビのアナウンサーに向かって
話しかけても
ヒジョ〜に虚しくなってくる。

先生だって例外ではない。



教室ので先生は
授業のプロとして
全員に向かって「話」をするのである。

いや,「話をしようとしている」のである。
それが先生の使命なのだから
それはそれで,大変立派なことなのである。

教室の全員に向かって
平等に話を進めなければ
「ひいき」だの「差別」だのと
ボコボコに非難されてしまうのである。



ところがドッコイ
そんな平等・公平先生を
惑わす

頷き光線照射中学生の登場である。

先生だって人間である。
ついつい
頷き光線照射中学生に向かって
「話」をしてしまうのだ。

「いけない!」
「これではイケナイ!!」

「全員に授業をしなければっ!」


先生は,そう思いながらも
ズルズルと頷き光線の餌食になるのである。

嗚呼公正公平教師残酷物語・・・である。



頷き光線のパワーは絶大である。
どんな意志の強い先生でも
確実に頷き中学生に視線を注ぐ回数は増える。

そして
いつしか
アナタ中心の授業が
出来上がってしまうのである。

「ホントかな?」と思ったら
一度,「頷き」を止めて
ちょっとだけ首を横傾けてみるとよい。

「あ,今の説明,ちょっと分かりにくかったね〜」
「もう一度,説明するぞ〜・・・」
「よく聞いてろよぉ〜」


先生がそんな反応を見せれば
確実に先生はアナタのモノになっている。

さあ,始めてもらおうじゃあ〜りませんか。
「ワタクシ中心の授業を・・・」
である。



世界征服にあらず
「授業征服」の完了である。

わぁ〜たしのぉ〜ため〜ぇ〜
授業は あるのぉ〜・・・
わぁ〜たしの〜ため〜ぇ〜
授業を するのぉ〜・・・
(ちなみに60年代歌謡の替え歌である)

う〜ん・・・
ちょっと邪悪な臭いがするが
まあ,これはこれで良いか・・・


  

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