frower2022年  6月のフィールドノートから

*6月11日 奄美市笠利町大瀬海岸
 夏羽のきれいなレンカクがいると聞いて大瀬海岸に来てみたが、姿はない。その代わり、カラシラサギがいた。ここでは5月4日に確認されているので、同じ個体だとするとひと月以上も逗留しているこ
とになる。もしかしてここで夏を越すつもりなのか? クロツラヘラサギも1羽確認。のんびり餌を探しているが、こいつも繁殖する気がないのだろうか。大型の鳥類はときにモラトリアムな振る舞いがあっ
て、いまいち行動が読めない。


▲モクマオウに止まるカラシラサギ


▲餌を探すクロツラヘラサギ


*6月25日 瀬戸内町某所
 待ちに待った梅雨明け! 真夏の到来だ。暑い夏には沢歩きが一番。ということで、お気に入りの沢にやってきた。梅雨明け直後なので渓流の水量はまだ多めだが、サンダル履きなら歩くのに問題は
ない。冷たい沢の水が実に気持ちいい。沢からふと視線を上げると、目の前にサクラランが下がっている。薄ピンク色の小さな桜が集まってブーケを作ったような、かわいらしい花だ。周囲はヒメハルゼミ
の大合唱でううさいほど。よく見ると羽化して間もないと思われるヒメハルゼミが幹にくっついていた。メスなので、いま鳴いているいずれかのオスとやがて結ばれることになるのだろうか。ヒメハルゼミのよ
うに同調して鳴くセミは、いかにして自分をアピールしているのだろう。メスは多くのオスからどうやって好みのオスを見つけるのだろう。葉の上ではムシヒキアブが食餌中だ。複眼が黒っぽく見えるのでアオ
目アブではなさそうだ(後日、ハラグロオニイシアブだと教わった)。犠牲になったのは小さなコメツキムシ。ムシヒキアブにとって、甲虫は格好の獲物なのだ。


▲枝からぶら下がるサクラランの花


▲羽化したばかりのヒメハルゼミのメス


▲ハラグロオニイシアブに捕まったコメツキムシの断末魔が聞こえてきそうだ。


フィールドノート トップへ


HOME