frower2021年  3月のフィールドノートから

*3月3日 龍郷町大勝
 大勝の農耕地にケリが3羽入っているという情報はずいぶん前にもらっていた。何度か近くを通るたびに立ち寄っていたのだが、なかなかタイミングが合わずに観られなかったところ、ようやくお目にか
かることができた。長い足にスマートなボディ、赤い光彩が特徴的なケリは東海地方に行けば割と普通に観られるのに、それ以外の地域ではあまり観ることのない奇妙な鳥だ。こう見えてなかなか気が
強く、子育て中の親鳥に不意に近づいたりすると、えらい目に遭うという。


▲スマートな体形のケリ


*3月13日 大和村フォレストポリス
 ヤツガシラが来ていないかしらと、フォレストポリスを訪れてみた。芝生の上にいるのはシロハラばかりで、残念ながらヤツガシラの姿はない。よく見ると足元に点々と小さな花が咲いている。チクシキヌ
ランだ。米粒のような独特な形の花がおもしろい。水辺の広場に行ってみると、早くもリュウキュウヒメミズスマシが数匹泳いでいた。見るからにパッとしない黒い甲虫だが、これでもれっきとした絶滅危惧
種である。水の温んだ春の水面を気持ちよさそうにくるくると泳ぎ回っていた。


▲足元にはチクシキヌランの花が


▲水生昆虫マニアには垂涎の的


*3月18日 奄美市名瀬赤崎公園
 第28回オオトラツグミさえずり一斉調査が近づいてきた。歩く練習をしておこうと、赤崎公園から少年自然の家にかけての尾根筋を歩く。朝早くから木をつつく鈍い音がすると思ったらオーストンオオアカゲ
ラのオスが枯れ枝でエサを探していた。と、近くでジェージェーとうるさい声がする。目を転じると、朝日の光の中に叫ぶルリカケスのシルエットが浮かんでいた。明るくなるにつれ、鳥の声が賑やかになる。
亜種アマミシジュウカラが2羽でカンヒザクラの枝先を行ったり来たり。巣作りの最中だろうか。そっと近づくとメスのほうは素早く逃げ去ったが、オスはその場で固まってしまった。


▲朝ぼらけのオーストンオオアカゲラのオス


▲太陽に吠えるルリカケス。


▲急に人に気づいて固まってしまったアマミシジュウカラ


*3月24日 中央林道美人橋
 今年は春の進行が早く、3月半ばにはシイの花が咲きはじめ、アマミセイシカはすでに散りはじめているという具合。そんななか、いまがまさに満開というアマミセイシカの株を見つけた。中央林道のすぐ
脇だ。毎年オオトラツグミのさえずり一斉調査で近くを通っているのに、これまで一度も気がつかなかった。いつもはもっと花期が遅かったのかもしれない。美人橋(きょらむんばし)から住用川を見渡すと、
遠くの淵にオシドリのつがいを発見。オシドリは都会の公園よりも、こういう幽玄な環境のほうが絵になるね。


▲咲き誇るアマミセイシカ


▲住用川に浮かぶオシドリのつがい



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